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第4話 みんなが屋敷にやってきた

 翌日ギルマスのナハルが、執事と2人のメイドを伴ってやってきた。


 クラントン・スチュアートは51歳、主に貴族の屋敷に仕えていたベテラン執事だそうだ。白髪の紳士が燕尾服を着ているイメージで、スラリと背が高く口髭も蓄えている。


 メイドの1人はルーナ・スコット。27歳で過去に1年ほど王城で働いていたという。淡い紫色の髪に落ち着いた黒い瞳からは、年上女性の包容力のようなものを感じる。顔立ちも整っていて好みのタイプだが、すでに婚約者がいるそうだ。


 もう1人はロージー・テイラーという22歳の若い女の子だった。ライトブラウンの長い髪を2つ結びにしていて、大きな瞳に丸みを帯びた輪郭のお陰で年齢より若く見える。はっきり言ってかなり可愛い。彼女にするならこういう子がいいが、もう1つロージーには特筆すべき特徴があった。スタイルが抜群で胸がやたらと大きいのだ。今すぐにでも堪能してみたいと思ってしまったよ。


「アントナさんはもう知ってるわよね」

「ええ。昨夜の晩飯、めちゃくちゃ美味かったです」

「そう。それはよかったわ」


「それでギルマスとアントナに話があるんですけど」

「話?」

「実は……」


 俺はユリアと話した通り、アントナと奥さんをこの屋敷に住まわせたらどうかと提案した。報酬の増額はない代わりに奥さんの分の食費は請求せず、部屋代もいらないという条件である。


「この屋敷の使用権はユリアちゃんにあるのだから、ユリアちゃんとアントナさんがよければ問題ないわよ」


 ギルマスの言葉に、アントナを含めた4人が驚いた表情を見せた。きっと俺が屋敷の主人だと思っていたのだろう。


「そうそう、忘れてたわ。この屋敷の本当の(あるじ)はユリアちゃんなの」


 ナハルが慌てて説明を始める。


「でも表向きはリュオナールさんが主ということにしておいてくれるかしら」

「何か事情がおありなのですか?」


 尋ねたのはクラントンだ。


「ユリアちゃんはこの体で、あの大きなパシルさんを手玉に取るほど強いのよ」

「なんとっ!」

「それだけじゃないけど、詳しいことは言えないの。ごめんなさい」


「パシル殿は確かAランクとお聞きしましたが」

「そうよ。リュオナールさんと同じ」

「ただこの小さな女の子がAランクと知られれば、決闘を申し込んでくる奴らが湧くだろう? だから登録もBランクにしてあるんだ」


 俺の言葉に、一同が大きく頷いている。


「このことは外には漏らさないでほしい」

「来ても返り討ちにすれば済むんだけど、相手するのが面倒だからお願いね」

「かしこまりました。ユリアお嬢様」

「ユリアでいいってば」


 4人は揃ってユリアに頭を下げた。ちょっと恥ずかしそうにしてるところは何となく初々しさを感じる。さて、本題に戻ろうか。


「それでさっきの話だけど、アントナはどうかな?」

「パーティーメンバーでもないのに、本当によろしいのですか?」

「大丈夫よ。使用人はパーティーメンバーに準ずる扱いなの」

「そうなんですか?」


 初耳だよ、ギルマス。


「リュオナールさん、ちゃんと手引書読んでないでしょ」

「あ、あはははは……」

「助かります。実は今住んでいるところの家賃が高かったものですから」

「じゃ、決まりだな。後でどの部屋を使ってもらうか決めよう」

「はい」


 それから俺は執事と2人のメイドに目を向けた。


「これだけ広い屋敷だ。部屋は余っているから、他にも住み込みたいという人がいれば手を挙げてくれ」


「旦那様」

「旦那様はよしてくれ。リュオナールでいい」


 まず手を挙げたのは、執事のクラントンだった。


「ではリュオナール様」

「うん?」

「私はすでに妻を亡くしており、子供もおりません。小さな部屋で構いませんので、住まわせて頂けるとありがたいのですが」


「構わないわ。温泉もあるし、いい屋敷よ」

「ありがとうございます、ユリア様」

「あの、私も……」


 そして、次に手を挙げたのはルーナだった。

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