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第1話 一緒にお風呂

「これがムエノとかいう伯爵の住んでた屋敷ね」

「おいユリア、相手は領主様なんだから少しは口を慎め」

「子供の戯れ言なんか誰も気にしないわよ」


 俺とユリアは、ギルマスのナハルから渡された地図を頼りに旧伯爵邸を訪れた。伯爵は屋敷を新築した際に家財道具も一式新調したらしく、衣類以外の生活用品はほぼ揃っているということだ。


「大きいわね」

「大きいな」

「中に入ってみましょう」

「そうしよう」


 建物は2階建てのレンガ造り。三角の屋根がいくつかあり、窓も付いているからそこには部屋もあるのだろう。つまり厳密には3階建てと言えるかも知れない。


 ナハルの話では幅80メル、奥行きは40メルもあるとのことだった。いくら何でも2人で住むには広すぎるよ。


 そしてやたら重厚な扉を開けると、まず目の前に広がったのは大広間だった。幅は50メルほどありそうだ。手前の左右、それと奥にも逆ハの字型の階段が見える。特に奥の階段は中央に踊り場があり、そこに上がるための階段は幅が10メルくらいあるようだ。


「さ、さすが領主様の住んでた屋敷だな」

「屋敷というよりお城ね」


「ここに2人ってのは、ちょっともったいないというか」

「使用人たちも住むなら問題ないんじゃない?」

「それにしたって、なあ……」

「あら、寂しいの?」

「そんなわけあるか!」


「うふふ、大丈夫よ。いつでも私が傍にいてあげるし、寝る時だって1人にはしないわ」

「ば、バカ! お前何を……」

「言ったじゃない。添い寝以上のイイコトもさせてあげるって」

「お前なぁ」


 だから纏わりつくなって。胸もないクセに。


「合法的にこの幼い体を楽しめるのよ」

「ちっとも合法的じゃねえから!」


「でも、男の人って相手が若ければ若いほど嬉しいんでしょ?」

「それは否定しないが、限度ってものがあるんだよ」

「私も前世では処女のまま死んじゃったし、リュオが相手なら文句はないんだけど」


「あと7年くらいしてから考え直せ」

「7年? またずい分と中途半端ね」

「15歳になったら成人だからな」

「そうなんだ」


 やれやれ、今はいいがこの調子でグイグイ来られたら、俺もそのうちガマンの限界がくるんじゃないだろうか。


「ねえ、聞きたいんだけど」

「うん?」

「成人しないと結婚出来ないの?」


「いや、親が認めれば何歳でも結婚は出来る」

「親がいない私はどうすればいいのかしら」

「今のところは俺が保護者みたいなものだからな。つまり俺が認めれば……」


「ふむ。要するにリュオを誘惑しまくればいいってことね」

「ちょ、ちょっと待て」

「決めたわ!」

「決めたって、何をだよ?」


「寝る時とお風呂はいつも一緒ね」


 いや、それはマズいって。風呂上がりの姿を見ただけでドキッとさせられたんだし、さすがに一緒に入ったりしたら理性を保ち続ける自信がない。

 それにコイツのことだから、風呂でもやたらベタベタくっついてくるに違いないのだ。しかも体が幼い分、殊更(ことさら)に感触が柔らかい上に、女の機能は全て満たしていると言う。俺の理性が飛んでしまったら、間違いなく行くところまで行ってしまうだろう。


「絶対にダメだ」

「ぶー、どうしてよ」

「俺は幼女には興味がない」


「そんなこと言ってぇ、本当は誘惑に負けるのが怖いんでしょ」

「だから違うって!」

「まあいいわ。それはゆっくり考えましょ」

「まったく、お前ってヤツは」

「でも……」

「でも?」


「やっぱり夜は怖いから一緒に寝て。お願い」


 そんな上目遣いで見られたら断れるわけないじゃないか。


「分かったよ。その代わり、一緒に寝るだけだからな」

「やった! リュオ大好き!」


 そう言って抱きついてくるユリアから、ほんのりと甘い香りが漂ってくるのを感じてクラクラしてしまったよ。


 俺、本当に大丈夫なのだろうか。

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