アドバイザーハンナ
続いては、そう、距離を縮めるために。堅苦しくなく話かけてもらうために。
「私のことは、お義母さんと呼んでくださいね」
にこりとほほ笑んだとたんに、バタンとアルバートが倒れた。
うえええーーーっ!
何で!
どうして!
やっぱり、私の養子になるなんて、意識が遠のくほど嫌だったのぉぉぉぉ?!
「ハンナ、ハンナぁぁ!子供が、子供が喜ぶことを教えて頂戴!男の子よ、男の子!」
「ああ、そう言えば、今日アルバート様がおみえになるとおっしゃっていましたわね。お世話をして差し上げられないのが残念ですわ……」
ハンナは、2日前に階段から落ちて足を骨折して侍女の仕事はお休みである。
だけれど、いろいろとハンナに確認を取らないと分からないことが多いため、屋敷と隣接する小ぢんまりとした家で養生してもらっている。もちろん、ハンナの旦那さんと2人の子供も一緒に生活している。
困ったことがあると、すぐにハンナを訪ねて行けるのでとても便利。
「そうですねぇ。うちの息子たちがそろって喜ぶのは、肉ですね」
「え?肉?」
「そうです。夕飯にたっぷりの肉を用意すれば、きっと喜ぶと思います」
そうか。肉か。肉。
何か贈り物とか考えていたけれど、そうよね。男は胃袋をつかめって言うし。
いや、ちょっと使うタイミングが違う?
でも、まぁ、同じような物ね。
美味しいものが食べられて嬉しいな。公爵家の養子になりたいなって図式ですね。
「分かったわ!ありがとうハンナ。あ、夕飯はこちらにも持ってこさせるわ!息子さん二人に感想を聞かせてほしいってお願いしておいて!」
大事な情報源。ハンナの子供は10歳と16歳。アルバートは確か18歳だと言っていた。年齢も近いし。参考になるはず。
「参考になりますか?」
「ええ。年齢も近いし、きっと」
「そうですか。思ったよりも大きな子なんですね……」
「そうなの。ちょっと驚いたけれど。でも、絶対仲良くなって養子と義母だと思えないくらい本当の家族になってみせるわ!」
ハンナが、部屋を出て行こうとする私の背中に声をかける。
「リーリアお嬢様なら大丈夫ですよ。男の子は女の子よりも幼いものです。思ったよりも大きくても、中身は子供ですよ」
ふむ。それもよく聞く話ね。
体は大人になっても、男ってやつはいつまでも子供なんだからみたいなやつね。
「そうなのか……うちの息子……と同じくらいだったの。10歳か。6,7歳くらいの子が来ると思っていたけれど……」
と、ハンナがしっかり勘違いしているのに、私は気が付かずにいた。
……どうなるんだろうねぇ?(天の声)
ご覧いただきありがとうございます。
タグの勘違いは、なにも、主人公が勘違いしているだけではないという……(`・ω・´)きりり
か、感想などいただけると嬉しいです。
ええ、ええ、ぜひ子育てを知らないリーリアに、「子供はこうしてあげると喜ぶよ」と……www