女公爵リーリアの事情
「そろそろ、御父上がお亡くなりになって、そろそろ1年、喪が明けますでしょう」
面会の間。
面会に訪れたのは、贅肉が重たそうなつるつる頭の……そう、ツールニ伯爵だったかしら。
1年前……父であるロマルク公爵が亡くなった。
公爵令嬢であり、一人娘だった私は、その1年前に、父の後を継いだ。
「いつまでも、女公爵という立場では、さぞご不便を感じていらっしゃると私は心配しているのですよ」
まぁ、確かに不便は不便なことは確か。
女のくせにという人間がやたらと多くて癖壁している。
高位貴族の務めである、年に3度の貴族議会に出席しても。何を発言しようとも「女が知った風な口を利くな」と一蹴にされるのは当たり前。
何を言っても無駄ならば今度からは欠席しようと思いますと言えば「いやいや、貴重な意見でした」など手のひらを反すのにも腹が立つ。
ぶっちゃけ、議会での決議が、陛下に対して力を持つには「これだけの高位貴族の相違です。陛下お考えください」という意味が含まれているわけで。なんせ、高位貴族の中でも、頂点。王家に一番近いと言われるロマルク公爵家が欠席した議会での決定事項など、紙くず同然になってしまう。で、なんだかんだと私のご機嫌を表で取りつつ、女のくせに生意気だ、女が公爵など務まるものか……と、「男尊女卑」的な発言を繰り返し。
さらには「30まで独身とはよほど問題があるのでしょう」「言えてますなぁ。25までに結婚できないだけでも大問題なのに、もう30でしょう」
と、さも私自身に問題があるかのように蔑む言葉を口にする。
……あのね。私が独身なのはね……。
ろくな男がいないからなの。つまり、問題があるのはあんたたち男どもなんだよっ!
私は一人娘だったので、結婚イコール時期公爵ということで。
「あの男はダメだ!公爵家の地位目当てだ!」
「クソ男め!あんなやつ領地をボロボロにする無能だ!」
「ダメだダメだ!財産を食いつぶされる!」
「妾や愛人をつくって金を貢タイプだ、一番問題だ!」
と、次々に舞い込む縁談に父がダメ出しをしまくった。
気が付けば、結婚適齢期といわれる22歳を過ぎ、行き遅れと言われる25歳になってしまった。
さすがに、25歳まで独身でいれば、舞い込む縁談の数も減る。
よほど何か問題があるのだろうとあらぬ噂を立てられるからだ。
いや、もちろん、真実を知っている者たちもいたよ。父が娘が可愛くて溺愛のあまり結婚させたくない……と。
……だけど、さすがに25歳超えて悪いうわさが立ち始めたので、父は諦めて、少し条件を下げたんだけど、その下げた条件に見合う話がなかなかなかった。で、父は27歳で病に倒れ床に臥す。結婚どころではなく、父の看病や領地のあれこれなど過ごしているうちに、29歳で父が亡くなり、独身だった私は「女公爵」となった。
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こちらの作品は不定期更新。
別作品の合間にちまちま書いていこうと思っております。