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そのころのアルバート君 7(このパート最終話)

 兄から弟へ、弟からさらに弟へ……と、衣類は誰かが着なくなったからと処分することは無かった。もちろん、末っ子である僕の後には兄の子供へと回っていった。

 父は、亡くなった祖父どころか曾祖父か、その上か……。代々受け継がれと言えばご先祖様を大切にしている、家の歴史を重んじているように聞こえるけれど、要は、服をホイホイと買えるだけの財力が無かっただけのこと。

 と、実家のことを思い出して苦笑していたのをセバスに見られた。セバスがクローゼットの中を見てハッとする。

「ああ、失礼いたしました。侍女にしっかりと伝えなかった私の落ち度です。新しい物をというのをまだ袖を通していないものだと伝わっていなかったようで。申し訳ありません」

 セバスさんが、いかにも古着に見える服に慌てて手を伸ばした。

「いえ、気を悪くしたわけではないですから。思った以上に多く、僕がもって来た荷物の何倍もあることに驚いただけで」

 と、適当なことを口にする。

「それは、こちらから、必要なものはご用意させていただきますので、荷物は最小限で構いませんとお伝えしましたので。ああ、服については、後日採寸したのち作らせますのでご安心ください」

 セバスも、新しい服を作らずにお古を僕に着せるつもりだと思われるのは僕を冷遇してないがしろにしようとしてると思われないかと焦っているのか、少し早口で言葉を口にする。

「これで、十分ですよ。半年はお試し期間なのですよね?それが終わってからで構いません。それに、僕は日常のほとんどは学校に通っていますし。何かあれば制服で事足ります」

 親衛隊になることは名誉なことで、親衛隊養成学校の制服も皆の憧れの的だからね。社交場にも正装として制服は認められているので、制服さえあれば全然問題ない。っていうか、全然まだ着られる綺麗な服ばかりだし!子爵家基準じゃ、あと3代は行ける!

 なぜか、セバスさんが胸元のハンカチを手に涙をぬぐった。

「なんと素晴らしい。アルバート様のような方に公爵家を継いでいただければ安泰ですね。先代もよくおっしゃっておりました。元はと言えばすべて領民の税金。我々は贅沢するために税金を使ってはならぬと。制服で構わない、無駄な金は使うなとは……素晴らしいです」

 なんか、知らないけれど、セバスの中の僕の株が上がったらしい。

 ごめん。領民のことなんて考えてない。子爵家基準で物を考えただけなんだ……。

「ですが、先代様は、服などを生産する者たちにも生活がある。経済を回すために最低限は新しい物を作っていかねばならぬからな。最低限でよい。人気の店はほっといても儲かっているだろうから、そうでない店に数着ずつ注文するようにと、常々おっしゃっておりました。リーリア様では紳士服を主に作っている店までカバーできませんので。アルバート様がご協力いただけると助かります」

 まじか!

 服を作ることまで領民のためなのか。

 まじ、領主経営僕には無理。そんな考えこれっぽちも持ったことない。

 いや、だめだ。無理とか言ってちゃ。勉強しなくちゃ。リーリア天使が困ったときにアドバイスできる程度には色々知識を詰め込んで置かないと。小さいころから領主教育を受けたリーリア様にアドバイスをするなんて無理かもしれないけれど、僕にできてリーリア様にできないこと……。うーん。そうだ!領主の立場なら、他の領地ではどうしてるのかと情報を得にくい部分、僕ならまだ学生の身だし、学友に領主教育を受けている者もいるから、いろんな領地の話を聞くことができるかもしれない。頑張るぞー。

 そして、マイスィート天使リーリア様と結婚するんだ。

 首のシワの筋を1本ずつ指でなぞることを想像するだけでぞくぞくするっ!

 どんな反応を示すだろうか。くすぐったがるかな。それとも気持ちよさそうな表情を見せてくれるだろうか。

 ちなみに、シワ一つない若い女のクビは、時々ぎゅっとしめたくなるのは内緒だ。ぴーちくうるさすぎて……。

「ではお食事のお時間までおくつろぎください。食事は楽な服装で構いません。家族での食事ですので」

 セバスが出て行ったあと、天使との蜜月を想像しすぎて色々とやばかった。

 うん、とりあえず領主の勉強とかしてそうな元クラスメートのリストでも作っておこう……。

いつもありがとうございます。


過激な表現っ。

コメディですから。

あんまりリアルに考えちゃだめ!

トムとジェ〇ーみたいなもんだと思って!


さて、次から本筋に戻ります。……忘れちゃったかな。


ではでは!



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