そのころのアルバート君 1
*アルバート視点です
あ、あれ、おかしいな。
寒気が。震えが止まらない。
いつの間にか気を失ってしまったのか、ふかふかのベッドに寝かされている。
今は冬ではなく春のはずなのに。布団をかぶっているはずなのに、震えが……止まらない。
高等学園騎士科に入学して、生意気だ綺麗な面しやがってと上級生に因縁をつけられ周りを取り囲まれたときも、こんな恐怖を感じたことはないと言うのに……。
ああ、ちゃんと両親の話を聞いていればよかった。
30歳だと、相手は30歳だと言ったのは嘘だったのか!
というのが経緯だと言っていた。というのって、どういうのだ!しかも、経緯ってなんだ!
初めは30歳だったが、申し訳なく思って気を使ってその娘に変わった?
いらない!そんな気遣いいらない!
僕は、僕は……年上女性じゃないと、蕁麻疹が出るんだ!
どうしよう。ああ、もう、いっそのこと……。あの理想の塊の女性を誘惑してしまおうか。
誘惑なんて生ぬるい。
組みしいて、胸に顔をうずめ……。
ああ、そうだ。僕のものにしてしまおう。そうすれば……。
母親に手を出すような男を大切な娘と結婚させるわけにはいかないと、破談になるんじゃないだろうか。
幼女と結婚しなくてすむ。……僕は醜聞が広がるかもしれない。
……噂が広がってしまうかもしれない。
婚約者の母親に手を出した男として。
そうなれば……。
若い男の人が好きなマダームたちから色々誘われるようになるかもしれない。
ぐ、ぐふっ。
ダメだ、鼻血か出そう。
そして、当初の予定通り、かなり行き遅れたご令嬢と結婚……。
何にも問題ない!
そうと決まれば、早速誘惑しに……。
上半身を勢いよく起こしたところで、ノックの音が。
「失礼いたします。……と、アルバート様、大丈夫ですか?」
執事のセバスだ。
「はい。失礼いたしました。突然……その、お、お、お……」
奥様と呼ぶべき?なんと呼べばいいのだろう?個人的には理想の女神と、我が女神と呼びたいけれども。
セバスがゆっくりと首を横に振った。
「アルバート様、無理にお母様と及びする必要はありません。ご説明させていただいた通り、半年のお試し期間を経たあと」
半年のお試し期間?
何だ?婚約するまでにもお試しがあるのか?
っていうことは、その間の素行で話はどうとでもなる?
何の問題もないとも言えないからなぁ……というのは本当は知ってる。悪い噂が立てば、親衛隊の道は閉ざされるだろうし。流石に、女性に養ってもらう紐になるつもりはない。
財産目当てで好きでもない年上女性徒結婚したけれど、若い子と遊びながら妻の悪口を言い続けるようなゲスとは違うんだ。
財産目当てなんかじゃない。体目当て……と、いうわけでもげふんげふん、それは、まぁ、触れたいとかそういうのは……げふんげふん。
とにかく、穏便に幼女との結婚が回避する方法があれば、それを選ぶ。
ご覧いただきありがとうございます。
……脳内駄々洩れヒーローアルバート君です。
熟女が好きすぎてちょっとおかしなアルバート君です。
……アルバート君に温かいご声援をお待ちしております。
感想欄にていただきました声援は、アルバート君の脳に直接お届けしようと思います。