癖
なにかに囚われたように適当に作りました
門構えが大きすぎて威圧的な印象を受ける。
門の両脇には獅子舞と狛犬と竜を掛け合わせて割ったような珍獣が座して向かい合っている。
中庭の灯台に照らされ逆光で見る門は黒くデザインに懲りすぎていて催眠でもかけられそうな程に巻いている。
鳥たちが羽休めに失敗すれば串刺しされそうな程に尖鋭化した装飾で緑青もあることから銅製なのだろう。
門の脇から蔓が必死に巻き付いているからか、遠目では威圧的だった門は緑青や若い色の蔓とのコントラストで幻想的な雰囲気を醸している。
目的に似合わず荘厳だ。
そうそう見かけることのない珍しい門構えに気を取られていると門構えと同色のインターホンから爽やかな声が聞こえてきた。
「どうぞ」
「あっわかった」
インターホンの周りが綺麗に浮き彫り装飾されていた。
ここだけでも職人でも呼んだのかと思えるほど見事な彫りだ。
カメラはどこだろうか。・・珍獣の口の中だ。
ウィィィィィガッコン
ガシン キィィィィガシャン
ィィィィ
鍵である大きめのつっかえ棒がモーターの巻き取り音を伴って自動で引き抜かれる。
門と同色のつっかえ棒は門に内蔵されているようだ。
つっかえ棒は鉄製だろうか、金属特有の高い摩擦音がつんざくようで不快だ。
なのに門と門構えの連結部は低音で厳かだ。銅の純度が高いのだろう。
荘厳というかこだわりが過ぎる。
中庭に入ると灯台の色が変化した。赤紫に。
振り替えると吸血鬼でもいそうな雰囲気になっていた。
「なぜここまでする必要が」
思わず口ずさむが動揺してはいけない。
門構えに比べ小さめの中庭は剪定された低木が中央に山なりにあり、ありがちな噴水はない。
門構えとの差が気持ち悪いほど落ち着いた剪定のデザインを見て溜め息をつく。
低木を囲むレンガは真っ白で石灰岩のようだ。
雨に溶けだしそうだがコーティングはなされているようで、建物からの光が反射した。
建物に近付いていくにつれ違和感を覚える。
低い。
「高い天井にしてよかったー」というコマーシャルを知らないにしても国際化しつつある時代の潮流では考えられない。大阪の地下街より低く見える程に。
デザインミスかと思ったが地下0.5階層の玄関が見えてなるほどと直ぐ納得した。
錯視でもかけられたかのように通常運転で騙されてしまった。
入り口までででこのような趣向があるなど予想できるわけもない。
わくわくが止まらない。
ここはラブホテルなのだ。
そうだろうねー
そうだろうねー
不思議だよねー
無駄にこだわった描写がもったいない感じで
男
ドライブスルー感覚で来だのに「どうぞ」って興奮して窓開けてだみたいだべー
カッコつけて「わかった」って言っだけど驚いたべなー
真ん中のちっこい木はなんかまあるくで落ち着ぐなーふぅ
っぬ!車高だいじょぶかぁ?!あぶぶぅ
どうもハイテクすぎでよぐわがらぬけんど楽しみだー
女
思わず「ここまでする必要が」とか言ってしまった
口調で変に怪しまれなかったかな
何もいってこないし大丈夫そう
イケメンだけどごめんね
さっさとお金手に入れてバッグ買いに行かなきゃ