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プロローグ☆冴子と浩次

「冴子さん」

ふいに名前を呼ばれた。

振り向くと、今の私と同じくらいの年のおじさんが立って微笑んでいる。

「えーと、どなた?」

「あのほれその・・・」

慌てて説明しようとするおじさん。どこかおかしい。挙動不審っぽい。

「浩次です。20年前に俺に告白したでしょ?」

「ひええええええー」

なんのこっちゃー?

どびっくりしている私に、私しか知らない秘密をいくつか言い当てるおじさん。

「ちょっと待って。私、初対面ですよ」

するとおじさんはすねたように上目使いで「運命の人とまで言ったのに」と呟いた。

思い当たらない!

私はその場から走って逃げた。


「たーいむたいむ♪タイムマシンはタイムコーポレーション」

タイムマシン、ねぇ。

最近テレビで流れてるCMに反応する。

「もしかして私、20年前に行かなきゃなんないのかな?」

クッションを羽交い締めにしてうなる。

「運命の人って私が言った?」

おかしいよ!絶対おかしい!

事の真相を確かめなきゃ!

そして私はタイムコーポレーションの門を叩いた。

「あれ?冴子さん」

なんでか、職員が私を知っている。

「あの、私、身に覚えがないんですけど、20年前に行ってるらしくて」

「そうですよ。俺ら20年前に冴子さんと会ってますもん」

「うそー」

どっからこの無限ループは始まったんだ?・・・もしかして今?

「私、バツイチの40代ですよ!あの人に声をかけられるまで全くかかわりあいなかったのになんで?」

「あの人って、再会できたんですか?そいつはすげえ」

「なんのこっちゃ?」

「ああ、じゃあタイムマシン使うのは今回が初めてってことですか?いやーすごいな」

職員一同笑ってる。

「費用とかは?」

「この会社がオープンした30年前に全額いただいてます。宝くじが当たったっていってたな」

「どひー」

これはあれだ。巻き込まれ型の一大事だ。

「帰りま・・・」

「見たくないんですか?会いたくないんですか?あなたの王子様」

「・・・見てみたいです」

涙目でやっと言う。

「残念ながら20年前に行っても現在のあなたの姿でしか存在できませんが」

そんな殺生な!

タイムマシンの座席に座る。青いガラスで覆われた蝸型マシーン。

「さあ、過去への旅に出てください!」

時間軸と空間軸の調整を教えてくれた職員が笑顔で言った。

ぶううううううううううううううん。

タイムマシンの外側が見えなくなる。

怖くなるけれど、もう戻れない。

本当に本当?

浩次と名乗ったおじさんの面影が、見えつ隠れつした。


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