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スキル《神層学習》―学習する最強の兜(俺)-  作者: 茅原
最強の兜と水着コンテスト
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酔っ払いエルフ姉妹と最強の兜

お久しぶりです。

『最強の兜と水着コンテスト』編の後編を連載開始します。

おそらく4~5話ほどの内容になります。よろしくお願いします。

「っ……っ……っ……ぷは~っ!」


 ジョッキに入った麦酒いわゆるビールを全て飲み干して、ララはそのジョッキを隣にいた男に投げつける。


「まだまだ飲めるわよ! もっと酒持ってこい!」


 その威勢のいい言葉に、酒場内にひしめいている男たちが拍手喝采を上げる。


 まあ、いわゆる祝勝会というやつである。


 俺たちは別にこんなものをやる予定はなかったのだが……大会後、ガロン爺さんに連れられて酒場へ入ったと思ったら、ララとセリアさんが酒場にいるということを聞きつけたらしい男たちが後から後から店に流れ込んできて、いつの間にかどんちゃん騒ぎが始まっていたのだ。


 その主役は当然ララ。


 そして今日まで知らなかったのだが、ララはかなりの酒好きで、しかもかなりの大酒飲みらしい。さっきからほとんど間も空けず胃にビールを流し込み続けているのだが、そのペースがいっこうに落ちない。


 俺もこの身体になってなかったら、一緒に飲めたのにな……。


 俺は別にそこまで酒が好きというわけではないのだが、このララの見事な飲みっぷりを見ていると無性に酒が飲みたくなってくる。


が、もし俺が元の身体でここにいたとしても、ララと杯を交わすことはできなかっただろう。なぜかというと、


「ふへ~~~~」


 一杯飲んだだけのセリアさんが、テーブルに突っ伏して完全にノびてしまっているからである。


 だから、俺はいま酔うわけにはいかない。周囲の薄汚い男共から、セリアさんを守るという義務があるからな。


「壁じゃ……壁がある……!」

「今ならあのおっぱいを……触ってもバレなさそうなのに……!」

「ぐぬぅっ……! こ、これがエルフの魔力なのかっ……?」


 ガロン爺さんとその他二名を、俺は物理防御の壁を広く展開して押し留めつつ、ついにテーブルをお立ち台にして野郎共と飲み比べ対決をし始めたララのことも心配する。


 と、ふと、


「んにゃ?」


 セリアさんがむくりと身体を起こして目を擦り、それから一度、大きくあくびをしたと思うと、


「う~……なんだかとっても暑いわ……」

「セリアさん? 起きたなら、もうそろそろ――」

「暑いっ!」

「セリアさん!?」


唐突に叫んだ直後、セリアさんが立ち上がりながらそのベストを荒々しく脱ぎ捨てて、それからワンピースまで一気に頭の上まで捲り上げた。


 つまり、全てを脱ぎ捨てて下着姿になったのである。


「「「むぅっ!?」」」


 その突然の展開に、ガロン爺さんや周りの男たちがギョッと目を剥くが――そうはさせるか。


 白魔法・《ライト》!


 俺は瞬時にフルスロットルで魔法を発動。カメラのフラッシュよりも強烈な閃光を俺の身体から放った。


「ぐあぁぁぁぁぁぁっ! 目がああああああああああぁぁぁぁぁっっ!」


 男たちは目を押さえてもんどり打つ。


 よかった。どうやらセリアさんの清純は守ることができたらしい。と思ったのだが、


「うふふっ。これもいーらないっ」

「ちょっ……! セ、セリアさん!」


 セリアさんは服だけでなく下着までぽいぽい脱いで、それでようやく満足したように再びイスに座って眠り始めた。


 隠さなければ!


 しかし、この強烈な光を常に店の中に展開しておくわけにもいかない。


 どうすれば……! どうすればいいんだ!


 予想もしなかった突然の出来事に俺は思わず混乱して、しかしそんな時、俺の脳裏にハッと、とある記憶が蘇った。


 深夜アニメでたまに見かけたアレ……アレならこの窮地を乗り越えられる!


 やるしかない。これしかセリアさんの清純を守る術はない! 


 俺は決意して、神経を極限まで尖らせながら、光の強さは維持しつつその範囲をじりじりと窄めていった。そして、


 ――よし、上手く行った……。これなら問題ない。


 セリアさんの胸と股間を隠す、真っ白な光の帯を完成させて、その出来に我ながら満足。


いわゆる『謎の光』を――あの日、あの時、死ぬほど恨んだ謎の発光現象を俺自身が作り出す日が来ようとはな……。


「なんじゃ、この光は!?」

「去れ! この忌々しい光め! 乳首を見せろ、乳首を!」


 男たちの喚く声がむしろ心地いい。残念だったな。この光の下が見たかったらブルーレイを買うしかないぜ。


「アンタ、なに黙ってんのよ! アンタも飲みなさいよ!」


 なっ!?


俺だけはどうにか光の中を見られないだろうか。と、眩い光の中にじっと目を凝らしていると、不意に横から手が伸びてきて、ツノを掴んで持ち上げられた。


 お、おい、ララ! お前、酔いすぎだろ!


「何よ? 喋れなくなっちゃったの? おーい、聞いてんの? ねえ」


 こんな衆目の中で喋れるか! おい、いいから俺をセリアさんの頭に戻せ! 俺にはセリアさんの清純を守るという大切な役目が――


「おい、アンタら! これに酒入れなさい!」


 唐突にララが言って、俺を逆さまにしながら周囲の男たちへ突き出した。


 すると、男たちは我先にと急ぐように、手に持っていた杯からビールを俺の中へどぷどぷ注ぎ込み始める。


 おい! やめろ! 酒臭くなる! お(ララ)はいいのかもしれないが、セリアさんは俺を被っただけで酔っ払っちまうぞ! 道中でいきなりすっぽんぽんになっちまうぞ!


 もうかなり酔いが回っているララは、セリアさんがいま『謎の光』だけに守られている状況など目にも入らない様子で、ゲラゲラ笑いながら俺をビールでいっぱいにさせると、


「行くわよ! アンタらもアタシについてきな!」


 山賊の女頭領のように周りを煽ってから、俺という杯に口をつけて、ごくごく喉を鳴らしてそれを飲み始めた。


『ラーラ! ラーラ! ラーラ! ラーラ! ラーラ! ラーラ! ラーラ! ラーラ! ラーラ! ラーラ! ラーラ! ラーラ! ラーラ! ラーラ! ラーラ! ラーラ! ラーラ! ラーラ!」


 昼間、会場で聞いたのと同じコールが店内にこだます。


 ララはその中で、一呼吸を置くこともなく俺の中を全て飲み干し、空になった俺を天へ向けて掲げた。


そんなララを、さらなる拍手と喝采が迎える。


 …………なんだ、これ?


 当然ながら一ミリも酔っていない俺は、狂騒状態の周囲を冷めた目で見やりつつしかし、ララがその唇を押しつけてくれるコレ(コップ代わりにされる)は悪くないなと密かに思っていた。


 ブラジャーになるのもいいし、コップになるのもいい。いずれはこのエルフ姉妹の生活の全てを支えるような存在になりたい。


冗談ではなく、これは本当に心からの願望である。

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