第一章 扉の向こう
静かな森で座り込んでお祈りをする少女がいた。
「どうか…この世界に平和を…」
第一章 〜扉の向こう〜
「なんだろ…今の夢」
少年、大和は目をうっすら開けて呟いて目覚まし時計を見ると、学校には完全に遅刻の時刻だった。
2時間も過ぎていて学校にも行きたくない気分だった。ふと、窓の外を見てみると上に続く階段が付いていた。
「……いつ改築したんだよこの家」
気になったので窓を開けることにした。そして階段の先を見てみると、そこには大きな扉があった。怖くなった大和は母親の部屋へ行き話を聞きに行った。だが、そこには母の姿は無くどこかに行ったのだろうと思い、その部屋を後にした。
外に出てみると人影が一つもなかった。いつもは八百屋の声や客の声に賑やかだった商店街にも人はいなかった。
「おーい!誰かー!」
大和が大きな声で叫んでも誰一人出てこなかった。では学校はどうだ、と大和は思いすぐさま学校へ向かった。だが学校にも人はいない。生徒や先生もいつもいた野良猫もいない。
悪い夢でも見ているのだと思い強く頬を抓った。すごく痛い。どうやら夢じゃ無いらしい。だが何故人が一人もいないのか不気味になり家へ帰ることにした。
大和は考えた。きっとあの扉に何かがあると思い玄関から靴を持ってきて階段を上った。
扉の前まで来たが、そこには扉が一つ置いてあるだけだった。裏にも何も無い。
「………」
大和は黙って扉を開ける事にした。そして大和は驚愕した。
扉の置くが渦を巻いてマンションや家が歪んでいる。
「!」
すると吸い込まれるかのように扉に入った。
空から落ちていた。
「う…うわぁあああああああ!!」
すると目に一つの村が飛び込んできた。
ズガガガッシャーン…。
大和は一軒の家に落ちた。その家に人々が集まってきてざわつき始めた。
「なんだなんだ!?」 「なんだいこの変な服着た子は?」
やがて騒ぎは静まり、その家の主の少女はこの村の村長にこの出来事を伝えに行った。
「ふむ……その少年が目を覚ましたらここへ連れてきなさい」
やがて数日経ち大和は目を覚ました。目をあけるとベッドの上だった。大和は見慣れない風景に疑問に思い、その家を出た。だが体中が痛い。すると村人らしき人が話しかけてきた。
「よそ者がっ…とっとと出てけ!」
ホウキで叩かれ体がさらに痛んだ。すると目の前に一人の少女が立っていた。長い髪をしていて後姿だけでもスタイルは良かった。少女は大和を家に連れて入った。
「いてて…その…ここって…?」
少女はため息をつきながら言った。
「こっちが聞きたいわよっ!あんたの方から落ちてきたんじゃないの!」
少女は顔を膨らませて言った。では扉から落ちたのは夢では無かったのだろうか。大和はその少女に謝りながら言った。
「ごめん…それでここは?」
少女は困った顔をしながら答えた。
「あんた何者なの…?…ここはパラレルワールドの外れの村よ」