表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
78/253

第75話 疑問と興味

短いです。後一話いけるかも


 ――警察庁長官官房長室――


「それでは」


 警察庁長官官房長――東条秀忠(とうじょうひでただ)は、困惑気味に壁に設置された電話機に終了の指示を出す。


(どういうことでしょうか?)


 武帝高校校長にして、歩く核兵器こと《八戒(トラセンダー)》の一人――碇正成(いかりまさなり)からの突然の電話。

 碇翁(いかりおう)は現在、ロサンゼルスで開かれている年に一回の《八戒(トラセンダー)》による会議に出席の最中。

 話を要約すると――《一三事件》など儂が帰国したら真っ先に片づけてやるから、武帝高校の学生を巻き込むな――そんな内容だった。

 即答を避け、事実関係を調査して返答しますとのみ返答した。即答を避けたのは、全く事情が呑み込めないことももちろんあったが、それ以上に碇翁の発言が不可解極まりなかったから。

 碇翁は一応武帝高校の校長ではあるが、その本質は教育者ではなく、探索者。探索者は命を懸けてなんぼの職業であり、仮にその卵とは言え、身の安全確保のために電話をかけてくるほど甘くはない。死んだ者が悪い。そんな発想だ。

 何より、近年碇翁はいかなる組織からも依頼を受けることを固辞していた。その翁が自ら進んで依頼の受託を申し出るなど雪どころか、爆弾でも降ってくるレベルの稀有な事態だ。

 つまり、武帝高校の学生とやらには、碇翁をそうさせる何か重要な価値があり、それらは我ら警察にも関連性があること。

 

(調べないわけには行きませんねぇ~)


 『一三事件』の管理官は、八神徳之助(やがみとくのすけ)警視正だったはずだ。奴は良くも悪くも有能であり、協力者の少年とやらを知らぬはずがない。そしてそれは、碇翁が八神の上司の秀忠に直接電話をかけてきたことからも明らかだ。確実に八神はその少年とやらと接触している。

 碇翁をして執着させるほどの少年。面白い。実に面白い。

秀忠は逸る気持ちを抑えつつも、壁の電話機に八神への通信の指示を出す。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ