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第21話 メイド説得

 腕時計を見ると、もうすぐ、ケント達が公園で遊ぶ時間。今、迎えに行かないとマリアが危険だ。

 裏路地に入り周囲に人がいないことを確認し、【覇者の扉】を顕現させる。

 扉を開けて、地球に帰り、ケント達のいる公園へ直行する。

 

 案の定、フリスビーで遊んでいるケント達をベンチに座らせ、根気強く説得を試みる。

 カリンが狙われているのは確実。しかも、志摩家にスパイまでいる。普段とは比較にならないほど、ケント達にとって危うい状況なのだ。そんな鉄火場のような中、今回のような愚行を頻繁にすれば、いくら命があっても足りはしない。


「お前達、二度と勝手なことをしないと誓うか?」

「誓うよ!」「誓うの!」


 前回同様、ミラノの責任問題になる旨の発言をすると、ケント達は二度と無謀な冒険をしないと誓ってくれた。


「今は忙しいが、ひと段落ついたら、俺が遊んでやる。もちろん、いい子にしてたらが条件だぞ」

「「ほ、本当!?」」


 パッと顔を輝かせ、言葉が綺麗にハモるケントとマリア。


「ああ、俺、嘘はつかねぇよ」


 今の絶望の袋小路のような事態を乗り切れば、俺にも多少の余裕が生まれる。今回の件で、力の上昇のめどがたった今、来週の実習試験で落第にはならないであろうから。

 一日ならケント達と遊んでも、志摩家にばれることはなかろう。餓鬼共が疲れてへたり込むくらい徹底的に遊んでやるさ。


 興奮するケント達を落ち着かせて、ミラノの携帯の番号を聞き、ケントのスマホから電話をかける。志摩家にかければ、半蔵さんがでる。そして、間違いなく、俺は志摩家を訪れるはめになる。冒険はできない。

 それに、ミラノが遅れたのは志摩夫妻の都合らしく、夫妻に処罰の意思がない以上、ミラノの罪悪感さえクリアできれば、万事上手くいく。


「坊ちゃま!!」


 焦燥のたっぷり含まれた女の声がスマホから聞こえてくる。今にも泣きそうな声色は、単に自身の保身だけ考えているものに出せるものではない。


「ミラノ、俺は相良悠真(さがらゆうま)だ。ケントとマリアを保護している」

「ケント坊ちゃまとマリアお嬢様は御無事なのか」

「傷一つねぇよ」


 耳に当てるスマホから、ミラノの深い安堵の籠ったため息が聞こえる。


「そうか。相良悠真、保護、感謝する。それで、今どこにいる?」

「ここの場所を教える前に、一つ条件を飲んでもらおう」

「条件、何だ? 早く言え!」


 少し荒い声色になるミラノ。相変わらず、せっかちな奴だ。


「ケント達には今回の件につき、きっちりと反省させた。お前の事だ。今回迎えが遅れたのにもそれなりの理由があるんだろ? お前に非がない以上、ケント達に絶対謝るな」

「謝るな? 迎えが遅れたのは私なのだ。できるわけなかろう!」


 長いときが経ってもミラノの頭の固さは健在らしい。


「だが、ケント達がその場を動かなければそもそも問題は生じなかった。これはケント達の過ちだ」

「そ、それはそうだが……」

「ミラノ、可愛がることと甘やかすとことは違うぜ。ケントとマリアは良くも悪くも真っ白なんだ。それを黒く染めるのも、色鮮やかに飾るのも、お前ら大人次第」

「……」


 都合が悪くなるとだんまりか。こんなところも全く変わっちゃいない。奇妙な哀愁の念を抱きながら、話しを続ける。


「それに、お前が何らかの処罰がされれば、ケント達の心に傷を残す。ミラノ、お前のそのくだらない自己満足のために、ケント達まで苦しめる気か?」


 責任感の塊のようなミラノを篭絡するには、この手の言葉が最も効果的だ。

 案の定、スマホからは、ミラノがギリッと奥歯を噛みしめる音が聞こえてくるが、直に止む。


「わかった。受け入れよう」

「サンキュウ、今、《日相谷(ひさがや)駅前》付近の公園にいる」

「私は――」

「うん?」

「お前のそういう所が、昔から大っ嫌いだ!」


 その言葉を最後に、電話はプツンと切れてしまった。

 肩をすくめて、ケント達と話しながら、ミラノの到着を待つ。



 リムジンを公園前に駐車し、血相を変えて公園内に飛び込んでくるミラノ。

 そして、俺達に速足で近づくと、ケントとマリアを強く抱きしめる。


「よかった。坊ちゃま。お嬢様」

「「ごめんなさい」」


 涙声のミラノにつられてか、ケント達も泣き出してしまう。

 上手い感じにまとまった。そして、今回の件でミラノ自らが責任を取ると主張することもあるまい。


「またな、ケント、マリア」


 右手を上げてひらひら振ると、公園の出口に向かう。


「ユウ兄ちゃん、約束だよ!」「約束だよ!」

「おう!」


 ケント達に右拳をつきあげる。


「悠真」

「ん?」


 首だけで振り返ると、俯いているミラノの姿が網膜に映る。


「ありがとう」


 その弱々しい姿は、二年ぶりに見る外聞や立場という化粧をふき取ったミラノだった。



三週目は、この調子で異世界での活動と地球の活動を繰返すことになります。ようやく、ここから盛り上がっていきます。

若干、短くてごめんなさい。区切りが良いので今日はこのくらいにしたいです。


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