シュールレアリスム
唾液に麻酔効果でもあるのか。
首元を噛まれた獲物はただ地面に仰向けに倒され、されるがままになっている。
獲物の形容を確かめるかのように、力強く、身体に爪を立てられる。獲物はその度に、少しの痛みと共に身体の組織が変えられていくような感覚を得る。
ふと、手が止まり、不思議に思って視線をあげると射抜く様な目に視線を釘付けにされる。
しばらく見つめ合い、あぁ、食べられる。と自分の運命を感じた瞬間、凄まじい快感と熱と共にずぶずぶと手が身体に入ってくる。
手は私の中を鮮血を撒き散らしながら自由に引っ掻き回し、好きな臓器を引っ張り出しては取り出して、私に見せつける様にそれを頬張る。噛み千切られ、口内で咀嚼され舌の上で転がされ、喉を通り胃酸でゆっくりと溶かされる快感は例えようもない。
ごぼっ。という音と共に、真っ赤な鮮血が口から溢れてきた。それに気づいた生き物は、後ろ首を掴んで持ち上げ、首を食い破って来た。風通しの良くなった首元を撫でる舌の感覚がくすぐったくて、ふふっと笑うと、生き物は首から身体を離しじっ。と目を見つめてきた。瞳の中の言葉が嬉しくて、口を開き舌を精一杯伸ばす。舌と舌が絡み合い、彼の唾液が流れ込んでくる。
重過ぎる快感に意識を焼かれながら、彼が頭を肋骨の中に突っ込むのが見えた。
私は最期の力を振り絞って手を伸ばし、彼の頭を自分の中で抱きしめた。