奇談 ー歩く人影ー
小さい頃に私が住んでいたマンションは昔の建物としては結構高く、当時マンションの周りにも某会社の施設が一つあるくらいで一般の人が自由に出入り出来る建物は私の住んでいたマンションだけでした。
だから飛び降りる人もいたのかも知れませんが・・・
そのマンションに住んでいた頃、夜になるとマンションの通路は蛍光灯が点き、夜中になると非常灯が常時点灯しているので真っ暗になることはありませんでした。
私の居た子供部屋も通路沿いにあったので寝る時はカーテンをしないと明るくて寝れませんでした。
同じ階に住んでいるご近所さんに覗かれるのではと思うかも知れませんが、窓ガラスは磨りガラスの様な透かして見えるものではなかったので覗かれることはありませんし端の方だったので通る人も殆どいませんでした。
どこの家庭でもそうだと思うのですが、私の両親は毎日の様に勉強しろと五月蝿かったです。
ただ、勉強しなければ殴られ、勉強すれば電気代が勿体無いといわれては殴られてました。
だからテスト勉強の時は部屋の電気を消して、マンションの通路の光で勉強してました。
マンションの通路の光を頼りに勉強しているのですから人が通路を横切れば窓ガラスに影が映りますし、教科書に影ができたりもします。
時々そういう事が起って人が通ったのは理解できるのですが、誰が通ったのか確認する為に窓を開けて通路を覗いてみると誰もいない事がよくありました。当然ながら隣の家のドアが開いた様な形跡もありません。
人影は男の人だとシルエットで分かるぐらいで顔も分かりませんでした。
結局そのマンションを引っ越すまで続いていたのですが、もしかすると飛び降り自殺した人の意思が影となって出てきていたのかも知れません。
確認のしようがないのですがね。
ただ、飛び降り自殺を目撃した数ヶ月後に分かった話なのですが、自殺した人が飛び降りた階っていうのが私の住んでいた階で私の部屋の前から飛び降りたと警察から聞きました。
引越してから一度もそのマンションに遊びに行った事がないので今でも出るのかは不明です。