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僕たちが過ごした青春  作者: 劉蓮
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第5回 試合開始

二年生が試合準備をしている間、僕たちは作戦会議と言うかただ集まっているだけで一言もしゃべらなかった。

ナンバーリングを着て深呼吸をすると、青波くんが肩に手を置いてにっこり微笑んでくれた。その仕草は全て勇樹くんと同じで、涙が出てきそうになった。

「一年生のみなさん、試合開始します」

詩月さんが僕たちの準備室に来てわざわざ言ってくれた。

僕はもう一度深呼吸をしては扉の向こう側に行った。そこには三年生の姿があり、緊張で手が震えた。

審判役として監督の佐々木先生、顧問の梨夏先生が着いてくれた。

ピーッと笛の合図と共に挨拶。C(センター)の人二人がジャンプボール。先攻は先輩達だった。僕たちは直ぐに戻ってディフェンス。

先輩達は冷静で、パス回しをしていた。限られた時間の中、慎重に行い二四秒計の残り一〇秒になったとき、シュートが打たれた。しかもスリー。

それがあっさりと決り、先制点を取られた。

「一本!」

SG(シューティングガード)の奏多がそう叫んでエンドラインからボールを僕にパス。僕はそれを受け取ってドリブルを開始。ハーフまで辿り着くとみんなの配置を頭の中で上から見た状態に変換し、空いているところにパス。

僕が渡した相手は、Fの青波くん。試合が始まる直前、僕の耳元で呟いたのだ。

“俺は一対一が得意だよ”

って。だから僕は青波くんに(たすき)を繋いだんだ。

青波くんに着いているのは燐さん。ディフェンスが強くて抜かれたことがないらしい。それを(くつがえ)すのが青波くんの役目。

僕はもう一度パスを出したのとほぼ同時にブイカットで貰いに行こうとするフェイント。

「青波!」

目付きが悪そうな、累くんが大声を出して貰おうと手をだすのもフェイントで、そのまま逆サイドに走っていく。

青波くんの一対一が始まった。それはとても一瞬で、でも確かに僕には見えた。

チェンジ・オブ・ペースをしたかと思えば、切り返しのドライブ。それを読んでいた燐さんは、瞬時に反応。だが青波くんが一歩早めにターン。そのままレイアップかと思いきや肘で逆サイドに居た累くんにパスを出す。

「凄い」

息を飲んだ。

こんなに凄い選手は、勇樹くん以外に見たことがなかったから。

点を入れた累くんは青波くんにハイタッチ。初めて、先輩の唖然とした顔を見た。

僕も負けていられないと思い、おとくいのジャンプ力を生かしてシュートを止め、オフェンスに繋いだ。

「高瀬、こっち」

青波くんの声が聞こえて、僕はもう一度パスを出した。

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