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神にだって無理なことがある

作者: 猶路 豊

水没したPCをやっと買い換えて久しぶりの投稿です。リハビリです。お手柔らかにお願いします。

「きゃっ」


ドサッ…カシャン


昼休みの廊下は時に何を思ったか走り出す男子学生がいるのだ。そんな男子の犠牲になった少女が1人。男子生徒にぶつかって廊下に倒れこんだ彼女の側にはクラス全部のであろうノートと眼鏡が広がっている。

女子生徒は艶やかな黒髪を乱れさせ、倒れこんだ姿は野暮ったい制服にもかかわらずスタイルの良さが際立ち、休み時間で廊下に出ていた思春期真っ盛りの男子生徒の視線を一身に受けていた。まるで魅了の魔法にかかったかのように動けない彼らを知ってか知らずか、光をまとっているかのような綺麗な顔立ちをした男子生徒が彼女のメガネを拾い上げて近寄るのだった。


「加藤さん、大丈夫?はい眼鏡。」


「?」


眼鏡を受け取りながらも、特徴的な彼に気付かない彼女に微笑みながら彼は答えるのだった。


「同じクラスの倉田だよ。それにしても大丈夫?とっても疲れているようだけど。」


「えぇ、朝までゲームを(ぐふ)」


眼鏡をとった彼女は目をひどく充血させて、なおかつ目の下には太い隈があった。極め付けの気味の悪い笑い声…。せっかくの10人中10人が美しいという顔とスタイルを持ち合わせていても台無しな状況がそこには生まれていた。そして、ノートを拾い集めた彼は「ぼくが持っていくよ。」と爽やかに立ち去っていくのだった。



ところかわって、ギリシャ神殿のような建物の中で鏡を見つめて叫ぶ男が1人。


「なぜだ、なぜなんだ!眼鏡を取ったら美女はギャップ萌の定番だろ!腐ったゲームで徹夜してんなよ…。」


鏡の中には先ほどの2人が映し出されている。それを見ながら叫んでいるのだが、最後の方は涙目である。それもそうだろう、男が恋をする予定の2人に恋の神として与えようとした数々のシチュエーションが無駄にされているのだから。


男が最初にやろうとしたことは、本屋で本を取ろうとしたら手を合わせてドキッっというベタなことだったが、件の女生徒は腐っていた。そんなとこで手が合わさったら違うドキッになってしまいそうなので、男は諦めたのだった。


そして、次に考えたのは2人が近づいた時に女生徒をつまずかせて男子生徒に抱きとめられる予定だった。だが、無駄に高スペックな女生徒の見事なターンで回避されるのだった。


そんなことがもう10数回を超えていたのだ。恋の神の面目丸つぶれである……。


「こうなったら……」


バシッ


目が怪しくなっていた恋の神が何かをしようとした寸前、頭に衝撃が襲った。振り返った男が見たのは、ハリセンを持って目の下に酷い隈を作った女神ぶかの姿。


「いい加減にして下さい。貴方が他の仕事をしないから…もう何日寝てないか。」


恋の神が2人にかまけている間に部下たちは世界中の恋人達のために奔走していた。でも、もう限界である。


「待ってくれ、あと少し…このままで、終われるか〜〜〜」


目の血走った女神達ぶかたち引きずられて、恋の神はその場を立ち去ったのだった。


恋の神でもどうすることも出来ないことだってあるのだ、神のみぞ知る?さて、2人の恋はいかに進むやら。


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