表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
killer tune  作者: radai
8/16

移籍とバイト3

ーあなたは日本一になれる。安心して芸能界のトップを狙いなさい。そして私を…私たちを超えなさいー


「…がくん。千賀くん!」

ふと我に返った。

「ああ…わり」

「自分から早くしてとか言ったくせにいつまでお祈りしてんのよ。ノロマ」

「…口悪いぞ」

「あら?思った事言っただけよ。嘘つきと違ってね」

「嘘つき?」

「思った事言うって言ったわりにあんた自分が自分の事考えてる時なんも話さないんだもの。これのどこが正直者なの?」

「…」

こいつに舌戦挑むのはやめよう。墓穴を掘るだけだな。

「ところでまだ着かないの?」

「もうすぐだよ」

俺はほんの少し足を早めて先を急いだ。


「ここだよ」

「うわー小さいボロい…けど、案外ちゃんとしてるんだね」

「褒めてんの?けなしてんの?」

「ほぼけなしてる。ただ警備員がいるのは芸能プロって感じ。」

「うちは大手じゃねえから期待すんなよ」

一応時間通りに着いた俺たちは手続きをして社長室へと向かった。


コンコン

ノックをすると中から「どうぞ」と聞こえたので中に入る。

「おおよく来たね〜」

父親の川原武。かなりいかついので初対面の人は必ず縮み上がるのだが性格は引くほどのお人好しだ。

そのせいで幾度となく会社の拡大のチャンスを逃し、現在に至る…が一方、そのおかげで顔も広いので会社の業績は悪くはない。

俺はどうもそりが合わないので苦手な人ランキングで3位にランクインしている。

…そのうち4位になりそうだけどな。

「どうも。よろしくお願いします」

武田美穂はニッコリと挨拶をしていた。

こいつは怯えないな…珍しいタイプだ。

俺でさえ未だに2人きりになると恐怖を感じるオーラがあるのに…。

「学校はどう?馴染めそうかな?」

「はい!一名を除いていい人ばかりです」

「おい…それは俺じゃないだろうな?」

「さあ?か弱くて心細い転校生に一人だけ声をかけない人でなしだから覚えてないのよ。誰かしらね?」

「…」

「ああ!その人ずーっとブスっとしてたから最初はウーパールーパーかと見間違えたのよね」

ウーパールーパーねぇ…俺ってそんな顔してたのかな…

「うははははは!ウーパールーパーとは!…こいつはそんなに可愛くないぞ?」

「え?」「へ?」

ウーパールーパーはうちの父親から見たら可愛いらしい。昔から知ってたけどこの人なんか世間一般とはずれてんな。

「さて。それじゃこれからよろしく頼むよ美穂ちゃん。うちの息子は召使いのように使っていいから。一応そいつがいればある程度はこなしてくれるから」

「はい。」

どうやら俺はしばらくこいつの下につくらしい。上司公認。公奴婢ってわけだ。

「また二人で並んでるのを見ると嬉しくなるな」

ん?また?

「社長!」

武田美穂は片目を瞑ると一本指を立てシーッのポーズをした。猫かぶりの武田美穂は可愛くあざとい仕草が様になっている。

「あ…ごめんごめん」

父親がすぐに謝る。

…おい親父なに顔赤らめてんだよ。相手は現役JKだぞ。

って…待て待て。

「え?俺こいつと会ったことあんの?」

子役時代のことはもうあまり記憶にないので俺が覚えていないだけかもしれないが、武田美穂なんて名前聞いたこともないような…

「昔ちょっとね〜」

秘密ということだろうか?

「啓、案内頼むよ」

「ああ…」

モヤモヤしてムカつくがとりあえず案内しよう。その後聞けばいい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ