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雨と死
雨の夜中だった。
寝ているところを無理やり起こされて、起きるのを渋っていると父親から頭を殴られた。
なんだよと怒鳴ろうと飛び起きるといつもは仏頂面な父親のいまにも泣きそうな、切迫した顔があった。
ーああ、ついにかー
あの時の俺はそれくらいしか考えられないくらい神経衰弱していてきっとどんな言葉もどんな表情もどんな暴力もただボーッとした顔で受け流すだけだったに違いない。
母親が死ぬ。
医師からの話を聞いて3日経った今夜その予言が当たろうとしていた。
「早く支度しろ」
父親が急かすので急いで準備する。
顔洗い、着替え、バックに必要なものを詰める。
家を出ると寝る前の雨の2倍くらい酷い強い雨が傘を叩いていて少し怖かった。
車の中は俺も父親もラジオも無言でただカーナビの声だけが聞こえていた。