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予期せぬ決着

「わたし達は先ほどケイと出会った場所へ戻ってきた。戦うためである まる」

「今回のなんかちょっと変わってるな」

「ついにユイカも慣れてきたね」

「さすがに何回もしてたらな」

「じゃあ次回はユイカの番ね」

「げ……マジか」

「まじまじ、よろしくね」

「おいおい……」

「何してんだ」

ケイとの間は5メートルくらい、周りには誰もいない。

「ちょっとお決まりを」

「ふーん……終わったなら始めるぞ」

銃口がこちらを向いた。何故か左手は、ズボンのポケットに入れている。余裕の現れかな?

「行くよユイカ」

「おぅ、サキ」

わたし達は背中を合わせてケイへ向けて構えた。

「さぁ……簡単には負けるなよ」

ケイが引き金を引いた。目が良いのか速度が遅いのか、一直線に飛ぶ銃弾が見えた。

わたし達は背中を離して銃弾を避け、ユイカが前に走った。わたしは紐を伸ばしつつユイカの後ろについていく。

ケイは拳銃でわたし達は拳、まずはリーチを詰めない事には勝負にならない。

「ふん……拳か、なら答えてやる」

ユイカが近づくまで、ケイは引き金を引かなかった。

「オラァ!」

ユイカの右ストレートが飛ぶ。

「早い……が、単純だ」

ケイはあっさりと避け、銃口を向けた。

「なめんなよ」

そこへユイカは左アッパー、とっさの反応で首を動かしたケイの顎を掠めた。

「この程度か?」

しかし銃口は動かない、そのままケイは引き金を引く、

「あたしだけ狙ってていいのか?」

ドグッ!

「っ……!」

その直前にユイカの影から出たわたしの右ハイキックがケイの脇にヒット。銃口がぶれた。

「チッ……そうだったな、けど、俺はこの距離に弱いわけじゃねぇぞ」

銃口がわたしに向き、引き金が引かれた。

至近距離で避けられず、放たれた弾丸を喰らった。

押されて若干体勢を崩した。

瞬間、

「え……?」

その中途半端なままで止まってしまった……

……って、なんで?

そしてその体勢のまま、肉弾戦をしていたユイカが、ケイに蹴りを食らって後ずさるのを見た。

(ユイ……?)

あれ……声が出せない。

動けない上に声が出ない、何だろうこの状態……ひょっとして、これがケイの思い形見の能力?

「……ジャスト、30秒」

ケイが何か言った。

その直後、わたしは動き出して崩れた体勢から地面にしりもちをついた。

「2対1だろうと、1人を止めれば1対1だろ」

「止めれば?」

「お前達に聞いた事で言えば、能力とかいうやつだ」

ケイはポケットに入れていた手を出した。その手には、さっきも見た懐中時計が握られている。

「銃で射った相手を一定間止められる。今のは30秒だ」

再び左手をポケットにしまった。

なるほど、でもそれを敵であるわたしに教えるとは。

「だってさ、ユイカ」

「じゃあ当たんなけりゃいいんだ、ろ!」

体勢を建て直していたユイカがケイに右ストレートを放った。

「舐めすぎだ」

ケイはあっさりと避け…

「どっちがだよ」

…ストレートを途中で止めて、左のローキックをケイの右足に当てた。

おぉ、ナイスフェイント。それを見つつわたしも立ち上がる。バランスを崩すケイの右手にハイキック、拳銃を弾き飛ばした。

これでケイは能力は使えない、肉弾戦も強いけど2対1なら多分どうにか……

「甘いな」

ケイは左手をポケットから出した。さっきは持っていなかった二つ目の拳銃を握って。

タァン!

「いっ!?」

引き金が引かれ、ユイカが拳を振り上げた状態のまま止まった。いや、止められた。

「誰も一丁しか持ってないなんて言ってないぜ」

止まってしまったユイカを見ていた為、わたしに隙が出来た。

「はっ!」

ドガッ!

ケイはわたしの腹に重い蹴りを叩き込む、それに押されてわたしは後ろへ飛ぶ、素早く足をつけて前に行こうとするが、

タァン!

そこへ、弾丸を受け、止められてしまった。これで30秒、動けない。

「……なかなかだな、今までの中では一番楽しめた」

ケイはユイカに銃口を向ける。その時ユイカにかけられた能力が切れて動き出した、だがケイは足払いを繰り出してバランスを崩したユイカに再び銃弾を放ち、止めてしまった。

「けど、俺には勝てない」

動けないユイカの頭に銃口を当てた。

「まずはお前からだ」

このままじゃ、ユイカがやられる。

いやでも確かハカセがユイカは倒せないとか言ってたような……でも頭に穴が空いたら? そうはいかないかもしれない。

もしやられないかもしれなくても、




そう、





やられるかやられないかじゃなくて、






ユイカを、







傷つけさせてたまるか。









射たれてから30秒が経ち、わたしにかけられた能力が解けたのだろう。

気がついたら、わたしはユイカの隣にいた。

「な……お前、いつの間にそこに」

いつの間に? 見ればケイはまだ引き金を引いてない、ユイカも止まったままだ。

わたしが動けるようになってからユイカのところに行く間に、多分急いでも30秒はかかった筈。

でもわたしはどうやらその以内でユイカの隣に来て、

「……ユイカ、大丈夫だから」

無意識に何かを呟き、






再び先程わたしが止められていた場所に、せっかくユイカの元に行けたのにまたここに戻って来た。


先程と違うのは、わたしが2人に背を向けていること。

そして、わたしとユイカをつなぐ黒い紐がケイの首にかかっていること。


ここでわたしは、思った。





縮め、





わたしが思うと同時に黒い紐が縮み始める。

掃除機のコードのように、まずは真っ直ぐになってから次第にわたしの左手にある腕輪の中に戻っていく。

つまりそれは必然的に、

「がっ!?」

ケイの首にかかっている紐も真っ直ぐになろうとしてケイの首を締め上げてしまう。


もちろん、わたしは気づいてやっている。




縮め、縮め、縮め、縮め、縮め、




縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮め……




「ぐっ…………かっ……そう……いう…………こ……と…………」

カシャン

何が落ちた音がした。おそらく、ケイの手から拳銃が落ちたんだろう。

「……あれ?」

そこでわたしは気付いた。

今……何をしてた?

所々、覚えがある。

ユイカの隣に居て、何か呟いて、元いた場所に戻って、そして気がついたら、黒い紐を縮めようとしていた。

まるでわたしの中に別の誰かが居て、それが身体を動かしていたような、そんな感覚だった。

「今のはいったい……って、そうだ、ユイカ」

わたしは後ろを向いた。

そこで、見つけた。

ユイカとつながる黒い紐で首を縛られて、動かなくなっているケイを。

「これ……わたしが?」

多分そうだろう、断片的に覚えてる所を繋げると、こういう形にもなりうる。

「サキ」

動けるようになったユイカが、黒い紐をケイの首から外しながらわたしの近くへ来た。

「ユイカ……今、わたしに何があったの?」

「覚えてないのか?」

「うん……所々分かるけど、全体はよく」

「そうか、簡単に言えば、サキはスゴい早さで移動したんだ」

凄い早さで移動?

「瞬間移動ってこと? わたしそんなこと出来るの?」

「さぁな、でもやったんだ。あたしは目の前で見てたからな」

無意識の内に瞬間移動……それでケイの首に紐をかけて縛りあげ、窒息させた。つまりはそういうことらしい。

「これって……勝ち、なのかな?」

「多分な、けど、後味悪すぎるぜ」

「うん…………あのさ、ユイカ」

わたしが言おうとすると、ユイカは手を出して遮った。

「言わなくていい、ケイが起きるまで待とうぜ」

「……うん」

こんな勝ち方してしまって、せめてケイに謝る為、わたし達は少しの間待つ事にした。


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