時計を持つ自殺者
コンテナに囲まれた場所に広場のような空間があり、そこに男の人は、住んでいるよう……いや、隠れているらしい。
「さっそく話してもらうぜ、お前達が知ってるここの事について」
置かれていた椅子にどっかりと座り、男の人は上から目線に命令した。
「まぁ待てよ、まずは自己紹介しようぜ」
だがユイカは提案した。
「必要無ぇ、さっさと話せ」
「あたしはユイカ、こっちはサキだ。アンタは?」
否定したのを気にせずわたし達の名前を男の人に伝えるユイカ。
「……チッ」
男の人はそれに舌打ちしつつも、
「……ケイだ」
自らの名前を言った。心底恐い人ではないっぽいな。
「名字は知らねぇ、名前もここに書かれてたから覚えてただけだ」
ケイは服の胸ポケットから懐中時計を取り出した。
「名前も言った、さっさと教えろ」
懐中時計を戻しながら再度の命令。
「へいへい」
ユイカはハカセから聞いたことを伝えた。
この世界のこと。戦いのこと。扉のことや、勝敗の付け方。後、思い形見のこと。わたし達の秘密は話さなかった。
「チッ……聞いた話も少しあるが、聞く度に嫌になる。何なんだこの世界、自分で死んで、アイツの所へ行けると思ってたのに……」
「やっぱりアンタも訳ありなんだな」
「まぁココに来る人は全員そうだと思うけどね」
「……お前達も自殺したんだろ? こんな所に来させられて、どう思う」
「どうも何も、優勝したら生き返るんだからやるだけだろ」
「そだね」
「生き返る……?」
「あぁ、言ってなかったな、この大会の優勝者は、生き返るんだってさ」
「っ……」
ケイは頭を押さえた。何か嫌なことを聞いた、という感じに見える。
「なんだよソレ……自殺したのに、何で生き返らなきゃ行けねぇんだよ」
「それは……分からん」
そこまでは聞いてなかったな。
「チッ……まぁいい、優勝して生き返させられんなら、優勝しなきゃいいんだ」まぁそういう訳だよね。
「なら、わたし達にも負けてくれます?」
「……いや、分からん」
へ?
ケイは拳銃を握った。銃口は明後日の方を向いている。
「ここに来てからずっと隠れていたが、それでも見つけて挑んでくる奴らばっかだ。しかもバカみたいに弱い奴ばかり……お前等は…」
ケイは立ち上がり、
「そうじゃないよな?」
銃口がこちらに向けられた。指も引き金にかけられている。
「ただの戦闘狂かよ」
ユイカが身構えた。
「悪いな、そういう生き方をしてたんだ。……殺るか、殺られるかのな」
それって結構黒い世界の出身ってこと?
宗教出身だったり、黒い世界出身だったり、結構色んな人が集まってるんだなー。
「サキ、構えとけよ」
「多分大丈夫っぽいよ、まだ」
「まだ? どういう意味だよ」
「……そうだな」
ケイは拳銃を下げた。回りを見回す。
「ここで暴れんのは後々俺が困る、さっきのところへ行くぞ」




