輝きを失わない女7
1色目 『輝きを失わない女 7』
一人だけ残されるくらいなら、一家全員殺した方がいい。そのほうが幸せだ。
夜、我が主のご自宅へ向かうと既に我が主は外へ出ていた。
駆け足で近寄り家から持ってきた日本刀を渡すと、我が主は俺に向かって
微笑んでみせた。
「今日もいっぱい出してね、子考」
「・・・我が主がそうご所望ならば・・・」
俺の下半身はすでに熱を帯びていた。胸の高鳴りが収まらない。
俺たち3兄弟の両親は、死んでいる。互いの腹には包丁が突き刺さっていた。
誰が殺したのか、それとも自分たちで刺し合ったのか、真実は一生明かされる
ことはない。
この町はそういう場所だ。人間がどんな形で命を落とそうが、その経緯や原因を
調べるものは誰一人いない。
みんな『いつの間にかどこかの誰かが居なくなっていた』という感覚しかなく、
同じ人間が死んだことに対する悲しみは持ち合わせてはいない。
だから誰も俺たちに手を差し伸べることは無かった。
懐かしいあの頃。
白米が底を付き、下手に金を使えなかった俺たちはスポーツ人間だった父が残した
プロテイン飲料をご飯にして飲み続け、自慰行為をしては腹が余計減ると長男が
言い出したため、ムラムラしたらみんなでストレッチやらランニングやら、
とにかく身体を動かして自慰行為を止めよう!と、みな必死で動き回っていた青春の日々。
お蔭で俺たち3兄弟はみな人より少し体格のいい
俗に言うところのチョイマッチョ(細マッチョ?)体型になってしまった。
そのためか、
部活ではいつも柔道部やらラグビー部やらに誘いを受けたが如何せん俺たち3兄弟は
食事としてプロテイン飲料を飲んだ結果この体型になったわけで、力強さなどというものは
元から持ち合わせているわけがないので、毎度入部して1日目で
「・・・うん、なんかごめんな」
「あ、なんなら明日からは来なくていいから」
なんて言われることが多々有り、正直俺はこの体型にげんなりしていた。
そして追い打ちを掛ける俺の特殊性癖。
もうダメだ、自慰行為がうまく出来なくて『頭がフット―しそーだよー!!!』
なんてセリフを壁に向かって叫んでいたその時、俺は我が主と出会ったのだ。
我に返り辺りを見渡せば、そこには一家族全員分の遺体。俺が最も興奮する代物だ。
「・・・っ・・・」
興奮を抑えきれず下半身が暴れ出す。
解き放ちたい願望を抑え込みながら俺は学校で氏に言われた言葉を思い出していた。
『外道』とはよく分かっているではないか、寵愛氏。
そうだよ、俺は人間の遺体を見るのが大好きなんだ。
でも俺には人を鮮やかに捌くほどの力も度胸も無かった。そんな俺に手を差し伸べて
くれたのが我が主。
俺を愛し、同じ外道の道を歩いてくれる唯一無人の俺だけの主。
「お待たせ、子考」
「我が主・・・」
我が主は俺の下半身に目を向ける。いつものことだが、いつも恥ずかしかった。
「ごめんね。でもあと1軒で終わりだから」
「・・・」
本当ならば、今すぐここで全てをブチかましたいがここは我慢しなければいけない。
今日のターゲットも前回同様、寵愛 本初氏の親衛隊・第9期メンバー。
(ちなみに第1~8は、既に我が主が処理済)
彼らを全員仕留めるまで、俺はこの欲望を解き放ってはいけない。
規約は無いが俺が出来る我が主への最大の敬意として、
いつもこれだけは守り抜いている。
正直つらいし、歩きたくないが・・・だが我が主のため。せめて顔と声だけは平然を
装わなければ。
「問題ありません。さあ、最後のメンバー宅へ向かいましょう」
「・・・ふふふ・・・そうね」
少しイタズラな笑みを浮かべる我が主。
そんなあなたの御茶目なところも大好きですよ。
星が光輝く夜空の下、手を繋いで二人で歩く。
俺と我が主の今日のデートはそろそろ終盤を迎えようとしている。




