輝きを失わない女4
1色目 『輝きを失わない女 4』
我が主の横に並んで歩ける喜びと誇り、
これは何人にも理解できるものではないだろう。
俺と我が主、二人だけの中で確立されている価値観と共存関係。
誰も分からないだろう俺と我が主の絆は、いつまでも互いの溝を補い合っている。
「あら、君ヶ主さん。相変わらず味噌臭そうな髪形ね」
俺と我が主の前に立つ美しい女性。彼女の名前は寵愛本初。
この名前の無い町の中、限定の町内会アイドルだ。今日も背後に数十名の親衛隊を
引き連れている。
正直、俺は氏のどこに魅力があるのか全く分からない。
「ご町内アイドルの寵愛さん。さっさとギロッポンあたりでシャブセッ○スキメて
豚箱にでも入ればいいのに」
対峙する名古屋巻きと盛り髪。
なぜそんなことをするのか俺にはさっぱり分からないが、この二人は顔を合わせては
互いの髪形について毎日罵り合っている。
「相変わらず言葉遣いも性格も恋人も全てにおいて品がないわね、君ヶ主さん」
そう言って寵愛氏は我が主と俺を交互に見た。
「子考は品のあるいい男よ?でも貴方のような親衛隊とか言うオタク共に囲まれて、
一生処女を演じきらなきゃいけない町内限定アイドルさんには
一生理解できないかしら。子考の良さが」
我が主の指先がそっと俺の指に触れる。とても暖かい気分だ。
だが寵愛氏はそんな俺と我が主の姿を冷めた目で見て、そして言い放った。
「理解などしたくないわ。あなたたちみたいな外道カップル」
「・・・」
我が主は口を瞑り、寵愛氏を見つめていた。
成程『外道カップル』と表現されてしまったか・・・。
さて、それでは我が主はなんと答えるのだろうか・・・。
「・・・人間は誰だって人道から外れることがあるわ。
それでも平然とした顔で生きていくものなのよ」
俺の指に我が主の指が絡みつき、互いの手を結び合う。あぁ我が主。
そのまま寵愛氏たちのど真ん中を通り抜ける俺と我が主。
寵愛氏はもう何も言ってこなかった。しかし不思議な人だ、寵愛氏。
だって氏はこの誰もが他人に興味を持たないこの町で、俺と同じ位に我が主の事を
気にかけているのだから。
「子考・・・」
我が主の唇から紡がれた普段より熱を含んだ甘い声が俺の耳に侵入する。
「何ですか、我が主」
「今夜・・・」
―えぇ、では今夜。熱い夜を繰り広げましょう・・・。
愛しています、我が主。




