輝きを失わない女2
1色目 『輝きを失わない女 2』
わたしの左目はもう無い。
左目に出来た空洞の中に仕舞い込んだわたしのトラウマ。
今でも思い出す度に吐き気がする。
わたしの左目は抉られ、そして食された。あの女に、あの白くて実態が掴めない
エメラルドグリーンの化け物に・・・。
今日も相変わらずこの町は人間には無頓着だ。
望遠鏡を覗きながら辺りを見わたすと、ちょこちょこと地面に倒れている人間の姿。
だが誰も彼らに手を差し伸べようとしない。酷い時は倒れている人間の手を踏んでいく通行人もいた。
その数メートル先に野良猫の家族がいた。家族を囲む数人の老人たち。
手には煮干しやら猫の缶詰やらを持ち野良猫の家族に食事を提供している。
その姿を見た通行人たちは優しい表情を浮かべながら野良猫家族の姿を携帯のカメラで撮ったり、
拝んだりしていた。
相変わらず気持ちの悪い町だ、この町は。
さてさて望遠鏡の位置を変えて、ターゲットにロックオン。
わたしも通っている名も無き高校。その玄関先に敷かれる長いレッドカーペット。
その上を歩く紅蓮のロングブーツを履いたあの女。
くくく・・・よもや自分が同じクラスのクラスメートに監視されているとは思ってもいまい。
「ねえ、こんなところで見てないで学校で直接話したら?」
妹がわたしのスカートを掴み引っ張る。どうやら監視作業が飽きて来たらしい。
「うるさい!今忙しいの!登校したきゃ、さっさと一人で登校しなさい」
「・・・元姉の意気地なし・・・」
妹の妙才はわたしにそう言うと、不貞腐れながら玄関へ向かって歩いていく。
靴を履き、鞄を手に持ち、ドアノブを回す寸前、妙才はわたしのほうを振り向くと、大きな声で叫んだ。
「元姉が話し掛けられないなら、私があの女に声を掛けてやるよ!」
振り返るわたし。ドアを開けて家を出て行こうとしている妹。
「ちょ・・・、ちょっと待ちなさいよ!!妙才」
叫ぶわたし。だが妹はわたしの声を無視して出て行った。久しぶりに腹から声を出したというのに・・・。
・・・なんということでしょう・・・!!!!
「あの馬鹿ぁ・・・」
怒りにまかせて望遠鏡を床に叩き付け、横に置いておいた鞄を握りしめながら妹を追いかけるために
久しぶりに走り出すわたし。
息が続くか凄く心配。




