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第三話  作者: うきぐも
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第三話


密林の王、キンググローブ


めちゃくちゃ手数の多い巨大な蟹のモンスターであり、凶悪な威力の水属性範囲魔法を使用する

密林の中央を流れる大河の底に住み、岸部を通りがかるものに水中から突然襲い掛かる


俺はいつものようにルーンナイト(魔導剣士)で参戦

カニの弱点は、雷と氷

「エンチャントスピリット雷神、氷神、もういっこ雷神」

こいつはボス専用アビでものすごい速さで攻撃してくる

さすがに多少のダメージはもらうか?


「マリチは今日は本職の格闘家で来てみた」


……だんだんとマリチの性格が分かってきた

俺の中の一部から生まれてきたはずの彼女だが、自分とは似ても似つかない


それは俺が、俺ではない、明るくポジティブで凛として戦うキャラに憧れていたからだ


ソーファンの中の俺は、ただ現実世界の俺が強くなっただけの地味な存在

だが彼女は違う。俺が持っている英雄像を体現したような存在だ


おそらく彼女は攻撃速度の化け物のモンスターにあえて同じ土俵で殴り勝つつもりなのだろう


カニは夜明けとともに水面に近づいてくる

日が昇り切ってしまうと姿を隠すので、この広大な大河の岸ですばやく見つけねばならない


「いたぞーーー!!」


とか言ってたら誰かが叫んだ

そしてその声のせいで集まってきたギャラリーはざっと百人はいようか

そして密林の王の攻撃範囲を知らない者がどうやら多い


「あの配置はヤバいよな……」

俺が呟くと同時にマリチは雷のように飛び出した


と、同時だった

キンググローブが口からブブブブブ……と泡を吹き始めたのは


水系範囲魔法だ。それも広範囲にばらまくタイプ


ッザアアアアアアーーーー!!!


カニの周囲に津波のように水圧の波が広がった


「うわあーーー!!」


大勢の冒険者が流され、水圧で大きなダメージを受けている


「おらあーー!」

誰かが闇雲に電撃の魔法を飛ばした


バシッ

カニの甲殻にかすかな傷がつく


ブブブッブブブ


カニの巨体が飛んだ


電撃を飛ばした黒魔導士の前にズンッッ!っと降り立ち爪を振り上げる


そして

シュドドドドッドドドッドドド

ものすごい速さでハサミのラッシュ攻撃が始まった


一瞬にして黒魔導士を吹き飛ばした後、こんどは移動攻撃を始めた


サカサカサカサカ……!


移動するスピードも想像を絶する早さだ

滑るような動きであたりを蹂躙していく


『うわああああああ』


カニの周囲にいた冒険者たちがどんどん吹き飛ばされていく

そして阿鼻叫喚の地獄が始ま……らない


シュドドドッドドドドドッド……カカカカカカカ


「無明拳」


パンッ!!!!!


ビチビチビチビチビチ


あたりに大量のカニカマが降り注いだ

正確にはカニカマはカニではないので普通にカニのすり身か


『え?』


周囲の冒険者たちは何が起こったかわからず白い身を纏って呆然としている


説明しよう


密林の王、キンググローブは魔法で怒ってボスアビを発動して高速攻撃で周囲に群がる冒険者たちを攻撃し始めた、しかしそこに一瞬にしてしれっと紛れ込んだ俺はその攻撃を剣で全て受け止めそいつの進行を阻んでいたので、横に立っていたマリチが必殺拳で殴ったらワンパンで飛び散ってしまったというわけだ


目の前にはひときわ輝く鋼鉄のような甲羅の破片が落ちている

おもむろにそれに手をかける俺

「これ持っていけばいいよな」

無言でうなづくマリチ


そしてすかさず彼女は空間転移の魔法を唱え始める

通常は長い詠唱を必要とするが(以下略)



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「生臭っ!さすがにお風呂入ってから来てくださいよ!」

受付のお姉さんに叱られた


だが我々にはお金がない

「そこを何とかまずは報酬を……」


そしてなんだかんだで最低のEクラスから一気にCまで上がることができた


やっと風呂に入れるし豪華なご飯にありつける

あとはそろそろマリチ家に戻って現実世界への扉の有無を確認したい


そう思った矢先である


「あのう……」

背後から声がした


「あなたたちの腕を見込んでお願いがあります……」


そこにいたのは見るからに駆け出しな雰囲気の冒険者2人組

プラス明らかな騎士風の人物


「僕たちの村をオークから助けて欲しいんです」


オーク。屈強な肉体に人間に近い知能を持つ獣人族

ほとんどの個体は知能が低いが、まれに高度な思考を行う高位魔導士の個体も存在する


この世界にはいくつかの獣人族が存在している

そして国家レベルでの争いが繰り広げられているのだ


「我々から事情を説明しよう」

隣にいる騎士風の女性が話し始めた




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