考えるな、感じろ!…を、数学で? ご無体な
リハビリエッセイ・第二弾。
高校時代の先生シリーズ?・第三弾。
(いい加減リハビリを卒業しよう、私)
こんにちは、こんばんは。
かわかみれいと申します、下手の横好き物語書きです。
今日もまた、思い出話を綴らせていただきましょう。
ちょっと前に『せんせい、だいきらい』(https://ncode.syosetu.com/n7826jy/)という雑談エッセイを書きましたが、そこから関連して色々と思い出すことがありましてね~。
前回はとある国語の先生について、色々と好き勝手なことを書きなぐりましたが、今回はとある数学の先生について書きなぐろうかな~と。
……いやあ。
本当に申し訳ないです、先生方。
かつて、かわかみれいなんぞの担当教諭になった不運を嘆くお気持ち、書いてる私自身、身につまされるようにわかる気がいたします。
でもまあ、私はなろうさんの隅っこで細々と生息しているだけの素人物語り書き。本業?の小説は鳴かず飛ばずの小者。
コイツがここで何かほざいたとて、日暮れの空でカラスがギャーギャー鳴く程度の影響しかないでしょう。
そんなこともあったかもね~、と、流していただけると信じて。
ちょいとばかり、語らせていただきましょう(笑)。
えーと。
前提として、私は数学が苦手です。
もっと言うと、算数の時代からダメダメです。
まずかけ算の九九。
ここで大きくつまずき、小2の二学期の通知表に『がんばろう』がつく始末。
(私が通っていた小学校は、『よろしい』と『がんばろう』の2段階評価でした。『がんばろう』とは大雑把に言って5段階評価の1。5~2までが『よろしい』だろうと思われます。)
両親、特に母が青ざめました。
故に、小2の冬休みはかけ算の九九を完全に暗唱できるまで、母軍曹によるフルメタルジャケットばりの涙の猛特訓(ガチで毎日泣きながら、ににんがし・にさんがろく……くくはちじゅういち、と、唱えていました…ミリタリーケイデンスのリズムではありませんがw)が続きました。
これは何故なのか今でもよくわかりませんが、当時の私の頭の中へ、九九がうまく入ってこなかったんですよ。
頭が問答無用で九九を拒否する感じで、有体に言ってちっとも覚えられませんでした、特に6の段以降が。
せっかく覚えても翌日には真っ白……という感じで、何度も絶望的な気分になりましたっけ。
後にウチの弟が、
「えー? 2~5の段まで覚えてたら、それ以降もそれぞれ半分は覚えてるんといっしょやん。6の段はろくろくさんじゅろく、以降をおぼえたらエエし、7の段はしちしちしじゅうく、以降を覚えたら……」
……ってなことを抜かしやがり(いやおっしゃる通りです、おっしゃる通りですよ、確かに)、
「……うるせえ! 理屈はわかるけど、だからって、パッと出てこないんだよっ!」
という感じに、ブチ切れたものです(笑)。
と、とにかく。
母による涙の特訓のお蔭で、どうにかこうにか私は、肩で息をする感じで九九を覚えることが出来、他のお友達の算数の学力と同レベルに並びました。
これでも一応、私は真面目な性格ですので。
真面目にお勉強はします。
ですから高校まで、人並みあるいは赤点をクリア(高校の場合は40点未満は赤点……単位を認められずに留年の対象になりましたっけ?)出来る程度には、全科目なんとかなってました。
しかし、元来かけ算の九九を覚えるのにも泣きの涙で苦労しなくてはならない残念おつむの、数学的センスなど欠片もない子供。
サインコサインタンジェントだのなんだの、深淵なる数理の世界を覗き見て、ビビる以上のことが出来ましょうや?
私に理解できるのはせいぜい、連立方程式を解いてXとYの値を求めるとか、公式を用いて(その公式はどういう理屈でどうやって求めるのか聞かんでくれ)うんちゃらの値を求めるとか、その程度なのです。
(公式を用いても計算間違いをしでかすが、それはもういい…)
だから……H先生(仮名)!
教える甲斐がないのはわかります、でもせめて、その答えに至る道筋だけでも、説明してくれぇええ!!!
さてさて。
いきなり出てきた今回の主役?。
数学の先生・H(仮名)氏。
私が高2~高3の頃に数学を教わった先生です。
当時、彼は三十代前半~半ば程で、妻子アリ。
背丈は人並みながら胸板の厚い、ふっとい骨にみっしり筋肉が巻き付いた的な固太り体型の、浅黒い肌の男性。
何も知らないで見ると体育教師かと思うような風貌の先生でした。
どうも、学生時代からラグビーをやっていたらしく、ラグビー部の顧問も務めていらっしゃたような記憶があります。
普段からちょいちょい横縞のラガーシャツを着ていて、それがよく似合う人でもありました。
これだけの描写だと、がらっぱちだけど良い意味で豪放磊落、快刀乱麻を断つがごとく単純明快に数学を教えちゃう、悩める子羊ならぬ残念おつむの生徒までも、がっはがっはと笑いながら救いそうなイメージ……ですが。
世の中、物語のようには進みません(笑)。
細けえことはいいんだよ的雰囲気の風貌に似合わず(※個人の感想)、どうも彼、神経質でかなり細かい性格だったようです。
板書の文字はひどく丁寧かつ小さく、近眼の私にとっては読みにくいこと甚だしいほど。
授業のイメージは、公式等を黒板の向かって左側などにキッチリ書き、
「コレ、あてはめたら解けるから、まずはコレ覚えること」
と宣い、
「ほんなら、教科書○○ページの例題①。○○さん、前へ出てきて解きなさい」
……と指名するようなイメージで進みます。
(この辺はホントにうろ覚えで申し訳ないですが、彼の授業を受けて何か目覚ましいことを習った印象がないんですよね)
あのう……まあ、その。
因数分解だの乗法公式だの、公式を当てはめて解くしかない(少なくとも高校で習う程度の数学ならば)問題が大半ですから。
それ以上、言うこともないのでしょうけど。
もうちょっと、何とかならんのか?
そんなことを私は、彼の授業を受けつつモヤモヤ思っていました。
何といいますか、言葉(説明)が足りない気がして仕方がなかったんです。
私は物理も苦手でしたが、例の焼きそばエッセイ(https://ncode.syosetu.com/n7263fp/)のK先生には、そんな不満は感じませんでした。
公式当てはめないと問題が解けない、のは、物理も基本同じでしたが、公式に至る原理を、残念おつむちゃんでも何とか呑み込めるよう、簡単にかいつまんで説明してくれていた、気がするのです。
もしかすると私が忘れているだけで、H先生も説明して下さっていたのかもしれませんが。
おそらくその説明が下手……むにゃむにゃ、私にはわかり難い、ものだったのかもしれませんね(笑)。
しかし、このH先生。
私は個人的に『うーん』な先生だったのですが(といっても、国語のS先生の方がやっぱり嫌いですがw)、そこそこ、生徒に好かれている先生だったんですよね~。
私と同じクラスの仲良かった女の子の中には1名ながら、バレンタインデーにH先生へ、手作りチョコを渡す子がいました。
別にイケメンでも何でもない(※個人の感想)中年の、見た目に反して神経質そうなおっさんのどこがいいのか、私にはわかりませんでしたが。
豪快そうな見た目に反した繊細さ(※彼女個人の感想)が、ギャップ萌えでイイのかもしれませんね。
まあ、好みは色々……ということで(笑)。
『うーん』と思いつつ、彼の数学の授業を受けていましたが。
ついに、あ、このヒトとは永遠にわかり合えん、と思う日が来ました。
それは高3のある日。
彼は、授業開始の挨拶が済むと、サッサと黒板に向かって何やら解答例を、件の細かくて丁寧な字でびっしりと書き出しました。
目をすがめながら(※個人の感想)板書をノートに書き写している我々生徒へ向かい、書き終わった彼はこちらを振り向き、こう言い放ちました。
「この通りに解いたら、解けるからな」
……は?
意味がわからず、思わずノートを書く手を止める私。
「ほんなら。教科書の例題、解いてもらうで。この通りに解いたら解けるからな。……○○君」
いやいやいや、ティーチャー。
どの辺りを『この通り』解くんですか???
数値以外の解法の流れはこうだ、という意味かと察したのはかなり後のこと、言われた当時はポカンとするしかなかったです。
考えるな、感じろ。
どんな分野でもそういう部分はあるかもしれませんが、たかが高校(失礼!)で習うレベルの数学で、論理の前に感性で押し切るのはいかがなものでしょうか?
数学に芸術性を見出すのは、もっともっと高いレベル、最低でも大学で研究する数学の世界においてではありませんか?
それに数学の芸術性は、むしろ隙のない論理の上に成り立つのでは?
高校で習うレベルの数学で、論理を教えず感性?で解けとはご無体な!
今ならそう言語化できるような事柄を、ポカンの一瞬後にモヤモヤ思いましたっけ。
あー、ダメだ。
この人とは相いれない。
システマティックなS先生の国語の授業とは、多分、ベクトルが逆。
でも、仮に国語であってもこの教え方、ヒドイよなあ。
例えるなら、『舞姫』をひと通り音読した後、
「必要なことは皆、教科書に書いてある。以上」
といって、サッサと教壇を降りるのに等しくないか???
後にも先にもこんな授業は(H先生の授業であっても)、なかったです。
ひょっとするとH先生、その日はメチャクチャ気分が乗らず、投げやりに授業をしていたのかもしれません。
先生だって人間ですから、気分が乗る日も乗らない日もあるでしょう。
けど。
空前絶後にご無体な授業でしたし……完全に私の中で、H先生への信頼をなくす授業でした。
H先生。お元気ですか。
きっともう、定年を迎えて悠々自適に暮らしてらっしゃるでしょう。
……でも。
先生は多分、数学の先生、向いてなかったんじゃないかと勝手ながら思います、大きなお世話ですけど。
あなたは多分、研究者か……いっそ体育教師の方が向いていたんじゃないかと、かつての劣等生教え子のひとりとしては愚考いたします。