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語られるプロローグ



 ーーーー世は大魔族時代。


 魔王率いる魔族の侵攻により人類は存亡の危機であり、その人類を守るべく立ち上がった剣聖は魔王に敗れて命を散らした。


 

 そして剣聖の死から早くも1年が経とうとした頃。


 魔族の領域の中でも最北端に位置する通称 "死の森"の洞窟にて自称元剣聖が新たな産声を上げていた。



 「剣持てませんやんこれっっっ!!!」



 それもその筈、元剣聖は黒いトカゲへと転生していたのじゃ......!

 




 

 



 「......おい、ツッコまずにしばらく聞いてやったが何勝手に人のプロローグを語ってやがる。」



 なにが "のじゃ......!" だよ。

 人の脳内で勝手に長々語りやがって。


 流石に頭に謎の声が響きはじめた時は驚いたが、語り出した内容に気になる情報があり過ぎてこっちも聞き入ってしまったじゃねぇか。


 

 




 『なんじゃ、つれない奴じゃのぅ』


 そんな黒トカゲ(元剣聖)の脳内に尚も響く声。

 


 『わらわがせっかく分かりやすく今の状況を説明してやったと言うのに。』



 不満そうな脳内女。

 というか無駄に尊大な喋り方だな。脳内女のくせに。



 『誰が脳内女じゃ。しばくぞおぬし。』


 

 え、口に出さなくても伝わるんかいこれ。

 というかしばくってどうやるんだよ。



 『なんじゃ、そんなにしばかれたいのか?』


 うわ、なんか手段あるっぽいぞこれ。




 転生して早々にしばかれるのも嫌なので慌てて話を変える。



 「いやいやいや、その前になんだよこの状況は。なんでお前はオレの脳内にいやがるんだ。」



 イマジナリーフレンドってやつ.....?





 というか冷静に考えるとなかなかおかしな状況だ。

 先程、勝手に語られたプロローグの中での発言も気になる。



 「それに転生だぁ???」



 輪廻転生という概念というか思想については知っているが、これだけ記憶を保ったままの生まれ変わりだなんて聞いた事もない。しかもトカゲ。



 「なんでそんな事になってやがるってんだ。」



 我が物顔で"死の森"だ"転生"だと初めに語り出したのはこの女だ。何か知ってると見て間違いはない。



 『ふむ。当然の疑問じゃの。』



 尚も毅然として女は答える。



 『その疑問を解消するには、まずはわらわの自己紹介から始めなければなるまいて。』



 自己紹介か。たしかにこの女の正体というのも気になっていた所だ。






 『我が名はティアマト。黒龍の姫にして、元は魔王の妃だったものじゃ!!』




 あああああああん!?!?

 魔王の妃だぁ???


 めっっちゃくちゃ敵サイドじゃねぇかお前ぇえ!!!




 脳内に敵がいるのが分かったものの、倒し方がまったく分からずとりあえず頭をバンバン洞窟の地面に叩きつけまくる黒トカゲ。




 『いやそれおぬしが痛いだけじゃて......』



 あ、そうなん......?


 『さてはおぬし、アホなんか......?』


 あぁん???やんのか???




 『おぉ、アホな上に喧嘩っ早いと来たか。これは救いようがないの。』


 カッカッカッ と笑う声が脳内に響く。



 よーし、こいつは絶対にしばく。

 脳内のじゃのじゃ女にダメージを与える方法を模索(もさく)した結果、なぜか必死に白目を剥いてる黒トカゲ。



 『まあまあ、落ち着け剣聖よ。敵と認定するのは話を全て聞いてからでも遅くはあるまい?』



 あぁん?敵じゃねぇ事があんのか??


 必死に白目を剥く事も無意味な事に気付いた黒トカゲはしぶしぶ話を聞く事にする。



 『先程も言ったとおり、わらわは黒龍の姫にして"元"は魔王の妃だったものじゃ。』

 


 "元"ってことは今は違うのか.......?



 『そうじゃ。そしてわらわの今の目的は......』





 『ーーー魔王を殺すことじゃ。』



 






......え?


 つまり離婚された腹いせに元夫を殺したいって事!?!?



 『違うわいっ!!!』


 ティアマトを名乗る声のツッコミと共にオレのトカゲ頭は洞窟の壁に叩きつけられた。



 「ぶへぇっ!!!」


  いてぇ!!!



 『わらわはこの通り、少しの時間であればおぬしの身体を操る事も出来るんじゃ。口をつつしめよ?元剣聖。』



 ま、まずい早急にこいつに対抗する手段を確立せねば、オレのトカゲライフは散々なものになっちまう......!




 『というか先からトカゲトカゲと言っておるがの元剣聖よ。』



 いや、お前もプロローグで黒い"トカゲ"とか言ってたじゃん。


 イテッ!こいつ自分に都合が悪いからってまた壁に頭を!!


 反対!!脳内ハラスメント反対!!!




 『えぇい!話が進まんじゃろうが!!!』


 黙って聞いておれ!! とおかんむりなティアマト様。



 『とにかく!おぬしはトカゲじゃなくドラゴンじゃ!! しかも黒龍!!』



 ......あ、やっぱりそうなの?


 あの時に変えられた姿にそっくりだと思っていたから薄々分かっていた。


 


 『そして、元剣聖である幼き黒龍よ おぬしをその身体に転生させたのは他でもない、わらわなのじゃ!!!』




 ......あ?やっぱり?

 黒龍の姫とかどうとか言ってたからそれも薄々分かっていた。



 『なんじゃ、つまらん反応じゃのう。これとてつもない難易度じゃったし、禁忌中の禁忌なんじゃぞ......?』



 いやぁ、禁忌なんて言われても何回もトカゲ(ドラゴン)になってるし目新しさがないっていうかぁ......




 『じゃあ、これならどうじゃ?』


 なんだ?まだ新しい情報があんのか?



 『その身体の生みの親はわらわじゃ!つまりわらわはおぬしのママという訳じゃ!!!』



 え、血の繋がりもあんのかよ......



 ほれママじゃぞママ。 ママと呼んでみい?


 とうるさい自称ママ。



 『ちなみにパパは魔王じゃ。』





 ..........嘘やん。





 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






 ドラゴン族、それは今や魔王軍の中でも特大の戦力。


 その中でも黒龍とはそのドラゴン族の中でもっとも高貴な存在。人間でいう王族のようなものじゃ。




 元々、魔族とドラゴン族は対等な関係にあったが日々同族どうしで戦いに明け暮れている魔族とは違い、ドラゴン族は黒龍を中心に統率されていた事もあり同族での戦いは滅多に起こらなかった。



 そして数では魔族に上回られていたものの、個の力としてはドラゴン族が圧倒していた上に、仲間意識が強いドラゴン族は魔族に遅れをとる事などなかったのじゃ。



 ーーーだが、あの男が現れた。



 奴は協力なんて言葉を知りもしなかった野蛮な者達を瞬く間にまとめあげるとドラゴン族に対してこう言い放ったのじゃ。



 "選べ、魔王の軍門に下るか ここで滅びるか。"




 勿論、我らドラゴン族は戦いを選んだ。



 じゃが、協力という手段を覚えた魔族は想像以上に手強く、 それ以上に魔王の"特性"に魔法を不得手とする我らドラゴン族はなす(すべ)がなかったのじゃ。

 


 そして必死の抵抗虚しく、我らドラゴン族は元々少なかったその数を半分以下に減らされ、魔王の軍門へと下ったのじゃ。


 その際、人質として魔王に捧げられたのが黒龍の姫である我であったという訳じゃ。




 そこからの日々はドラゴン族にとっては地獄そのものじゃった。






 魔族の畜生共の戦力として数えられるだけじゃ訳知らず.......



 なんとあやつらは!!我らの背中に乗り出したのじゃ.......!!!


 

 「あ、そんなに嫌だったんだあれ.......」



 嫌に決まっておるじゃろう!!!

 なんじゃ!?我ら気高(けだか)きドラゴン族を家畜かなにかだと思っておるのか!!!



 それに1日5食、栄養がしっかり行き届いた食事を要求しても聞き入れられず!

 

 日にありつける食事は3食じゃぞ?3食!!!



 「いやそれ十分じゃ.......」


 


 それに我らドラゴン族は日に3時間の日光浴が健康に良いのに、魔王の軍門に下ってからというもの 1日の日光浴は1時間!!



 「いや、そんな無駄にしか見えない時間貰える方がありがたいんじゃ......」




 しまいには戦争で散って行った我らドラゴン族の亡骸を食べてやがったんじゃあやつら!!!




 「あぁ、確かにそれは結構キツいかもな......」




 わらわが食べたかったのに!!!!!!



 「あ、そういう問題なんだ......」




 

 そして魔王の凄惨たる仕打ちに日々心を痛めていたわらわはあの日、玉座の間にて魔王に立ち向かい散っていった剣聖であり黒龍の姿に心を打たれたのじゃ!!!




 「え、あの戦い観てたのか。」



 観てたもなにも、玉座の間にておぬしとは顔を合わせてたじゃろうて。




 「あ、もしかしてはじめ魔王の横にいた黒髪の女!?」



 そうじゃ。それがわらわじゃ。




 そして細切れにされたおぬしの死体でお腹いっぱいになったわらわは思ったのじゃ。



 『いや食べたんかいっ!!』

 


 なんじゃ、そりゃ食べるじゃろう。

 黒龍じゃぞ??滅多に食べられないんじゃぞ???



 「分かった、分かったから話を進めてくれ......」

 

 

 うむ。

 わらわは思ったのじゃ。

 今、腹の中には黒龍の身体と共に剣聖とやらの魂がある。



 本来は消化し、取り込み、糧にする所じゃが


 黒龍に伝わる禁忌を使えば 剣聖を黒龍として生まれ変わらせることが出来ると......!



 その禁忌とは、死した黒龍の魂を 他の黒龍の身体と魂を生贄に転生させるもの。


 そしてその転生先とは、生贄になる黒龍の子供でなければならない。



 つまり、母を代償に子供に他の黒龍を転生させる秘術じゃ......!




 「うわぁ、そうやって聞くと驚きの禁忌っぷりだな......」



 そしてわらわはこれでも黒龍の姫。

 転生した身体にわらわの自我を残す事も朝飯前だったわけじゃよ!!!



 それにその時のわらわは魔王の妃!

 上手くいけばその転生体に魔王の力を引き継がせる事もできるやもしれぬしな!!




 (ということは、こいつはオレを転生させる為に......)

 




 なに勘違いしておる。

 おぬしを転生させる為にわらわが生贄になったのではないわ!!

 わらわの目的の為に、おぬしを転生させたのじゃ!! 




 「そんでその目的っていうのが.......?」





ーーー魔王をぶち殺し、ドラゴン族の迫害を止めさせるのじゃあああ!!!!





 



 (......えっ?どこに迫害の要素があったんだ?)


 という言葉を胸にしまい剣聖は思う。



 なんて願ったり叶ったりの展開だ。

 これでオレはもう一度魔王と........!





 『まあ、その前にまずは生き残ることじゃな。まだトカゲじゃしおぬし。』

 




 こうして始まった元剣聖のドラゴン(トカゲ)と黒龍の姫ティアマトちゃんの大冒険!!

 こうご期待なのじゃ!!!!!



 エピローグも勝手に語るのやめてもろて。



 という事で始まりました!ドラゴンライフ!!

 って言ってもティアマトを早く登場させたかった関係上第一話はほぼほぼ説明パートとなってしまいました......



 転生した理由とかその辺は後々判明するのも面白いかなーとは思っていたのですが、主人公と楽しくかけあいをする相棒かつ年上属性?のキャラクターが欲しくて悩んだ結果こういう展開になりました。


 次回からは転生モノらしくモンスターをバシバシ倒していくような展開が始まる......はず!


 評価、感想、ブックマーク、大変励みになります、よろしければ何卒......!

(こないだ初ブックマークがあったよ!!!わーーーい!!!ありがとう!!!!)



 この話の題名を今のやつか、"おかあさんといっしょ"にするか迷った結果踏みとどまりました。褒めて下さい。




 魔王「最大限良い待遇を用意してたのに......」


 ドラゴン族はほぼにゃんこみたいな生態です(適当)

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