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10話 貴族コーディネート

 今日は辺境伯様が視察に来られる日、朝に気分良くスッキリした気持ちで起きる事ができた。

 アルマさんはすでに起きて朝食を作ってくれているようだ。


 転生してから恵まれていると実感することも多いが、時々その幸せが怖くなる。

 前世も恵まれた生活を過ごしていたが、思いもしなかった出来事が起こった結果、私は滅多刺しにされて殺されてしまった。

 異世界に転生できたけど、同じ人生は一度きりだ。


 異世界で生まれ変わって得たこの幸せを失わないように、今日の辺境伯様との出会いを成功させる。

 他所の領地に遠征した際に出会った貴族の中には腐った性格をした人物も多かったので、少し不安ではあるけれど、ビクトリアさんとタリアさんの父親だから、まともな人物であると信じよう。


 自身の子供達を代官として派遣した経緯は知らないが、辺境伯様が実力主義者で後継者選びの為に代官を経験させている可能性と、なんらかの理由で子供達を遠ざける必要があった可能性が考えられる。

 他の可能性もあるのかもしれないが、限りなく低いだろう。


 力をひけらかすのはあまり好きではないが、辺境伯様に私の本気を示し、婚約者と認めて貰う。


 屋敷へ入るとメイドさんが数人待機しており、急いで衣装室へと案内される。

 衣装室に入ると婚約者達が皆集まっていて、ビクトリアさんとタリアさんの二人は、ドレス姿に厳格さを感じられるジャケットを羽織っていた。

 髪型もいつもと違ってギャップが凄いことになっていて、二人の魅力が引き立っている。


 アーシャは可愛らしさに全振りした白のゴシックロリータ姿で、これでもかと言わんばかりにフリルやレース、リボンで飾られていて、恥ずかしそうに頬を赤らめてはにかんでいる姿がとても可愛らしい。


「三人ともすごく似合っているよ!辺境伯様もこの姿で歓待されたらイチコロだと思う!素晴らしいです!!」


 思わずテンションが高くなってしまうのも仕方ないだろう、好きな人が綺麗に着飾っている姿が神々しくすらあるので、思わず拝みたくなるほどだ。


「私も初めての装いだけど、胸が少し苦しい以外は気に入ったわ」


「……流石にメイド服でいる訳には行きませんので、でも喜んでいただけて嬉しいです」


「その……お姫様になったみたいで嬉しいような恥ずかしいような……いいのかなぁ?」


 みんなの姿が完璧すぎるので、辺境伯様が私を見た時の印象が薄いとよくない気がする。

 認めてもらうのはかなり大変な試練になるかもしれない。


「僕もみんなに負けないように着飾らないと、辺境伯様に印象を残せないと大変だね」


「大丈夫です、わたしに任せて下さい。本気でコーディネートさせていただきます」


「タリアに任せるわ!紳士な殿方に変身させてくださいね?私は中庭で歓待の用意をしますので」


「エスト兄様ならどんな姿でもかっこいいよ!楽しみにしてるね!」


 タリアさんが私のコーディネートをしてくれるのか、楽しみだな。

 ビクトリアさんとアーシャは外に出て辺境伯様の歓待を用意をしてくれるようである。


「しばらくわたしの指示に従って下さいね?失敗しては大変ですので」


「全てお任せしますのでお手柔らかに」


 銀色のボタンがついたタキシードのセットとフロックコートというものを着ることに、高級そうな革靴も履いてまるで貴族になったようである。


「初めて貴族のように着飾ったけど、意外と似合うものなんだね」


「まだ終わってませんよ?整髪と少しの化粧もしてしまいますね」


「……分かりました」


 少しでも大人だと思ってもらった方が都合がいいので大人しく受け入れることにした。

 整髪は問題ないが化粧は少し抵抗があった、けれど必要なことだろう


 髪はオールバックにするようだ、スキルを使っているのか早くにセットが終わる。

 化粧もナチュラルメイクを施してくれたらしい、鏡を見ると先ほどまでとはまた違った高貴な雰囲気がする大人の男性が見えた。


 ……意外と雰囲気が変わるもので、高貴な青年に完璧に変身してあどけなさが消えていた。


「これなら自信を持ってみんなと一緒にいれそうだ。ありがとうタリアさん」


「自分でメイクとコーディネイトをしておいてなんですが、すごく高貴な雰囲気がしていますね?エスト様、アルマさんの出身地を聞いたことはありますか?」


「出身地は聞いたことがないですね、どうしてですか?」


「エスト様の雰囲気が、昔お目にかかった王族の方に似ています。髪と瞳も特徴的なので、一般人には絶対に見えません」


「……アルマさんは不思議な人だからそういうこともあるかもしれませんが、問題はないでしょう。十年間音沙汰はありませんし、偶々の可能性もあります」


 アルマさんに過去の話を聞いた事はないけど、雰囲気的には王族もあり得なくはない、今度調べてみるとしよう。


「そうですね、エスト様は昔から凛々しい方で大人っぽいですし、それで納得しておきます」


「でも高貴に見えるのは好都合ですね、今日は辺境伯様を相手にして気後れする訳には行きませんので」


 これで衣装もばっちりだ、あとは辺境伯様の視察団を待ち受けるだけ。

 脳内シミュレーションを何度もしてきたので、リラックスして落ち着いて対応できるだろう。


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