1話いつもの日常
〈1話いつもの日常〉
「オラァァァッッ!!」
迫力のある声と共に手を振りかざす。
「パァーンッ」
体育館中に音が響き渡る。
「ナイススパイク敦!」
小柄な青年が喜びを表情に出しながら言う。
「相変わらずすごい運動神経だな」
金髪の大人びた青年は誉めながらも少し呆れるように言う。
「だろ〜、俺ってどのスポーツでもプロになれる気がするもんな〜、そう思わないか一弥〜」
「僕もそう思うよ〜、敦はどのスポーツも圧倒的だもん!」
「あんまり誉めない方がいいぞ一弥、こいつは昔からすぐ調子のるからな、てか体育の授業でよくそこまで自信を持てるな」
「そう言うなよ光瑠、運動神経が良すぎる俺への嫉妬か〜?」
「まぁまぁいいじゃん、2人ともそれぞれ才能があるんだから、僕なんかなんの才能もないんだから〜」
「そんなことなことねぇぞ一弥、この俺でもお前の足の速さには敵わないだからもっと自信を持てよ!」
「そうかな〜、、」
「おーいそこ喋ってないで次の試合行くぞー」
「は〜い」「ほ〜い」「はーい」
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放課後いつもの5人で帰っていた。
「来週からテストじゃねーかー」
バックを大きく振りながら気だるそうに言う。
「勉強すれば大丈夫だろ」
「勉強しなくても点数とれるやつに言われてもなぁ、一弥」
「僕もテストは嫌だ〜、だって漫画読む時間少なくなるじゃん〜」
ガクンと頭を下げる
「お前は本当漫画が好きだな」
「じゃあまた5人で勉強会でもしよーか!」
ミルクティー色のショートカットの髪を揺らして言う。
「それは助かるぜ有紗〜、1人だったらバックを開く気もでねぇもん」
「普通は『ノートを開く気も出ない』だろ、開かなすぎだろ」
呆れたように言うと4人は笑った。
「てことで木葉ちゃん私たちにテスト勉強よろしくね!」
手を合わせながら言う。急に話を振られたせいかビクッとしながら苦笑いを浮かべる。
「や、やっぱり私が教えるんだ、、」
「だって光瑠は教えるの下手だから」
目を細めて嫌味を言うように言う。
「何が分からないのか理解できないから仕方がない」
「なんだこいつ天才ぶりやがって」
「天才っていいな〜」
「じゃあ明日からこの時間は図書室で勉強ね」
「りょーかい」
と言い、たまたま空を見上げた敦の表情は変わった。
「なんだあれ、、」
「どうしたんだよ敦、UFOでもいたのか、、って嘘だろ、、」
光瑠も空の異様な光景に言葉を失う。それに続き他の3人も空を見上げた。
「えっ、、」「なにあれ、、」
木葉は声も出ずに口を抑えていた。
そこには黒い楕円形の飛行物体が大量に飛んでいた。それはとてつもない速さでこっちに向かって来ていた。その時
「ドォォォンッッ!!!」
後ろからとてつもない爆発音が聞こえた。
「「キャァァ!」」「ウワァァッ」
「大丈夫か!!」
「いきなりなんなんだこれは!」
敦は腰が抜けた木葉の手を引きなんとか立たせる。
何かが落ちたであろう場所には煙が広がっていたが少しづつその姿を表す。そこには白い楕円形の飛行物体が地面に刺さるように落ちていた。
「近くで見て来るから待ってろ」
「いや得体の知れない物に容易く近づくのはあまりにも危険すぎる」
「大丈夫だ」
「おいっ!」
敦は聞く耳を持たず走って駆け寄る。4人はその後ろを仕方なく着いていく。
「何がどうなってんの!」
「分からない!」
「どうしよ、敦くんどんどん行っちゃうよ」
敦に4人が追いついた時、煙はほとんど無くなり全体が見えるようになっていた。それには人が入れるような真っ暗な入り口らしきものがあった。
「この穴はなんだと思う?」
「この飛行物体の中へ入る入り口か?」
「真っ暗で何も見えないね」
「いや見えないと言うか何か見えない様になってると言うか、、」
その時敦は笑った。
「面白いじゃねーか」
そう言い飛行物体の穴に近づき始めた。
「おいっ待てっ!」
敦は穴に入った、、それに続き光瑠も入る。
「どうしよ、、」
「2人とも入っていっちゃった、、」
「怖くないのあの2人、、」
3人は固まって動けなかったが一弥は決断する。
「僕達も行こう」
2人は顔を見合わせ頷いた。そして恐る恐る3人は穴へ入る。
その瞬間、、、謎の煙が充満し喋る間もなく気を失ってしまった。
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そして目を覚ますとそこは建物も何も無い草原が広がっていた。