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夢見る未来に福音を  作者: 相馬
第一部 第一章《始まりの大地》
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第六話 中層見学

強秀英と戦ったその後から、次の休息日までの4日間は座学を無くしてひどく扱かれた。その間は防御してから反撃までをとにかく練習したことで、数日とはいえだいぶ攻めきれるようになった。とはいえ休み明けからまた酷く扱かれるんだろうなぁ。


休息日前の最後の鍛錬終わり、食堂で一人ゆっくり食事をしていると筋肉隆々のオスカーがやってきた。


「随分と疲れているな。ここ数日はずっと大変そうだな。」

「うん。秀英と模擬戦をやったんだけど負けちゃったんだ。それから先生がカンカンでさ。ずっとしごかれているんだ。多分しばらくは続くだろうね……」

「そりゃ災難だったなー……じゃあ明日の休息日の中層見学はやめとくか」

「行く!」


そうだった!明日は前言っていた中層に行く日だ!

小声でオスカーが言ってくれたけど、本来なら中層へは許可がないと行くことができない。僕ら天上人は基本上層に住むことが義務付けられ、中層へ行く許可が出ることはまずない。

そのため僕らは休息日の前日の夜、つまり今晩の点呼が終わり次第、城を抜け出して各層を隔てる壁を越えて中層に入る計画を立てていた。


中層へ行く目的はもともとソフィアがもうすぐ正規配属で、城にはそうそう来られなくなるため、送別の意味を込めた贈り物を買うためだ。ただ中層へ行く方法はソフィアが知っているから、こっそり買うことができそうにない。


「ていうかソフィアへの贈り物を買うのに本人がいたんじゃばれちゃうよ?」

「そうなんだよな。まあここはベタにソフィアが欲しそうにしてたら、後でこっそり買って渡してやればいいんじゃないか?」

「なるほど、じゃあそうしようか。」


その後も雑談を交わしながら夕食を終える。

そして水浴びをして中層に行く準備をしてから城の騎士が集まる一室で点呼を終える。

点呼を終えた後は城門や裏口などの出入り口は施錠され、門番が見張りを交代で行っている。そのため正攻法では点呼後に城から出ることはできない。


「時間まで待ってろって言われたけど、ソフィアはどうやって出てるんだろう。まさか窓から出るんじゃないよね?」


ソフィアは魔法が使えるから僕らと比べ、いろいろなことができる。本職じゃないらしいが、近接戦はオスカー以下男どもを手玉に取るほどの実力者だが、彼女の本領は中~遠距離戦だ。一度だけ手合わせしたことがある。こちらの攻撃をまるでどう来るかわかっているかのように余裕を持って避けられ、こちらが攻撃を避けようとするとすぐに反応して攻撃を当ててくる。あの反応速度は一体何なのだろうか。しかも力がオスカーや僕並みに強いと来た。


何から何まで魔法って言っていたけど、そんなに万能なんだろうか。中層へ行くのも魔法で行くのだろうか。

なんとなく気になって窓のほうをちらちら見ていた。

まさか、空を飛んで窓から来るとかかな?


「もしもーし、ウィリアムいるー?」


するとソフィアの声が聞こえた……扉のほうから。

勝手ながら少し残念に思って扉を開けるとソフィアとオスカーがいた。


「よし、準備はできてるな?」

「じゃあ早速、行きましょ!」


お互い小声で話をしながら、僕の部屋に入ってくる。

ん?出るんだよね?


「行くんだよね?どうして入ってくるの?」

「だって窓から出るんだもの」


その言葉に一瞬キョトンとする。


「え?ほんとに?ここ高いよ?どうやって降りるのさ」

「飛んで」

「え?」

「だから魔法で飛んでいくのよ。魔法使いとしては当然よね!魔法使いは少ないし、真っ暗だから光ったり、大きな音を立てたりしない限りばれないわ。そのまま中層まで行きましょう!」

「やったーー!」


期待通りだったことがうれしくて、周囲にばれない程度に諸手を挙げて喜ぶ。

扉から入ってきたからどっか裏口からかと勝手に少し落胆していた自分を殴りたいな!ソフィア凄い!ソフィア万歳!空を飛べるんだ!


小声で盛り上がりながらソフィアが絨毯を引く。そこに荷物と一緒に3人が乗る。


「この空飛ぶ絨毯で飛んでいくわよ。さぁ!しゅっぱーつ!」

「「おおー!」」


そうして3人が乗った絨毯が宙に浮いて窓に飛び込む!

しかし重大な事実に気が付く!


「通れないわ……」

「通れないな……」

「通れないね……」


3人含め、絨毯が大きくて窓から出られなかった。




その後、四苦八苦しながら何とかして窓から出た。具体的には一人ずつ窓から出て絨毯に乗る方式だ。

そうして外に出た僕たちは、快適な空の旅を楽しんでいた。


「すごーーい!ソフィア!これってどれくらい早く飛べるの!?」

「今回は重量があるからこれ以上はちょっと厳しいわ。高さも高くなるほど難しいから、今ぐらいが限界よ」

「へぇ、すごいね!重量が関係するんだね!僕らも乗ってこれだけ速く行けるってすごいね!」


3人が乗った絨毯が、上空30mくらいの位置を軽く走る程度の速さで飛んでいる。僕とオスカーの体重は合わせたら100㎏を超えるのだから、それでもこれだけの速さと高度で飛べるんだからすごい。すごすぎてすごいしか言えないくらいすごい。


「あんまりはしゃぐと中層につく前に疲れちまうぞ。それより空飛ぶことばっかに気を取られるなよ?中層に行くとすごいもんが見られるぞ」

「すごいもの?空飛ぶ以上に?」

「おおそうだ。空飛ぶ以上に凄いんだぞ」


オスカーの言葉に胸を躍らせていると、ソフィアが頬杖を突きながら呆れたような声を出す。


「オスカー中層行ったことないでしょ?私から聞いたことを自慢げに話さないでよ。それに空飛ぶほうがずっとすごいのよ?」


ソフィアが笑いながらオスカーに指摘する。ていうかオスカー、見たことないのに自慢げに言っていたのか。でもソフィア発信の情報なら信憑性がある。いや、別にオスカーが嘘つきってわけじゃないけどね?


話していると慣れてきて、空を飛んでいることへの高揚も少し落ち着いてきた。そうして空を見上げると空には満点の星空が広がっていた。夜は城内にいることが多いのでこうして夜空を見上げることはなかったので新鮮に感じる。


「きれいな月だね……なんだか不思議な気持ちになるよ」

「確かにきれいな空だな。前の世界じゃこんなに星は見れないな」

「そうね。本当にきれい……ウィリアムは懐かしいと言っていたわね。もしかしたら前の世界は星がよく見える国にいたのかしら?」

「どうだろうね。そうかもしれないな」


自分の記憶に関しては、こっちの世界にきて1年半になるがいまだに何もわかっていない。最初のころは自分が何者なのか、状況もわからず、他の人との違いにも悩まされてきた。かなり辛いと思ったこともあるが、オスカー、ソフィアの二人が気にかけて、支えてくれた。僕は二人に世話になってばかりで、何も返せていないのだ。今だって僕一人、何もできていない。ソフィアやオスカーが正規配属で会えなくなる前に何か恩返しをしたい。


記憶のない僕にとって二人は―――


「おい、見ろウィリアム!もうすぐ中層だぞ!」

「本当?わぁあー……!」


上層と中層を隔てる壁を越え、見えてきたのは中層の景色。

そこには上層にはない湖や川が月明りに照らされて輝いて見えた。さらに街や集落を結ぶ街道の両端の地面から浮かび上がる光によって道が淡く輝いて見える。


「すごい……夜なのにこんなに光にあふれているんだね」

「上層と違って中層は自然を生かして夜を照らしているからかな。幻想的だよ。」

「道の端に蛍のように光を放つ石が設置されているから、夜でも街道が照らされているの。だから夜の散歩も迷子になることは少ないわ。それに昼も自然があふれているからいい景色なの」


ソフィアが気を利かせてゆっくり飛んでくれる。そのまましばらく飛んだあと比較的多きな街の外に降りて、歩いて向かう。


「ここの町は中層でも有数の大きな町よ。中には宿もあるしギルドもあるからまずはここを観光しましょう。」

「ギルド?あのハンターが集まる?」

「そう。ちなみに登録もできるわ。ギルドは国とは完全に独立しているから登録してもばれることはないし、守秘義務があるから守ってもくれるわ。ただし、ちゃんと仕事をしないとあっさり切られちゃうから気を付けてね」


ずいぶんと詳しいようだけど、もしかして……


「もしかしてソフィアは登録してるのか?」

「ええ、もちろん。何度も依頼を受けてるわ」

「おおぉ……」


オスカーが驚いている。それもそうか、オスカーは結構ハンターになりたいと常々言っていたし、気風的にも合いそうだ。勝手な思い込みだけど。

ただ知的で落ち着いた雰囲気のソフィアが思った以上にアグレッシブで驚いた。中層に抜け出しているってこともそうだけどギルドに登録して好き放題しているのだからギャップがある。


「じゃあ今日はここで宿探して明日はギルドにいく?」

「そうしよう!そうしよう!ギルドか!ついに俺もハンターになれるんだな!」

「登録するのはいいけど、さすがに登録したその日に依頼受けるのは無理よ?時間がないし、手続きに時間がかかるもの」


あ、目に見えてオスカーが落ち込んだ。きっと登録して依頼を受けてみたかったんだろうけど、そもそも今回中層に来た目的を忘れてるんじゃないだろうか。


「手続きはどれくらい時間かかるの?」

「だいたい1、2時間くらいかしら。それだけで午前すぎちゃうから午後は観光にしましょう」


こんな具合で明日の予定が決まる。町に入ると上層の町に比べると明りが少ない。街頭が少なく、建物の数自体も比較的少ないからだろう。ただ不自由なほどではないので単純に上層が明るすぎるだけだと思う。


宿泊先だがソフィア行きつけの宿があるらしいので、まっすぐ宿に向かう。

宿に入ると中は食堂のようになっており、入口近くに受付があった。そこにはまだ若い茶髪の女性が立っていた。

その女性は客が入ってきたとたんに気を引き締めて真面目な表情をした。しかし入ってきたのがソフィアだと気づいたとたん、まじめな表情を崩して一転綻ばせる。


「あ!ソフィアさん!お久しぶりです。元気にしてましたか?」

「久しぶりね、アメリア。ちゃんと元気にしてたわ。今日は私以外にも2人いるんだけど泊まれるかしら」

「ソフィアさん以外に2人ですか?宿は空いてるんで大丈夫ですけど。ソフィアさんもしかして?」

「ち、違うわよ。二人とも同僚よ。中層に来たいっていうから連れてきたの。部屋は二部屋で一つは私でもう一つは二人が使うわ」

「わかりました。じゃあ案内しますね」


彼女はアメリアというらしい。明るい茶髪のさらさらした髪を背中まで伸ばし、首のあたりでゆるく縛っている。アメリアは鍵を持って2階に上がるのでついていく。そうして案内された部屋はオスカーとの相部屋なので広々として、ベッドやソファもあって高級そうだ。そういえば一部屋の値段はいくらなんだろうか。


「アメリアさん」

「は、はひ!」


はひ?


「この部屋って一泊いくらなんですか?」

「こ、この部屋は一泊銀貨3枚です。食事つきなら朝晩含めて銀貨4枚です。」

「オスカー、相場ってわかる?」

「わからん」


どうにも挙動不審なのが気になるけど、これが普通なのかな。

相場を聞いては見たものの、僕らは基本城から出ない。上層の町で買い物をするが、そのときに金貨1枚が銀貨10枚、銀貨1枚が銅貨10枚、銅貨1枚が石貨10枚っていうのを知ったくらいだ。あとは筆記具と羊皮紙の値段くらいだ。ちなみ羊皮紙を束ねたものの値段が銀貨5枚、ペンが銀貨2枚でインクは銅貨7枚だ。そして僕らの給金は月に金貨2枚だ。

そう考えると月の給金で4泊しかできないとなると、かなり高いのではないだろうか。


「ここって結構高級な宿なのかな?」

「そうですね、この辺りではシャワーもついているのでかなり高級な部類になりますね。ええっと、払えますか?」

「ああ、そこは大丈夫。ちゃんと払うよ」


そういって二人でお金を払う。それぞれ銀貨4枚手渡そうとする。


「ああ、銀貨はお二人合わせて銀貨5枚で結構ですよ。食事は人数分なのでその分いただきますが、部屋は一部屋なので」

「ん?ってことはこの部屋に3人以上で泊まることもできるのか?」

「そうですね。できることはできますがあまりいい顔はされませんね。ましてやソフィアさんと一緒だなんて」

「ち、違うぞ!べ、別にソフィアと一緒の部屋がいいとか思ってないからな!」

「オスカー、僕から見ても怪しいよ」

「ウィリアムまで!?お、俺は別にやましい気持ちなんてないぞ!」


きょどるオスカーをジト目で見つめる。するとオスカーが勘弁したように両手を上げてうなだれた。

それが面白くて、アメリアさんと一緒に笑いあう。オスカーのおかげで彼女と少しだけ仲良くなれたようで、オスカーがソフィアをどう思っているかも察したようだ。

オスカーをからかっているとソフィアがやってきた。


「あら、楽しそうね。私も混ぜてもらおうかしら。アメリアは受付大丈夫なの?」

「ああ、もうそろそろ閉める時間なので大丈夫ですよ。でもちょっと仕事があるんで一度出ますね。あの、また来てもいいですか?」

「もちろんいいわよ。二人ともいいかしら?」

「ああ、いいぜ」


オスカーが了承したので僕も頷くと、アメリアさんは嬉しそうに出ていった。


「ソフィアは彼女と仲良さそうだな。ここにはどれくらいいるんだ?」

「そうね、中層に初めて行ったのが2年前で、その時からここの宿を使っているからそのころからの付き合いね。もうそんなになるのねぇ」


いいながらソフィアは部屋の中のソファに座る。オスカーはソフィアの隣に、僕はベッドの方に腰を下ろした。


「そんな前から行ってたのか。だったらもっと早く教えてほしかったな」

「そうはいうけど、オスカーに早く教えたら鍛錬そっちのけで中層に行きそうなんだもの。今はだいぶ鍛錬も一息ついて仕上がっているから来たのよ」

「じゃあウィリアムはどうなんだよ。筋はいいとはいえ、まだ鍛錬は途中だぜ」

「ウィリアムは真面目だもの。休息日も遊び惚けたりせずに鍛錬したりするくらいだもの。中層行ってもちゃんと鍛錬するわよ」

「俺だってちゃんとしたさ……」


オスカーの最後の言葉は尻すぼみになっていったから、きっと自覚があるのだろう。彼は良くも悪くも純粋で素直だからわかりやすくて信用できる。あとからかうと面白い。

オスカーがいじられてるのを余裕綽々で笑っていると、ソフィアの口撃の矛先が僕に向いた。


「話は変わるんだけどさ、ウィリアムってさ、好きな人いるの?」

「何?急にどうしたの?」

「だってこんな風にしてると前の世界の学生時代を思い出しちゃってね。定番よね。恋バナ」


前の世界か、僕には記憶が無いから、そのあたりには共感ができない。少しうらやましい。


「確かにな、俺がいた学校も学生の旅行があったな。定番は女子の部屋に忍び込むことだったが」

「それちゃんと女子と約束していってたの?」

「……きっと行けば盛り上がったさ」

「たどり着かなかったんだね」

「ひどいわね」


またオスカーが悪ふざけをしていた過去をいじる流れになってしまった。ソフィアもこの手の話は好きらしく楽しそうにしている。いや、困っているオスカーを見て面白がっているだけかもしれない。いじめっ子だ。


「で、結局どうなのよ、ウィリアム。城内にもメイドとかいるじゃない。気になる人とかいないの?」

「うーん、いないなぁ。鍛錬ばかりでそんな余裕なかったし、それに二人といるのが楽しいから彼女欲しいとも思わなかったな」


これは本当で、普段は鍛錬で大変だし、休息日は日誌と体の疲れを取るのにも気を使っているので、彼女を作る余裕がない。確かに2人を見ているとたまにいい人いないかなと思うことはあるが、すぐにいいかと思ってしまう。


「そっかー、まだ1年半しかたってないものね。鍛錬はまだ大変よね。じゃあどんな子が好み?」


ずいぶんと深く聞いてくるな。

好みのタイプか……考えたことないな。


「んー、愛嬌のある人?」


自分のことだけど、知り合いの女性が少ないからいまいち自信がない。

話をしているとノックがされる。ソフィアが開けるとそこにはアメリアさんがいた。


「ソフィアさん!仕事終わらせてきたのでお話してもいいですか!?」

「いいわよ、入って入って」

「失礼しまーす」


アメリアさんが部屋に入ってきて、僕がいるのとは違うベッドに座る。

アメリアさんが加わったので改めて自己紹介をする。


「改めましてはじめまして、私はこの宿屋の娘のアメリアです。」

「俺はオスカー・アルドレアス。ソフィアの同僚だ」

「同じく僕はウィリアム。よろしくね」

「よろしくお願いします!」


許可なく上層から抜け出している身の上で、ソフィアがどの程度の情報を明かしているのかわからないため、ソフィアの同僚とだけ答えてオスカーが濁した。ソフィアがどれくらい明かしているのか探ろうかと思っていると本人から説明がきた。


「2人とも、心配しなくても全部話しちゃったから濁しても意味ないわよ?」

「え、全部話したのかよ」

「そりゃあ、宿なんだからお客の情報をしゃべるようじゃ駄目でしょ。だから彼女には特別に話したのよ。」

「はい!皆さんのことは誰にも言いません!」


その言葉を聞いて僕とオスカーは胸をなでおろす。こちらの身の上を知っているのならと気を遣わずに話をしていった。


「ソフィアさんからお二人のことよく聞くんですけど、やっぱりお強いんですか?」

「「ソフィアほどじゃない」」

「なんでハモるのよ」

「だって今城内にいる部隊員でソフィアに勝てるのいないし」

「ここにもソフィアがいないと来れないもんね」

「やっぱりソフィアさんは凄いんですね!」


アメリアさんはどうやらソフィアにあこがれているようだ。聞いた話ではソフィアはギルドに登録してハンターとしてはかなり凄腕らしい。強力なモンスターを倒したり、遺跡を踏破したりと活躍しているそうだ。ハンターランクも最上級のA級らしい。僕はまだ登録したわけではないし、ギルドが身近というわけでもないのでどれくらいすごいのかいまいちわからない。

その後も少し話をして、アメリアさんとソフィアは退出していった。僕たちも寝る準備をする。


「明日はいよいよハンターギルドに登録だな!楽しみだな!」

「当初の目的忘れてないよね?プレゼント買うんだよ」

「わかってはいるが楽しみなんだから仕方ないだろ。お前は楽しみじゃないのか」

「今の時点で登録しても二人みたいに活躍できる自信がないよ」

「心配するなよ。お前もかなり強くなってるぞ。俺とも大して変わりゃしないさ」

「そうかな……」


今の僕は2人ほど強くない。知識も経験もない。どうしたら2人の役に立てるだろうか。ソフィアがいなくなるまでに見つけなきゃいけない。そんなことを考えながらその晩は眠りについた。




次回、「ウィリアムの実力」

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