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第3話 よっといで花街。ここは良いとこ魔王城

目が覚めると知らない天井がそこにはあった


「いてっ……」


「まだ動いちゃだめよぉん」


ズルズルと何か引きずる音が聞こえた。音のする方に首を向ける。


ナメクジの様な体にデカい唇。何か昔ゲームで見たことある様な魔物がいた。


「えっ。リップ……」


「な~に?私の唇が気になるの?もぉ~ お・ま・せ・さん♡」


思わず魔法を放ちそうになったがグッと堪えた。


「貴方とガル―フェン様が運ばれてきた時は大変だったのよん。ガル―フェン様の方が重傷だったけど先程目が覚められて自室にお帰りになったわ」


「あ…よかった生きてたか」


僕はガルーフェンの安否を確認出来て胸を撫でおろした。


「それとぉ~目が覚めたらガルフェン様のお部屋に来るように言伝を預かったわぁ~」


「あ…ありがとう」


僕はゆっくり体を起こすとベットから降りて自分の体を確認した。


「傷が無い」


「ワタシの回復魔法でばっちり治しちゃったわぁ~」


「君が?そうだったのか…ありがとう。退治しようとしてごめん」


「え?退治?なんのこと?」


「あ、いやごめん。まだろれつが回らなくて」


思わず心の声が出てしまった。命の恩人に対して敬意を払わなくては


「あら♡ いいのよぉん~ 男の子はやんちゃな方がす・て・き」


僕は礼を言い、早々に部屋を出た。後数分もいたら命の恩人を……


ガル―フェンの言伝に従い、彼の部屋を目指した


魔王城は広い。ガル―フェンの部屋までは歩いて五分以上かかる。

先程の戦いを思い出しながらゆっくり歩を進めた


部屋に着くとまた大きな扉が顔を出した


(魔王軍て部屋の扉デカいよなぁ。大型の魔物もいるからかな?)


そんな推測をしつつ扉を叩いた


「あの、(りゅう)、いや、勇者です、だ!」


「開いてるぞ。入ってくれ」


扉を開け中に入るとガルーフェンは机に向かって何か書類の確認をしていた

隣には侍女が二名。メイド服を着ていた。しかし顔は狼。だがガルーフェンと異なり何か女らしさとというか、メスらしい毛並みをしていた


「まずはお互いの無事を喜ぼう」


お前が仕掛けてきたんだろボケ! と心で叫んだ


「うん……そうだね」


「それでどうだ? 俺と鹿王どっちが強かった」


「正直、鹿王と戦った時には仲間も三人いたし、明確に答えることは出来ないけど…」


その仲間達は今石像にされてテラスのオブジェになってる。まぁ僕が石像にしたのだが


「でも、ガールフェンと戦った時の方が、なんていうんだろう…楽し…かったかな」


僕は精一杯の感想を伝えた


「そうかそうか! 楽しかったか!よしよし!それは俺も同じ意見だ友よ!」


ガル―フェンの言葉に自分の耳を疑った?


「え? と、、、も、、、?」


「当たり前だ、こうやって拳を交えお互いの事を知った。我らは友だろう?違うのか?」


ガル―フェンの言葉に一筋の涙が流れた。嬉しくて流れる涙。都市伝説だとばかり思っていた


「あっあの!! あ…ありがとう!!」


「何を泣いている? 傷が痛むのか?」


「違うよ…友達なんて…その…初めて言われたから…嬉しくて」


「はっはっは! そうかそうか!これから我らは友だ。遠慮なく頼るがよい」


「ありがとうガル―フェン」


「ガルと呼べ勇者よ」


「ガル…うん。分かった。ガル、僕は(りゅう)と呼んで」


「わかった(りゅう)よ!これからもよろしくな!また戦おう!」


「それだけは断る!!!」


部屋の中は二人の笑い声で満たされていた


その後他愛もない話を交わし、僕は部屋を後にして自室に戻った


「ともだち!」


僕はその響きを何度も心の中で反芻した。浮かれ気分で足取りも軽い。思わずスキップしてしまった


たまたま角を曲がってきた魔族に見られ赤面した


「魔王軍に入って、、、よかった、、、気がする」


僕は無性に走りたくなり長く続く廊下を駆け抜けた


それから魔王軍に入ってから一週間が経った


だいぶ環境にも慣れてきた。すれ違う魔物も僕を幹部だと知ったのか認めたのかすれ違う時は立ち止まりお辞儀をするようになってきた。これもガルとの戦いが噂になったからかもしれない。


ガルは第三師団長として実力も人望も厚い。そんな人物と戦い、友好関係を築いたからこその現状なのだと感じた


(ガルには感謝しかないな)


そんな僕は魔王の部屋へ向かっていた


魔王に大事な話があるからだ


これは友達に続く重要案件。いや場合によってはそれをも上回る案件かもしれない


「魔王、勇者だ!入るぞ」


僕は部屋に入り魔王の前に立った。威風堂々と。


「ど、どうした? 目が血走ってるぞ」


「魔王!! 今こそ約束を果たしてもらおう!!!」


「ど、、、どうした!?」


「約束の美女軍団! そろそろ俺の配下に用意してもらおうか!」


魔王はあっという表情を浮かべた。まぁスケルトンだから表情はないから分からないけど


「も、もちろん、だとも! 今丁度厳選していたのだ」


どうやら魔王は嘘が下手なようだ


「なら今から用意してもらおうか!!!」


鬼気迫る僕の勢いに負けた魔王は渋々女魔族の招集をかけた


――― ー時間後 ―――



「ふふふ。はーっはっはっは!!!勇者よ。刮目せよ。我が魔王軍が誇る粒ぞろいをそろえたぞ」


魔王は自信満々に鼻息を荒く戻ってきた


「待ってました!!! さぁ早速見せてくれ!」


「まぁ待て勇者よ。はやる気持ちも分からなくもないがゆっくりじっくり行こうではないか」


魔王の焦らしっぷりに僕の期待値もあがる


「それでは、我の一押しスケルトンの…」


すかさず僕は突っ込みを入れた


「ちょーーーーと待て!!! 俺は人間だぞ!!! 人間に近い顔にしろ! 」


「えーーーーせっかく用意したのにか? 声とかめちゃくちゃ可愛いぞ?」


完全に骨子さんだ。確かに声は可愛い。性格だっていいのは知っている。不甲斐なく欲情した記憶もあった。しかし今日は折れるわけにはいかない


「当たり前だ!!!せめて!いや百歩譲って、肉はついてる子にしてくれ」


僕は般若の如き形相で魔王に迫った


「わ、分かった、分かった! では 気を取り直して…」


魔王はゴホンと一つ咳をすると


「えーーエントリーNO二番、アラクネ族代表 魅惑の美貌を持つ スピルクリアちゃん」


魔王が紹介すると扉の外からボンキュッボンのナイスバディーを持った美女が入って来た

しかし顔を見るとそこには蜘蛛フェイス


「うぉぉぉぉい! 顔!顔が蜘蛛!! スタイル最高で人間ぽいけど顔!!!! というかせめて逆!!体蜘蛛で顔人間! いや、身体蜘蛛も嫌だけど!!!」


魔王は少しイラっとした口調で続けた


「では、エントリーNO三番 ラミアのラーネリちゃんどうぞ!」


魔王は既にキャバクラのボーイっぽくなっていた。意外とノリがいい


ズルズルと蛇が移動する音を響かせながらラーミアが入って来た


身体は蛇。いやそれはアニメで見るラーミアその者だから予測はしていた。しかし顔は確かに人っぽいしかし鱗まみれの顔はそれはもはや妖怪蛇女


「いや確かに顔人間ぽいけど鱗生えてるから!!!」


「いやそれはラーミアだし仕方あるまい?」


「いやもっと普通に人間ぽいのいるだろ!姿かたち人間だけど角だけ生えてるとかさ!!」


僕は魔王にイメージを必死に伝えた


「なるほど! それならそうと最初に言ってくださいよ旦那」


魔王は完全に花街の太鼓持ち化していた


「それでは続きましてエントリーNO四番 母性の完全体! 牛魔族の癒し系担当 カーウリナさんどうぞ!」


出てきた女の子は人間のような体、人間のような顔。人間との違いは顔の左右から一本ずつ途中で90°に曲がった角。しかし筋骨隆々。2メートルを超える身長。


「あってる!あってるけども筋肉つきすぎ!身長高すぎ!なんかこれじゃ僕が守られちゃうじゃんか!!!」


「いやでもご指定の容姿ですけどねぇ」


「いやサービス付いちゃってるから!筋肉オプションいらないから!!! チェーンジ!」


その後も魔王は数名呼んでくれたがTHE・魔物

どうやら後々話を何人かに聞いてみたが僕の【可愛い】と魔王軍の【可愛い】は根本的に違っている


魔王軍では僕はイケメン。その言葉で気付くべきだった。

美に関する概念が人間界とは真逆なのだ………


その日の晩。毛布に包まって僕は泣いた



本作を読んでいただきありがとうございます



まだ書き始めですが自分の思い描く世界観を表現できるように頑張っていきます



これからの展開にご期待ください



また最後に――【クロノスからのお願い】


『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。



感想もお待ちしております。誤字脱字。こんな感じの方がもっと良いなどコメント下さるとうれしいです



今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!



本作はアップした後作者が読んだ結果、おかしな部分があった場合随時直していきます。


もしかすると時間が経つと微妙に変わってたりもしますがご了承ください

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― 新着の感想 ―
[良い点] 彼女紹介、笑えました! [一言] 魔王様の気持ちがよく分かります。 私は昔、恐竜やクリーチャー描いていたのですが、自分のストーリーに挿絵をつける上で、可愛いキャラクターを描かねばならず悪戦…
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