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第22話 危機一髪

シャルルとの旅も終わりを迎えようとしていた


次の町が見えてきた


「K様、ようやく町が見えましたよ」


荷台で寝転がっていた(りゅう)は背伸びをして固まった体をほぐす


「あぁ〜、ようやく着いたかぁ。前の村から3日かかりましたね」


「これでも早い方ですよ。K様が途中出てきた魔物を退治してくれたおかげで、被害もありませんでしたし」


(ドラグさんの作った薬で魔獣化した生き物を殺すのは気が引けたが…)


「K様はこれからご予定が?」


「とりあえず冒険者ギルドに向かおうと思ってる」


「そうでしたか! 私はまた荷を積み込んで、馬を休ませたらまた別の町へ向かいます。もし機会があれば是非王都にある当店にお立ち寄りくださいね」


「わかった。必ず寄ると約束する」


「はいそれではギルド前に到着致しました。御武運を」


(りゅう)は荷台から降りるとシャルルの下に向かい握手を交わす


「本当に世話になった」


「いえいえ。こちらこそ。良い旅でした。それではまたどこかで」


シャルルは馬の手綱をグイッと引っ張るとそのまま走っていった


だんだん小さくなるシャルルの荷馬車


(気の良い人だった。また会いたいな)


再会を楽しみに、ギルドへと入っていった


中に入ると掲示板へ向かう


ーー畑を荒らす魔獣討伐

内容:畑を毎晩荒らしにくる魔獣を倒してほしい

報酬:1匹につき1万ホーラ



ーー薬草採取

内容:近くの森に生息する薬草を採取してほしい

個数:5枚

報酬5千ホーラ



ーー迷子の猫を探してほしい

内容:我が家のペットが失踪した。探し出して連れてきてほしい

報酬:4500ホーラ



多くの依頼が掲示板に貼られていた


「結構安いの多いな」


手持ちのお金がだいぶ減ってきたので少し依頼をこなそうと考えていた


掲示板の横に貼られた紙に目がいく


ーー情報求むーー

国家反逆の罪で闘争している人物の情報を求む

報酬は内容によって変わる

本人を捕縛し連れてきた者には1億ホーラを報酬として渡す

生死問わず



「これは破格だな」


そのまま下の方を見ていくと似顔絵があった


「え...えぇぇぇぇぇぇx!」


思わず叫んでしまった


周りから好奇の目で見られる


(これ、僕じゃん。国家反逆罪って…マジかよぉ…しかも生死問わずって。。。)


手配書にたじろいでいると、後ろから肩を掴まれる


「おい」


思わず全身が硬直する


「あぃ!」


声が上擦った


「貴様、何か知っているのか?」


振り返るとそこには王国の鎧を着た兵士が仁王立ちしていた


「えっいや、ぼく、いや俺は何も、あの、」


「何をしどろもどろしている? 何か怪しいな貴様」


「いや、突然声かけられてその、びっくりというか」


「まぁ良い。貴様付けてる仮面を外せ。念のため顔を確認する」


心臓の鼓動が急激に加速する


手が自然に握り込まれ震える


手汗がひどくなる


「あ、これはその、病気であの。皮膚が」


「どうした? 外せないのか? ますます怪しいな貴様!!」


逃げようにも気が動転して足が動かない。


(逃げなきゃ、逃げなきゃ、逃げなきゃ)


この場をどう切り抜けるか思慮を巡らす


ここで逃げれば自らの生存を王都に教えるような者だ。


今後確実に狙われ続ける事になる


戦うのもダメ

逃げるのもダメ

仮面を外さないのもダメ


八方塞がりの(りゅう)はゆっくり仮面に手を伸ばす


その時、建物の外で爆発音が鳴る


きゃーーー


外から大勢の悲鳴が聞こえる


「チッ。もう良い。何か情報が有れば必ず報告せよ!」


僕を追い込んだ兵士は外に飛び出していった


休止に一生を得た


心臓が未だ脈を激しく打つ


「あっ、危なかった」


喉がカラカラになっていた


『アクエリアスの恵』を取り出そうにも手が震えてうまく取り出せない


やっとの思いで取り出し口に運ぶ


あまりに勢い良く飲んだので思わずむせる


「とりあえず、ここを出よう」


町の騒動に合わせて外に出た


出る瞬間『透明化の指輪』で身体を消した


さっきの兵士に見つかりたくなかった


外に出ると兵士達と魔物が町中で戦っていた


どうやら魔物が町まで入ってきたようだった


さっきの恐怖心が抜けなかったが、王国兵の実力も正直気にはなる


姿を消したまま少し観戦する事にした


兵士達は魔物をぐるりと取り囲む


1人が攻撃すると魔物は攻撃した側を向く


すると背中を向けられた兵士が追撃を加える


連携の取れたいい動きだ


魔物はみるみる弱まり抵抗もままならないまま、倒された


(なんて無駄の無い戦闘なんだろう。)


(りゅう)はその鮮やかさに感心してしまった


気がつくとかなり近くまで寄っていた


魔物を討伐した兵士の中に聞き覚えのある声がする


先ほどギルドで(りゅう)に詰め寄った兵士だ


「全く。魔物じゃ何にも利益にならない。この前捉えた魔族達みたいに有益じゃなきゃ無駄骨だよ」


隣にいた兵士が口を開けて苦言を呈する


「おい。誰が聞いてるか分からんのだ。あまりペラペラ話すな」


「へいへーい。失礼しましたー」


兵士たちは魔物を別の兵士が持ってきた荷車に乗せると、どこかへ向かって歩き出した。


(この前捉えた魔族…!?)


(りゅう)の脳裏に昨晩の光景が映し出される


(まさか、あいつらが!?)


透明化の制限時間は1日で1時間


残り時間は40分弱だ


(とりあえず、行けるところまでいこう)


(りゅう)は兵士達の尾行を始めた

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― 新着の感想 ―
[良い点] 生死に関わらずって・・。 [一言] あの村に、誰がいたのでしょう。 犠牲になった魔族たちがかわいそうです。
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