第1話 人生初の女性とスキンシップ!?
人間を裏切り魔王軍に寝返ってから一晩が経った
しかし心はなぜか晴れやかな気分だ
魔王は僕に言った
可愛い魔族の女を紹介すると
「俺はイケメン」
魔王の言った言葉を自分の中で反芻妄想を繰り返すことで自分をイケメンと呼ぶところまで来た
「ここに来るまでに戦った魔王軍の幹部は完全に見た目は人型。ただ角があるのと、目の色が赤いのと、肌の色が赤黒いだけしか違いは無い。女は見たことなかったが、まぁ角は猫耳、目の色はカラコン、肌の色に関しては日焼けギャルと解釈すれば問題ない」
そう自分に暗示をかけるかのように何度も声に出して反芻していた
ベットで寝っ転がりながら天蓋を見つめ何度も何度も自己暗示をかけているとコツコツと足音が部屋の外から聞こえた
「勇者よ起きているか?」
そこに魔王の姿があった
「起きてる。魔王よ昨夜の約束覚えてるよな?」
「もちろん。我は約束を違える事はない。しかしその前に貴様が我が仲間になった事を皆に伝えようと思う。今より1時間後にまた迎えに来る。幹部会議に顔を出すがよい」
「分かった。それでは支度をしておく。僕に幹部の席は用意してくれよ」
「もちろんだ」
そう言うと魔王は踵を返し部屋を後にした
今まで人間に相手にされなかった反動か期待に胸と股間を膨らませ僕は身支度を始めた
一時間経つと部屋をノックする音が聞こえた
「はーい」
「お迎えに上がりました。入ってもよろしいでしょうか?」
「どうぞ」
扉の向こうからは女の子の声。しかも若くアニメの様な可愛い声に僕は顔を妄想した
(魔王早速気を利かせたのか♪)
ゆっくりと扉が開き美女(妄想)の全貌が明らかになった。
そこには純白で透き通る肌の美女(生前は?)のスケルトンがそこにいた
「いや、無駄に可愛い(声が)すぎるから!!!」
スケルトン女子は頬を抑え照れたような表情を浮かべたような気がしたがわからない。
だって肉が無い
「やだ、勇者様。そんなこと言って♡ 恥ずかしいですよ~」
無駄に可愛い声が響く
「………」
僕は声が出なかった
いや確かに人間でこんな反応する子はいなかった
正直女性免疫のない僕にはこの反応すら可愛く見えてしまう
そんな自分が恐ろしくも悲しかった
「さぁさ、勇者様魔王様がお待ちですよ」
先ほど来た時よりも可愛い声をだして女らしさを強調しているスケルトン女子は僕の手を握り魔王の待つ部屋まで案内してくれた。
その手は無性に冷たかったが心は温かかった。ような気がした…
魔王の待つ部屋まで骨子さん(スケルトン女子をこう呼ぶことにした)と手をつなぎ他愛無い話を交わした
(なぜか無性に思ってしまう……可愛い……)
相手は骨なのに声を聴くと股間が……
童貞属性の極みを痛感する
収まれ、収まれ、収まれ、頭の中で何度も連呼する
しかし抵抗虚しくJrは今日も元気いっぱいだ
使ってあげれなくてごめん
僕はJrに心の底から謝罪した
せめて最初は肉体がある方がいい
そう自分に言い聞かせ耐え忍いだ
意識を現実に戻すと目の前には大きな木の扉があり髑髏で装飾が施されていた
「勇者様着きましたよ」
「あ、ありがとう」
「いえいえ♡ またお話ししましょう。 それでは失礼いたします」
「あ、うんありがとう」
もし次すれ違っても絶対わからない。
だって骨だもの……
僕は一応扉をノックした
「あ―――勇者だけど、入るよ」
扉がひとりでに開き始めた
中には明らかに他の魔族とは違い、仰々しいオーラを放つ者たちが顔を連ねていた
「おぉ、勇者よ良く来た。こちらに腰かけよ」
魔王は自分の隣にある空席を指さし僕を呼んだ
(なんだろう……視線が痛い……)
それもそのはず。
魔王の玉座に来るまでに僕達は三体の幹部と思われる人物を倒している
丁度空いている席の数と一致する
時折聞こえる舌打ちを無いものとして僕は席まで向かい腰を下ろした
「皆よく聞け。昨日勇者は我らが軍門に下った。実力からしても幹部は順当だろう。我が決定に異を唱える者はこの場にて発言するがよい」
さすがは魔王。威風堂々たる威厳を見せつけた
9人の幹部達は不満げな顔をするも渋々了承したようだ
「あーえーっと。人間に召喚されてきた勇者です。今日から心入れ替え魔王軍の為に粉骨砕身戦い抜くことを誓いましゅ」
人と話すより魔族と話す方が何故か話せる
しかしこの人数を前だと、コミュ障が顔を出す
おもわず噛んでしまって顔から火が噴きそうだった。
「なお、勇者からの手土産代わりに、自らの仲間を石像にして我に差し出してくれた。記念に魔王城のテラスに飾ったので見たい奴は見るがよい。くれぐれも壊したりなどするな。壊した場合は我に対する攻撃の意志ありとみなす。部下共にも伝えておけ」
「御意」
幹部達は一斉に意を示した
その後も会議っぽい事が話し合われていた
魔王城の財源状況、侵略計画、食料の確保などなど2時間くらいに渡って話が行われていた
しかし僕にはちんぷんかんぷんで途中から意識はその場にいなかった
「ではこれにて会議は終了とする。解散」
魔王の一声で幹部達はそれぞれ散っていった。
その声で僕も意識を取り戻した
何食わぬ顔で席を立ち部屋に戻ろうとしたその時
幹部の一人が僕の肩を掴み声を掛けてきた
「おい、勇者。話があるちょっと面貸せ」
僕は後をついて行った
本作『クソブサ』を読んでいただきありがとうございます
まだ書き始めですが自分の思い描く世界観を表現できるように頑張っていきます
これからの展開にご期待ください
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