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誓約龍魂バハムートセイバー  作者: 宮下龍美
第四章 学園青春ライフ
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精霊の遺跡 2

「うわあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


 イグナシオの情けない声が響く。全力ダッシュで逃げている彼の背後からは、恐ろしい形相の蜘蛛女、アラクネが追いかけていた。


「は、早く助けろよ! いつまで逃げればいいんだ!」

『Reload Explosion』


 無機質な機械音声。遅れて弾丸がアラクネの顔に直撃し、爆発が起きる。残念ながら表面を少し焦がすだけだったが、怯ませることはできた。その隙に両者の間に躍り出る三つの影。

 愛用の剣を持った龍太と、二刀を携えたクロ。そして拳を構えたソフィアの三人だ。龍太がアラクネの足を斬り落として機動力を奪い、動きが完全に止まったところでクロの二刀が女の胴体を袈裟に切り付ける。

 最後にソフィアの拳がアラクネの頭を砕いて、蜘蛛女は絶命した。


「よしっ、そんなに魔力使わなくてもなんとかなるな」

「温存できるに越したことはないし、敵に探知されたら本末転倒だものね」


 それぞれ得物を納めて、一息吐く。約一名肩で息をしているが、日ごろの運動不足が祟っているのだろう。


「おうおう情けないなぁクソ兄貴」

「う、うるさい、ぞ、脳筋妹……ゲホッ、ゴホッ」

「ローラより体力ないんだよ」


 もはや吐きそうなくらい疲弊しているイグナシオに、さしものローラも呆れている。妹のソフィアもここ最近は研究所に篭り切りだったはずだが、兄妹でこの差はなんなのだろうか。


「ほらイグ、いつまでもそうしてる暇ないぞ」

「そろそろ移動しないと、他の魔物も来ちゃうかもしれませんからねぇ」


 クロとキャメロットの言う通り、あまり一ヶ所に留まりすぎると、戦闘音を聞いた周りの魔物たちが集まってくる。先は長いのだ、無駄な消耗は避けたい。


 結局回復しきっていないイグナシオを、ソフィアが襟首掴んで無理矢理引っ張りその場を離れ、少ししてから足を止めて休憩することに。


「くそっ、なんだって僕がこんなこと……」


 座り込んだイグナシオが見つめる頭上は、木々の枝葉に遮られて空が見えない。ここはシルフ島の中だが、生徒たちの普段の活動圏内である校舎や寮の方とは違い、思いっきり森の中だ。

 そもそも、ドリアナ学園諸島の島はどれもかなりの面積を誇っている。このシルフ島で北海道ほどのデカさだと、朱音からは聞いていた。もうその情報だけで十分に島の大きさは分かっていたつもりだったのだけど、どうやら認識が甘かったらしい。


 まさか普段生活している島の中に、こんな広大で迷いやすい森があるとは。

 その上魔物まで普通に出てくる始末。大体この辺、と栞に言われて転移させられたは良いものの、さてどこから探したものかと悩んでいるところで魔物に襲われた。

 というのが、ここまでの経緯だ。


「しかし、この後どうすんだ? この辺の森には入るなって言うのが、俺たち生徒の間での暗黙の了解だったんだけどな」

「そうなのか?」

「せやでリュウタ。通称迷いの森。文字通りの意味でしかあらへんけど、実際にここで迷って一週間以上出て来れんかったやつもおんねん」


 曰く、この森自体に特別な魔力があったりするわけではない、らしい。しかし実際に人が迷っている原因は明らかだ。背の高い木々は不気味なほど等間隔に生えていて、それらの枝葉が太陽の光を遮り薄暗い。そのせいで、脳が正常に働かなくなる。

 夜になると霧も出るらしく、歩いていても気づかないくらいに緩やかな勾配もある。その上で馬鹿みたいに広く、出てくる魔物もそれなりに強力な奴ら。未熟な生徒が迷い込めば、出てくるのは困難だろう。運が悪ければこの森で短い一生を終えてしまうかもしれない。


 例えば朱音のように、魔力探知が非常に巧みなものであれば、抜けるのにも苦労はしないだろうけど。少なくともここにいるメンバーの探知では、範囲が広い上に魔物の反応も多く、しかもこの世界には木々のひとつひとつにも魔力が宿っているため、感覚が狂ってまともにできない。


 だがそれは、魔力探知の場合だ。

 それ以外の方法を取れるものが、一行の中には二人いた。


「方角さえ分かれば大丈夫よ、迷うことはないわ。念の為地図も借りてきているのだし」

「最悪、ローラがこの子達に聞けば良いんだよ。あんまり手は出すなってアカネお姉ちゃんに言われてるから、最終手段になるけど」


 地図を片手に持ったハクアと、木に手を当てるローラだ。

 ハクアは長く旅を続けている経験というものがあるし、ローラは木龍の巫女だ。そこら中に生えている木から聞く、というのも可能なのだろう。


 これで間抜けな迷子になる心配はなくなったわけだが、しかしどちらにせよ、今後の行動の指針は決めておかなければなるまい。


「白龍様、地図上で怪しい場所はありますかぁ?」

「怪しいというと、このあたりかしら」


 地面の上に広げた地図。そのある一ヶ所を、ハクアは細い指でさし示す。


「古代遺跡だな」

「え、遺跡?」


 イグナシオの漏らした呟きに、龍太は思わずハクアの顔を見てしまった。神妙な顔をしている彼女は、古代遺跡と聞いても以前のようにテンションが上がっていない。

 あ、いや、今ちょっと口元だけ笑ってた。静かに高揚してるんだな、可愛いやつめ。


「なにかしら、リュータ」

「いや、なんでも?」

「むっ……言っておくけれど、わたしだって時と場合は弁えるわよ? たしかに古代遺跡と聞いて少し興奮するけれど、今はそれどころじゃないもの」

「うんうん、分かってる分かってる」

「もうっ、本当にわかってるのかしら?」


 むう、と頬を膨らませてジト目で見つめてくるのが可愛い。


「僕らの前でイチャつかないでくれ」

「イチャついてねえよ……」

「話を本題に戻すぞ。イグ、シルフ島に古代遺跡があるなんて話、俺も聞いたことないんだが?」

「わたくしも聞いたことありませんわねぇ」

「まあ、公表されてるものでもないからね。知ってるのは学園上層部と僕らくらいだと思う」


 公表されていない? それはなにか理由があってのことなのだろうか。

 というか、ハクアの言う通りそこにスペリオルの連中が潜んでいたとして、なぜやつらは公表されていない古代遺跡を知っているのか。


「シルフ島だけやないで。他の三つの島にも、それぞれ一つずつ遺跡が眠っとる。いや、今は起きとるんやけど」

「その遺跡の奥底には、四大精霊がいるって言われてるんだ。僕らも入ったことがあるわけじゃないから、詳しいことは知らないけどさ」

「精霊が眠っているというのは、噂に聞いたことがあったけれど……」

「精霊の加護も、わたくしたち生徒にとっては常識でしたものねぇ」

「それがまさか、古代遺跡にいるとはな」


 例えばサラマンダー島は、他の島よりも気温が高く、過酷な環境が多い。魔物も好戦的な種が大多数を占めている。

 ウンディーネ島であれば気温はやや低く、水源が豊富だ。ノーム島では鉱石を始めとした研究の素材が多く取れ、地下深くまで広がっている。シルフ島は年中通して穏やかな気候で人間が住みやすいし、風龍の巫女であるエリナが最も力を発揮できる。つまり、学園の本部を置くのに適している。


 この様に、それぞれの島にはそれぞれの特色があり、それらは四大精霊の加護と呼ばれるもののお陰らしい。


 その話自体は、クロとキャメロットから以前に説明されていた。


「ん? そういやイグナシオ、入ったこともないのにそこが古代遺跡だってなんで分かったんだ?」

「そんなの、周りの地形とか見たらなんとなく分かるだろ」


 いや分かんねえよ。分かんないよね? 同意を求めるように周りを見たら、ハクアは何故かうんうんと頷いていた。それはどっちに対する同意なのか、聞かない方が良さそうだ。


「ともあれ、その遺跡に向かうってことでいいんだな?」

「ひとまずはそれで良いと思う。でも問題は、本当にここにスペリオルの連中がいるのかどうか、ってところだよ、クロ」

「学園上層部しか知らない、しかも迷いの森の奥にある古代遺跡ですものねぇ。情報が漏れたとは考えにくいのでは?」

「栞さんはその辺きっちりしてそうだもんな」


 仮に情報が漏れていたとしても、精霊の眠る遺跡だ。島に加護を齎してくれる重要な存在を守るため、相応の対策はしているはず。

 栞なら情報を漏らしたやつの処分も徹底するだろうけど、例えば教師が誰か不幸にも辞職してしまった、なんて話は聞かない。


「ま、行けばわかるだろ」

「だな! イグ、休憩はもういいだろ? さっさと行って終わらせちまおうぜ」

「この考えなしどもめ……いいかリュウタにクロ、僕の目が黒いうちは──」


 続きの言葉が紡がれることはなかった。

 突然、イグナシオの姿がそこから消えたからだ。あまりにも唐突な出来事に、一瞬、誰もが動きを止めてしまう。しかしその原因は一目瞭然だった。


「落とし穴⁉︎」

「イグ……お前は良い奴だったよ……」

「ゆうとる場合かアホクロ! あかん、かなり深いでこれ!」

「はーい、一旦落ち着きましょうねぇソフィアちゃん」


 最も取り乱しているソフィアを、キャメロットが正面から抱きしめて宥める。豊かな胸に顔を埋められているが、あれじゃ息ができないのでは?


「ソフィアの言う通り、かなり深いわね。この高さから落ちたとなると、ひとたまりもないと思うのだけれど……」

「いや、ああ見えてイグは日頃から自衛の魔導具は持ち歩いてる。たしか、反重力がどうのこうのってのも持ってたはずだし、その点は大丈夫だろ。それより問題は……」

「ローラたちもこの穴に飛び降りるかどうか、なんだよ」


 揃って穴の底を覗き込む。先の見えない暗闇が広がっていて、もうそれだけで穴の深さを物語っていた。しかし一方で、この穴が人工物であることは見て取れる。

 手を突っ込んで側面を撫でたハクアが、少し驚いたように言った。


「ドラグニウムね、これ」

「てことはまさか、イグナシオが落ちた先は遺跡に繋がってるのか?」

「よし、なら決まりだな。さっさと飛び降りようぜ!」

「いや待たんかい! クソ兄貴は魔導具あるから無事やろうけど、自分らはこれ飛び降りれるんかいな」


 たしかに、それはそう。

 残念ながら、龍太とハクアは空を飛ぶ魔術とかを使えない。以前朱音に教えてもらおうとしたことがあったのだが、予想以上に難度の高い魔術で挫折した経験があったりするのだ。


 そしてどうやら、それは龍太たちだけではないらしく。


「わたくしは問題ありませんけれど……」

「俺は無理だな!」

「六人中三人が無理なんかいな……それぞれ一人ずつ抱えて降りるか……?」


 真面目な顔で思案するソフィアだが、龍太としては遠慮したいところだ。クロはキャメロットが抱えるにしても、残るはソフィアとローラ。同級生の女子に抱えられるのも相当きついのに、年下の女の子に抱えられたりしたら、男としてのなにかが終わってしまう気がする。


「そういうことなら、ローラに任せるんだよ。先に飛び降りるから、遠慮なく降りてきてね!」

「あっ、おいローラ⁉︎」


 止める間もなく、ローラは勢いよく穴の中へ飛び込んでいった。


 こうなってしまっては仕方ない。クロとキャメロット、ソフィアもローラに続いて、その後から龍太とハクアも手を繋ぎ飛び降りる。いざという時はいつでもバハムートセイバーに変身できるように。


 十数秒過ぎたところで、やがて眼下に光が見えてくる。そこを通り過ぎると広いドーム状の空間に出たのだが、それでもまだ地面までは遠い。

 ローラは任せろと言っていたが、ここからどうするつもりなのか。


「ローラ! 本当に大丈夫なんだよな⁉︎」

「もちろんなんだよ!」


 右手に槍を出現させたローラは、それを下へ向けて投擲。地面に突き刺さった槍から見る見るうちに巨大な花が開いた。

 その上に着地したローラは、ぽよん、と大きく跳ねている。どうやら、トランポリンのようになっているらしい。それを真似て龍太たちも無事に花の上を跳ね、衝撃を十分に吸収してもらったことで地面に飛び降りた。


「さすがね、ローラ」

「えっへん! なんだよ!」


 ハクアに頭を撫でられるローラは、胸を張って鼻高々。

 全員無事に着地できていることを確認して、改めて周囲を見渡してみる。

 ローラの咲かせた花以外にはなにもない空間だ。上でドラグニウムが確認された以上、ここは古代遺跡であるはずなのだが。以前ドラグニアで訪れた遺跡のような研究所らしい雰囲気はなく、ただただ広いだけ。


「壁も一面ドラグニウムですねぇ。遺跡の中でまず間違いはないと思いますよぉ?」

「それにしたって、なにもなさすぎねぇか? 精霊の眠る遺跡なんだから、罠の一つや二つあってもおかしくないだろうに」

「むしろあの落とし穴が遺跡に繋がってたことを考えると、招かれている……いえ、遺跡の中に閉じ込める、といった方が正しいかしら……」

「ていうか、クソ兄貴はどこやねん!」


 そう、少なくともこのだだっ広い空間に、イグナシオの姿はなかった。となるとどこかに移動したと考えられるが、それがもし、イグナシオの意思ではない場合。

 そうなるとやはり、スペリオルの連中がここに潜んでいたことになってしまう。


「幸い一本道のようですし、とにかく進んでみますかぁ?」

「魔物の反応はないんだよ。ただ、少し先に三つ、魔力反応がある。一つは人間のものだけど、もう二つはスカーデッドかも」

「だったら急がねえと!」


 駆け足でこの場を離れ、どこかへ続いている一本道へ。そしてしばらくもしないうちに、次の部屋へ辿り着いた。

 そこは最初のドーム状の空間に比べると狭いが、それでも十分な広さのある部屋だった。さっきとは打って変わって、よく分からない機械のようなものが多く置かれている。


 そんな中、こちらに背中を向けて立っているのは、逸れていたイグナシオだ。


「イグナシオ!」

「イグ、無事か!」

「遅いんだよ君たち! もう魔導具の魔力が切れそうだ!」


 思ったよりも元気そうでなにより。見たところ目立った傷もないようだし、手元にあった魔導具で凌いでいたのだろう。


 イグナシオを庇う形でクロと前に出る。相対するのは二人のスカーデッド。最早見慣れた顔になったフェニックスとレヴィアタン。


「ははははは! バハムートセイバーまでついてくるとは、今日の我々はツイているな、フェニックス!」

「さて、どうでしょうね。これをツイていると言っていいものか」


 歓喜をあらわにするレヴィアタンに対して、フェニックスは冷静に状況を見ているようだ。

 たしかにこの二人は強い。龍太とハクアだけであれば、迷わず逃げの手を選ぶ。しかしやつらにとっては不幸なことに、龍太とハクアは二人じゃない。


「おいおい、俺たちは眼中にないってか? 寂しいねぇ、せっかく噂のスカーデッドとやり合えるってのに!」

「突っ走ってはダメですよぉ、クロくん。数の利があるのですから、しっかり活かさないと」


 腰に刺した二本の剣を抜いたクロは、実に頼もしい。クレナ曰く、クロは今回の任務を任せられるだけの実力がある。それは即ち、スカーデッドとまともに戦えるということだ。

 そして、忘れてはならない。今この場には、この世界の最高戦力の一人がいることを。


「脱走したって聞いてたけど、まさかまた会えるなんて思わなかったんだよ」

「ローラ・エリュシオン……!」

「そんなに睨まなくても、また牢屋に入れてあげるから安心して欲しいんだよ」

「逃げますよ、レヴィアタン!」


 フェニックスの判断は早く、正しかった。いくら幹部クラスのスカーデッド二人とはいえ、龍の巫女がいるのであれば分が悪い。その上で天龍の眷属たる強力なドラゴンに、何度も辛酸を舐めさせられたバハムートセイバーが相手。


 繰り返すが、フェニックスの判断は早く、また正しかった。

 彼にとっての不幸は、相方が話を聞くようなやつじゃなかったことだろう。


「怖気付いたかフェニックス! 龍の巫女に天龍の眷属、バハムートセイバーまで一網打尽にするチャンスだろう! 逃げるなどと言語道断! 今こそ、我らが正義を示す時だ!」

「この馬鹿が……!」


 爆発的な脚力で、レヴィアタンが龍太の懐へ肉薄してくる。突き出される拳を辛うじて剣で弾き、生まれた間隙にクロの二刀が閃いた。

 身軽な動きでそれを躱し、レヴィアタンが狙うのはやはり龍太だ。横槍を入れたクロのことなど、目に入っていないと言わんばかりに。


「こいつ、リュウタばっか狙いやがって!」

「俺のことはいいから、クロはフェニックスを」

「ズルいぞリュウタ! 俺にも戦わせろよ!」


 そういえばこいつはそういうやつだった。


「フェニックスも十分強い! だからあっちをローラと抑えててくれ!」

「ほんとか! だったら俺に任せてくれ!」

「任せた!」

「話しながらとは余裕だなぁ! アカギリュウタ!」


 余裕なわけない。以前セゼルで戦った時より、明らかに強くなっている。拳の重さがまるで違う。

 しかしそれでも、龍太の見立てではレヴィアタンよりもフェニックスの方が脅威に感じられていた。


 今のあいつは、多分前に戦った時とは比にならないくらい強くなっている。それこそ、レヴィアタンが霞むほどに。だからローラを始めとした他のメンバーに任せる。


 とはいえ、レヴィアタンも楽に勝てる相手じゃない。龍太一人じゃ負ける可能性の方が高いだろう。


『Reload Particle』


 一歩横に避ければ、砲撃と呼ぶに相応しいレーザーが背中を追い越した。レヴィアタンの体を簡単に飲み込んで、吹き飛ばす。

 が、着地したレヴィアタンは多少肌と服を焦がしただけで、ほとんど無傷だ。


「リュータ!」

「ああ!」

「「誓約龍魂(エンゲージ)!!」」


 駆け寄ってきたハクアの手を取り、二人揃って力ある声を紡ぐ。

 二人を包む輝く球体が弾けて消えて、現れた純白の戦士は早速カートリッジを手に取っていた。


「行くぞレヴィアタン、お前はここで倒す!」

『そのための力が、今のわたしたちにはある!』

『Reload Shangrila』

『Alternative BraverDragon』


 窓もない室内にも関わらず、強い風が吹く。

 風だけじゃない。どこからか炎と水が湧き出て、地面からは木の幹が伸びている。


 それら全てに純白の鎧が包まれて、一瞬後、中から光が溢れた。

 それら全てを弾け飛ばし、純白の鎧は黄金へと変化している。身体に走る赤いラインはそのままに、右手の先は炎の紅蓮、左には水の蒼。両足の膝から下は、大樹の緑と、随分カラフルな印象だ。


 しかし、全身に漲る力は本物。

 その使い方を瞬時に理解して、確信した。

 勝てると。


「これはまた、また随分と面白い姿だ! そして敢えて聞いてやろう、その姿はなんだと!」

「だったら、お望み通り答えてやるよ!」

『どんな姿だろうが関係ない、わたしたちはバハムートセイバー!』

「お前を倒す、正義のヒーローだ! 覚悟しろよレヴィアタン、今日の俺たちは、前までの四倍強いからな!」


 バハムートセイバー ブレイバードラゴン

 満を持しての初陣だ。派手に勝利を飾ろうじゃないか。

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