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空賊姫は受けた屈辱を必ず雪ぐ  作者: 山極 由磨
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 イジバの眼鏡の下の爬虫類目が細められる。


「勘違い?」

「ええ、勘違い。さっき私が言ったことを聞いてなかったんですか?『私は単にこの島を管理する組合組織の代表ってだけ』だって言ったでしょ。空賊を束ねる王様どころか、業界団体や組合、互助会の会長や役員でも何でもないんですよ。そもそも、空賊なんてなろうって奴は、そんな団体を造ろともしないしあっても入らない。そう言う大勢がつるむってこと自体を毛嫌いする奴ばかりなんでね。と、言う事で私が何を言おうとアゲハ空賊団の連中を引き渡すなんてやろうったって出来ませんし、空賊島を利用してる奴等の動向を一々把握してる訳じゃないんで、どこに居るかをお教えする事すらも出来ない」


 額に筋を立て、肩を強張らせて全身に怒りをみなぎらせつつイジバは。


「って事はなにかい?アンタらは紅龍会からの頼み事を聞けねぇって言うのかい?」

「ええ、ま、正確に言えば聞きたくても聞けないと言う事ですな」

 

 椅子を蹴倒しイジバは立ち上がり、カッと見開かれた爬虫類の目でジョユスを睨みつけ。


「テメェ!このジジィ!紅龍会を舐め腐ったらぁ!どんな目に遭うか解って言ってんだろうなぁ!オオゥ!」


 舷窓のガラスを震わさんばかりの大怒声だったが、全く意に介さない風のジョユスは。


「申し訳ないがねぇ、若衆筆頭さんよ。あんたら侠門や幣門なんていうヤクザを怖がるのは、社会に組み込まれた人間だけなんですよ。あたしら空賊やこの島のモンみたいに社会の外に生きている人種から言わせれば、あんたらヤクザも堅気の衆に寄生して生きてる人間社会の立派な構成員。申し訳ないが怖くとも何ともねぇ、そもそも、あたしら空賊は国家や軍隊相手に喧嘩してる連中だってことを忘れてもらっちゃ困りますなぁ」

「野郎、ふざけやがって」


 言うなりイジバははジャケットの懐に手を突っ込み、金メッキが施された中型回転式拳銃を抜き去ると、ジョユスの顔面に狙いを定める。

 それに習って後ろの三人も大型自動拳銃を抜き一斉にジョユスを狙う。 

 それと同時にジョユスの背後にある扉と部屋の入口の扉がけ破られ、短機関銃や騎兵銃、散弾銃を構えた男達がなだれ込んできた。

 どちらに狙いを定めるべきか?混乱する黒服たちは銃口を左右前後に巡らせるほかない。

 銃を突きつけたままのイジバのこめかみが激しく震え、額に冷や汗が浮かぶ。


「ま、そう言う事で、申し訳ありませんがお申し出をお受けすることは出来ませんので悪しからず。足元が明るいうちにお帰り下さい。なんせここは一歩足を踏み外しゃ、一巻の終わりって言う塩梅な場所なんで」


 こめかみをひくつかせたまま銃を仕舞うイジバ、他の3人も大人しくしたがう。

 ずれても居ない眼鏡を直し、ジョユスを睨みつけつつ。


「この舐め腐った態度がどんだけ高く付くか、後で思い知ることになるぜ空賊王さんよぉ」


 と、捨て台詞を吐き捨て、踵を返し3人を引き連れ自分たちを囲む男達を押しのけつつ部屋を後にした。

 イジバらが姿を消すと、ジョユスは立ち上がり身近にいた男に。


「ちょっと、電話してくるわ?『今からそっちにアホが束になって行きますよ』って教えてあげなきゃならない人がいるんでね」

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