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空賊姫は受けた屈辱を必ず雪ぐ  作者: 山極 由磨
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 紅龍会が送り込んだ大型貨物車のお陰で追跡を振り切れたアゲハ団の一味は、その後銃撃でボロボロにされた貨物車を捨て、事前に盗み隠してあった大型乗用車に乗り換え、拓洋湾沿いを走り続けた。

 レイが事前に調査していた山間部や海岸の裏道を縫うように走り警察や憲兵の検問を搔い潜り、紅龍会の目を逃れ翌日の夜には小型艇を隠してあった漁師小屋にたどり着く。

 ここから船外機付きの小型艇に乗り換え、夜陰に紛れて帝国海軍の目をすり抜け、サンゴ礁の陰で待機していたアゲハ号に帰ったのは三日目の朝だった。

 アゲハ以下実行部隊の面々は揚々と居残りのクルーが待つキャビン一階の食堂に入り、満面の笑みを浮かべて札束を床にぶちまけた。

 流石のユロイスも興奮を隠しきれず、目を輝かせながら銀行の帯封がされた札束を一個拾い上げ、捲りつつ。

 

「番号不揃いの帝国五圓紙幣が5万枚。悪党冥利に尽きる風景ですね」

「なぁなぁ!船長!今晩この上で寝ていいか?な!寝ていいか?」


 しつこくねだるダチュレを無視し、シャルーナナ姿のまま札束の山をうっとり眺めるトァムの肩をがっしり抱え込んだアゲハは。掴んだ札束で彼女、いや彼の柔らかそうな頬を撫でつつ。


「今回の殊勲賞は何と言っても名演が光ったこのトァム君と情報収集にホネを折った大スパイのレイね。二人とも通常の取り分に上乗せするわ、それにレイには必要経費も払わなきゃ」

あがもいろいろ頑張ったぞ!船長、色を付けてくれ」

「欲を掻かないの、25万圓よ25万!船の修理費用、武器弾薬の支払いもろもろ差っ引いても結構太い金額が残るわ。公平に分けても一生遊んで暮らせる分け前は渡せるわ」


 せがむダチュレをそう言い含めて黙らせると、ふと緩んでいた表情を引き締め、一同を見渡したあとアゲハは。


「と、言う事で、この分け前を貰ったら、船を降りたって人、居る?」


 突然の問いに一同一斉にアゲハの顔を見つめる。


「冗談抜きで一生遊べる金額だし、やろうと思えば増やすことも出来る。これを機に命がいくらあっても足りない空賊家業から足を洗うのもいい考えと思う。それにオトシマエとは言え天下の紅龍会に喧嘩売っちゃったわけだし、多分今まで通りにはいかないんじゃないかな?アタシと行動を共にし続けたら面倒に巻き込まれるかもしれない」 


 真っ先に声を上げたのはバシリスだった。


「船長、吊れないことを言わんでもらいたいのぉ、この年寄り、いまさらどこえ行けと言うんじゃ?わしゃ死ぬまでアゲハ空賊団の一員でええわい」


 相槌を打ちながらエウジミールも。


「わたくしにとって空賊家業は福祉です。もう余生といっても差し支えの無い人生。ここで面白おかしく過ごさせてください」

「おいらは船長に自分とリシニの命を助けてもらったって義理がある。一生かけても返せねぇ、船長、どこまでもついていくぜぇ!」


 リシバの言葉に頷きながら、トァムも。


「僕の居場所はここです」


 と、何時になく強い口調で宣言すると、熱っぽい視線で傍らのアゲハを見つめる。


「船長、そんなわけでさ、他のみんなも何も言わねぇって事は、船を降りるつもりはねぇって事じゃねぇすか?」


 ホランイの言葉にレイもチャタリも強く頷き、ダチュレはその場にしゃがみ込んで札束に頬刷りしながら。


「どうせまた稼がにゃならんからな、それなら楽しくガッツリ稼げるここに居る方が良いに決まってる。船長、当分しばらくこれからも世話なるぞ」


 ユロイスの方を見ると、彼も微笑みながら頷くので、アゲハも頬に笑みを浮かべつつ。


「ヨーソローみんな。じゃぁ出発の準備。総員配置に着いて!」


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