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空賊姫は受けた屈辱を必ず雪ぐ  作者: 山極 由磨
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 レイがそう叫んでブレーキを掛ける。

 アゲハが助手席の窓から腕を突き出し見る見る接近する追跡車から、身を乗り出し自分に向けて短機関銃を撃ちまくる黒服の男に照準を合わせる。

 貨物車が跳ね上がり、また沈む込む瞬間、狙いが定まり引き金を続けざまに引く。

 3発の9ミリ弾が黒服の頭を砕き、車内に吹き飛ばす。

 すれ違いざまに後部座席のリシバが明日窓めがけ手投げ弾を投げ込む。

 ビルの支柱に突っ込こみそこで爆発。車は真っ赤な炎に包まれる。

 四方八方からサイレンの音が引き渡り、徐々に近づいてのが判る。


「おっとり刀で拓洋特別州警察のお出ましよ!ヤクザは引き続き殺して良いけど、お巡りさんは可哀想だから殺さない様に!」


 なぜか愉快気に命じるアゲハに聞こえない様にホランイが。


「我らがお姫様はワガママが過ぎるぜ」


 その後半ばやけくそ気味に。


「ヨーソローぉ!」


 不意に左横の路地から白黒二色の警察車両が赤色灯を点滅させ、けたたましいサイレンを鳴らしつつ飛び出して来た。

 彼女らの進路を塞ぐつもりだ

 アゲハが助手席の窓から腕を突き出し前輪のタイヤ目掛け発砲。防弾処理のされていないタイヤは見事に破裂し、制御を失った警察車両はつんのめる様に通りかかった魚を満載した貨物車に突っ込む。

 道路にぶちまけられた拓洋湾特産の魚たちを踏みつぶしアゲハらの貨物車が走り去り、続いて黒塗りの追跡車と白黒の警察車両が後を追う。

 ひび割れやら魚の肉片やらで視界の聊か悪くなったフロントグラスに、拓洋湾の青い海面と浮かぶ船が見えるころ、行く手を塞ぐように二台の大型貨物車が姿を現した。

 レイが引きつり笑いをしながら。


「ぱっと見事故か故障って感じですえけどぉ、ちょぉっとご都合主義すぎませんかね?」 

「紅龍会に決まってるじゃない。甲板長!アレを出してアレを!」


 アゲハの命令に恭しくホランイが指し出したのは携帯噴進砲。

 鉄パイプに照準器と円錐型の弾頭を差し込んだ歩兵用の対戦車携帯火器。

 それを受け取ると運転席でレイが。


「マジですか?」


 呆れるのに対して。


「速度を落とさないで!突っ込め!」


 と怒鳴り返して屋根の開口部を押し上げ半身を乗り出す。

 鉄パイプを脇に抱え込み、照準器を起こすと二台のうち一台の運転席辺りに狙いを定める。

 貨物車の周りに展開していた紅龍会の構成員らが一斉に短機関銃や拳銃を発砲する。

 耳元を通過する弾丸の唸りと自ら立てる風切り音を聞きつつ、発射ボタンを押し込んだ。

 背後で上がる白煙と熱。円錐形の弾頭は尻から小さな羽を広げて、狙った通り左側の大型貨物車の車体下部に滑り込む。

 今日一番の爆音と炎を上げ、大型貨物車は跳ね上がり倒立、そのすぐ下をアゲハらの貨物車が豪速で駆け抜ける。

 通過するとすぐさま大型化貨物車は黒煙を吹きながら元の場所に倒れ込み始めた。

 アゲハを追っていた黒塗りの車が、丁度その真下に滑り込む。

 制動が間に合わず崩れ落ちる車体にのしかかられ、8トンもの車両重量と燃え盛る燃料が一気に乗員に襲い掛かる。

 大気を振るわす爆音は、遥か向こうまで逃げ去ったアゲハらの鼓膜も捉えた。

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