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空賊姫は受けた屈辱を必ず雪ぐ  作者: 山極 由磨
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 カオは考える間もなく。


「変に追い返したら怪しまれる。時間はあるから私が応対する。店に入れろ」


 そう指示すると、黒い麻のジャケットを羽織り、鏡の前に立ってハンカチで汗を拭きとり、残り少ない髪を撫でつけ香水を振りかけ慌てて店に降りる。

 店内に入ると、客の3人はすでに店の戸口に居て店員からの身体検査を受けていた。

 少女には女性店員が付いて身を検めていたが、それでも彼女は恥ずかし気頬を赤らめうつむいている。その様が、また何とも言ず愛らしく好いたらしい。


「誠に申し訳ございません、商っている品が品なもので、念には念を入れさせていただいております」


 戦車砲でも打ち抜けないと分厚い鋼鉄の扉を閉じるモーターの唸りを聞きつつ詫びつつ荷物持ちの少年が抱えていた手提げ鞄の中身が確認される。

 帝国五圓紙幣(1000万円)がギッシリ。

 思わず見とれていると西方人種の青年が。


「いいえ、お気になさらずに、逆に安心できるお店の証だとお嬢様がご承諾されましたので」


 そう言いつつ一枚の名刺が手渡される。

『ガンダバルル家顧問弁護士 マーク・タライラント 拓洋弁護士会所属』 


「私、臨南州ウルジンバルド伯領の郷豪きょうごう、ガンダバルル家の顧問弁護士とご当主様のご息女の教育係を務めております、弁護士のマーク・タライラントと申します。そしてこちらにおわしますのが、ガンダバルル家二十五代当主、ドルゴス・ガンダバルル様のご息女、シャルーナナ様でございます」


 改めて彼女を見る。

 近くで見るとさらに美しい、嫋やかな腰回り、白い絹のストッキングに包まれたふくらはぎ、札束と美少女で思わず湧いてくる生唾を、カオは懸命に飲み込む。

 郷豪とは帝国が南方大陸を征服した折、速やかに恭順し領地領民を保証された南方人種の豪族で、中には領地から産する地下資源やそれらを生かした産業で巨万の富を得た者も居ると聞く。

 この娘の家も、そうした成功を収めた郷豪のうちの一つなのだろう。

 腹の中で色々な欲を膨らませつつカオは。


「で、本日はどのようなご用向きであられますかな?」


 その問いにはシャルーナナ自らが答えた。


「私、来年に帝国ご本領の美学校を受験する事となりまして、お父様が勉学に励めるよう拓洋の南塞区なんさいく烽火山ほうかさんに私の為の別邸をご用意して頂いたのですが、そちらに置く品をもとめに参りましたの」

「ほほぅ、美術を嗜まれるのですか?それは素晴らしい。して、如何様な品をお求めでございますかな?」


 と応じつつ、ほんのり紅がさされた彼女の頬や吸いつきたくなるような唇を眺めつつ『雰囲気と違って少し声が太いか?ま、それもまたタマラン』などと思っていると。


「西方風の油彩画を学んでおりまして、そのモデルに成るような西方彫刻を数点ほど、私、かつてバルハルディアで栄えたアルケネソス文明の彫刻に非常に興味がございますの、このお店にもありますかしら?」

「もちろんでございますよお嬢様、当店、西方文明関連の品が豊富でございまして、奥の展示室にアルケネソス彫刻の名品が何点もございます。どれも博物館に収蔵されておりましても不思議でない逸品ばかりでございますよ、ささ、こちらへ」


 と、手を差し伸べると、シャルーナナはレースの手袋の手をカオの肉肉しい手に重ねる。

 おもわずいやらしい笑みをこぼしていると、店員が彼に近づき耳元で。


「到着しました」

「そうか、すぐに二階の事務所に運び込め」 


 そう時事を飛ばし、再び助平たらしい笑みを浮かべつつカオはシャルーナナに向き直ると、なぜか彼女は悪戯っぽい笑みを浮かべている。

 怪訝に思っていると、不意に彼女の口からこんな言葉が突いて出た。


「あら、もう到着したんですの?私たちを謀って手に入れたお金が」


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