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空賊姫は受けた屈辱を必ず雪ぐ  作者: 山極 由磨
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 その夜。アゲハが借りた部屋に一味が集められ、レイからアゲハが聞かされたのと同じ話があった。

 彼が話終わると、アゲハは一同を見渡し。


「と、言う事で、今回の件は背後に帝国最大級の侠門組織が絡んでいることがハッキリしたわ。でもそんな事関係無い、アタシをコケにして手にしたお金を黙って懐に入れさせない。て、つもりだけど、みんなはどう?」


 真っ先に声を上げたのはダチュレだった。


「侠門だか肛門だか知らんが、金だ金!」


 続いてホランイが昏い笑いを浮かべつつ。


「言ったじゃねですか船長。ケツ持ちが誰であろうが構わねぇって、それに紅龍会相手に戦争ですかい?面白れぇ、他のみんなが離れても、俺だけでも付き合いますぜ」


 バシリスとエウジミールは異口同音にアゲハの方針に従う旨を宣言し、チャタリとトァムは思いつめた表情で深く頷き、リジバは。


「船長!アゲハ団を舐めたら痛ぇ目に遭うってヤクザ共に教えてやりましょうよ!」


 と勢いよく吠え、まとめるようにユロイスが。


「自分も方針は変わりません」


 それを聞いたレイは、おもむろに皆の前に大判の紙をひろげ。


「て、事で早速襲撃計画の立案って流れに成るんですが」


 テーブル一面を覆ったのはカオが拓洋の繁華街『塵遠街』に構える店の見取り図。


「こんな物、どこで手に入れたんですか?」


 目を丸くして驚くチャタリにかためをつぶってみせレイは。


「ま、蛇の道は蛇って奴ですよお嬢さん、昔の仕事で拵えた伝を頼ったのさ」


 それから図を指し示しつつ。


「塵遠街の目抜き通りの面した一等地に店はあります。一階が店舗で、二階が事務所と商談室。現金類を収める金庫は二階にあるようなんでおそらく銀行から引き出された金はここに一時保管されるでしょう」

「じゃぁ一気に押し込んで金をかっぱらう?」


 リシバの言葉に被せるようにレイ。


「けどね、事はそう簡単には行かないのだよ少年」

「分厚い扉だ。まるで銀行の金庫の様だね」

 

 エウジミールが目ざとく図面上の店舗入り口にある扉を見つめて言う。


「流石です。そう、この扉本当に銀行の大金庫の扉を移築したそうですよ」

「図面の縮尺から見て厚さはザッと30センチはありそうじゃのぅ」


 バシリスがそうつぶやくと続けてホランイは。


「一度閉められりゃ対戦車砲で徹甲榴弾でもぶち込まねぇ限りは無理って感じだなオイ」

「でもお客さん商売でしょ?営業時間中は開けてるんじゃ無いでしょうか?」


 チャタリの問いにレイは首を横にふり。


「ところがカオって奴は相当の臆病者で、営業時間でもこの扉は閉めているそうだよ、ましてや大金が転がり込む当日には必ず占めるだろうね」

「戦車でも盗んで扉を吹き飛ばす?」

  

 そう言ってアゲハは口をへの字に曲げる。

 ここに来て一言も発していなかったトァムが口を開いた。


「お客さんを装えば、その、中に入れてもらえるんじゃ無いでしょうか?」


 視線の一斉射撃を受けた彼はまさに消え入りそうに身を縮める。


「それが最善だろう。金持ちを装い来店して商品を見せてくれと言えば怪しまれるのを恐れて来客は拒めないだろうし。警備員の数と装備の情報は?」


 ユロイスの問いにレイは素早くこたえる。


「軍人上がりの警備員が店内に二人、控えが三人。得物は拳銃に切り詰めた水平二連の散弾銃」

「問題は誰がお客役をするかって事よねぇ、この中で一番お上品なお金持ちに見えるアタシは面が割れてるし・・・・・・」


 後半の言葉は誰も聞いていなかったが、確かにアゲハの投げかけた問いは難問だったようで、皆が一斉に唸り始めた。


「ここはそれ、元スパイのレイが適任じゃ無いかの?」


 バシリスの提案にユロイスは。


「当然、彼も潜入班の一員ですが、一人では怪しまれます」

「ここで一番偉そうに見えるのは気嚢長じゃねぇ?」


 そう言うリシバを困り顔で眺めつつエウジミール。


「ワタクシは船に残っていつでも駆け付けるように待機しておくべきだろうね。それを言うと、副長に機関長も同様だ」


 誰もしゃべらなくなり沈黙が部屋を支配する中、アゲハは、じっと顎に手をあて眉間にしわを寄せ考え込む端正なトァムの横顔を見つめていた。

 そして、何かが閃いたようにその大きな目を更に見開くと。


「トァムぅちょっとおいで」

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