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空賊姫は受けた屈辱を必ず雪ぐ  作者: 山極 由磨
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空賊島の一角にある宿泊施設は集中する通称『宿屋街』にある一室を借り切り、アゲハはオトシマエ計画の拠点としていた。

 彼らの根拠地でもあるアゲハ号は修理の真っ最中、謀をするには少々賑やかすぎるからだ。

 居間でテーブルの上に帝国新領の首都である拓洋の地図を広げ、カオが店を構える一角をしげしげと眺めていると、不意にドアをノックする音が響いた。

 静かに立ち上がり、念のためホルスターからユスノフ00式を引き抜きのぞき窓に目を当てる。

 レンズの向こうにいたのは麦の穂色の髪を手で撫で付けつつ、アゲハの返事をまつレイ。

 銃をホルスターに戻し鍵を開ける。

 部屋に入るなりレイは得意満面の表情で。


「カオの背景が解りましたよ」

「流石!ねぇ聞かせてよ」

 

 自分が先ほどまでついていたテーブルにレイを招くと、戸棚から麦火酒の瓶とグラス二個を取り出し琥珀色の液体を注ぐ。

 目礼の後一口着けたレイは。


「カオの野郎、本業の古美術商の他に、穀物相場の先物取引にも手を出してたようで相当損を出したみたいです」


 自分も口を付け、酒精が胃に落ちる温かみを味わいつつ。


「本業に精を出してればいいものの典型的な守銭奴系バカね、で、その損を埋めようとして変なところからお金を借りたって訳かぁ」

「左様で、しかもよりによって『紅龍会』の息の掛かった闇金からかなりの額を引っ張ったようですね」


 二口めが思わず変なところに入りしばらく咽た後アゲハは。


「こ、紅龍会ってあの・・・・・・。よりによって、本物の度し難いバカだわ」

「ええ、紅龍会です。帝国最大級のまほらま人系侠門組織『番紅社』系でも一二を争う大きな組ですよ。そこから金を引っ張って起死回生を狙ったんでしょうが、一度ついたミソは中々挽回できない、で、結局焦げ付いて組から追い込みを掛けられた。そこで組から提案されたんでしょうね、保険金詐欺を。因みに船長に強奪を依頼したホトミって野郎も女がらみの不始末を紅龍会の力を借りて綺麗にしたそうです。たまたま自分の組に借りを作った奴が二人とも古美術商だったんで、古美術を絡めたシノギを思いついた。てのが真相のようですね、いや、ひょっとしたら先物取引で焦げ付かせた段階で紅龍会にカタに嵌められたかもしれませんね」


 アゲハは開いたグラスを弄びつつ。


「紅龍会が後ろに居るって言うのが少々厄介ね、で、保険金関係の情報は?」


 自分で二杯目を注ぎつつ、愉快気に笑ってレイは。


「そこもバッチリです。保険会社は大手の『帝国相互海上航空保険』支払われる予定の保険金は特約、諸費用も含んで免責も先引きしてざっと25万圓、満額です。現在査定中ですがおそらく金額は変わらないでしょ。支払われるのは保険事故発生の報告から一月後、ですからあと25日先ですかね」

「銀行口座に振り込まれて、そこから引き下ろして一旦は自分の店に保管する事に成るでしょうね。それから紅龍会に支払うだろうから、その前に店に押し込む」

「空賊の次は強盗ですか、こりゃ悪党街道まっしぐらですね」

「保険金詐欺師と極道者から汚い金を掠め取るのよ、悪党どころか神様に代わって天罰を食らわせてやるだけよ。ところで・・・・・・」


 いったん言葉を切ったアゲハは、悪戯っぽい笑みを浮かべレイを見つめ。


「アンタ、今でも最高にいい仕事するスパイじゃない?上役と喧嘩して止めたってホントなの?」


 対してレイもニヤリと口角を上げて。


「娼妓とスパイに身の上話をしろと言うのは野暮じゃないですか、せ、ん、ちょー?」

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