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空賊姫は受けた屈辱を必ず雪ぐ  作者: 山極 由磨
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「当然、その場で即答はしなかったわよ。二人の店の事も調べて、オークションも実在したかも確認したし、壺についても調べられるだけ調べたし。それから仕事を引き受けたの。もしこれが百歩譲って保険器詐欺だったとしてもよ、じゃぁ、オークションの運営も保険会社も、ニセ物の壺を取引してニセ物に保険金を掛けたって言うの?どっちもそんな間抜けじゃ無いと思うけど!」


 渋めの緑茶を音を立てて啜ったあと、ホランイはあの低くドスの利いた声で。


「オークション会社や保険会社の裏事情に通じたヤツなら、出来ねぇことも無いでやしょうよ、それに書画骨董の裏の社会じゃ相当な人数の贋作やが暗躍してるとも聞いたことがありやす。そんな連中と骨董商の二人を引き合わせる事が出来るといやぁ、あっしの前の生業の関係でやしょう」 


 葡萄火酒ブランデーをほんの少し垂らしたコーヒーのマグカップをテーブルに置きバシリスがつぶやいた。


侠門きょうもん幣門ぱいもんのたぐいかのぅ」


 侠門と幣門。共にアキツ帝国に根拠地を置く犯罪組織の総称だ。

 皆が沈黙する中、明らかに分が悪くなったアゲハは。


「ま、すべてはこの壺が本物だったら一発で解決する話だわ」


 ユロイスは頷くと。


「ならば船長、母上に見て頂きましょう。どちらにしろドック入りも必要ですし『空賊島』に進路を取ることを提案しますが?いかがです?」


 余裕の態を見せようと、その頬に艶っぽい笑みを浮かべてアゲハ。


「意義は無いわ」

「て、言う事になりましたら。先ずはこれですね」


 そう言って立ち上がると、レイは配膳用のカウンターに置いてあるラジオの電源を入れ、ジャケットの内ポケットから手帳を取り出すとそれを見つつチューナーを合わせた。

 そして、しばらくするとスピーカーが軽薄な男の声を流し始める。


『全球60万の空賊の皆さ~んこんばんわ~。この星のどこかにある彷徨える空賊島から毎週違う周波数でお届けしている『空賊ラジオ』のお時間で~す。今日も今日とて素敵な音楽と共に銭の亡者な悪党の皆さんが喜びそうなステキな情報を色々お届けしちゃいます。まず今日の最初の一曲は、アルホーン楽団の演奏で『月夜の夜想曲』耳垢だらけのクサレ耳をよぅくかっぼじってお聞きくださ~い』


 レイはラジオを聞きながらも全く曲には感心なげに手帳の上にペンを走らせブツブツと独り言をつぶやく。


「ええっと、今週の『空賊ラジオ』の周波数は1845、で、この月夜の夜想曲の発売された年は1624年、両方を足して3469、で、コイツを今月の乱数表に当てはめて、と」


 手帳を閉じアゲハに。


「船長、今の空賊島の位置が解りました。南緯23度15分30秒東経98度37分12秒、案外近いですよ」


 彼女は我が身に覆いかぶさる憂鬱を振り払うように勢いよく達がると全員に。


「では団員諸君!船体各部の再点検を終えたら天候が回復しないうちに出発。空賊島を目指すわよ!」

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