運動学! 初速度V0
思いつきで書いてみました。
初投稿です。
俺は結城ケンイチ
高校3年生である。
ちなみに偏差値は、
英語:30
数学:45
物理:55
i.e.(すなわちの意味。ラテン語のid estの略)、俺は物理だけ、チョットできるのだ。
ちなみに夢は物理学者。
「う〜ん、この偏差値だと東京御理工大学はちょっとね〜」
うちのクラスの担任が変にニヤつきながら言う。
「どうするの?」
どうしましょう
「自分のことでしょ?」
あ〜やかましい。俺は将来きっと宇宙の真理、法則を……
「浪人したら?」
浪人?!
予想はしていた一言ではあったが、実際言われると結構くるものがあった。
というかまだ10月なんだしそんなことわざわざ言わなくても良いと思う。
嫌味なハゲだ。(担任はハゲている)
放課後の個人面談が終わった。
とりあえず家に帰ろう。
もちろん帰り道の途中、進路についてあれこれと、
浪人…… Yゼミナール…… いやでもなぁ………
この際、東京御理工大学の夜間部にでも入るか?
しかしこれでは華やかな大学生活は期待できない……
じゃあレベルを落とす?というか俺の偏差値だとレベル落とすも何も……
ちなみに志望学部は当然、理学部 (通称:就職無理学部)の物理学科である。
結局、答えも出せずに家に着いてしまった。
「ただいま〜 」
親は仕事でいない。
自分の部屋に入りとりあえず机に向かった。
取り出した参考書は……
『 どきどき物理調査隊 』
俺が知る限り最高の物理参考書である。
また知る人ぞ知る名著だ。おそらく
嫌いな勉強の中で唯一楽しいと思える時は物理の勉強している時、特にこの参考書を眺める時なのである。
というのも、この参考書、文章がユニークなのに加えて押絵が満載。
ある意味マンガである。
最初のページを開いた。
第1章 力学 運動学
・位置、速度、加速度
運動とは、空間における点の位置の時間変化である。
点の位置xを時刻tの関数として
x=x(t)
このとき
v=dx/dt
を速度と言う。
また
a=dv/dt=d²x/dt
を加速度と言う。
(ここのdとは微小を表すキモければ⊿(デルタ:変化量)で表して
も良い)
かつての天才達は運動を予測するには
位置、速度、加速度
が必要であるとはじき出したのである。
・等加速度運動
一定の加速度aで物体がt=0(観測開始時)に原点Oを初速度v0で通過したとき、その物体の時刻tのときの位置と速度の関係は
v=v0+at
x=v0t+1/2at²
v²-v0²=2ax
である。
……
正直言おう。
数ページ読んでもう集中できなくなってきた。
家の中はゲームにテレビにマンガにスマホ。
物理が楽しいと言えどやはり娯楽には及ばないのである。
参考書だけを持って図書館へ行くことにした。
走った。
俺は静止状態から速度vで移動するに至っている。
すなわち加速したのである。
v=v0+at
最初は静止していたのでv0=0
i.e.
v=at
理論上これが俺の運動である。
人間が等加速できるのかはさておき……だ。
その後、俺は図書館の方向へ一定の速度で走り続けた。
v=v0+at
今は加速していないのでa=0
i.e.
v=v0
この速度でt秒走ったとすると移動距離は
x=v0t
格好つけてるがこれは小学生のとき習った
距離=速さ×時間 とほぼ同じである。
速さと速度の違いは向きを持っている(ベクトル量)か持っていない(スカラー量)かである。
俺は今は図書館の方向に向きを持っているからベクトル量というわけだ。多分ね。
図書館に着いた。
ところでv-tグラフを書き、その面積を求めると移動距離になるそうだ。
家からここまでの俺の運動をv-tグラフに書き表し、その面積を求めると俺の家から図書館までの距離が求まるのだろう。
詳しくは積分が必要なのでここから先は大学の範囲……
俺が分からなくても大いに結構なわけだ。
ちなみに、図書館は閉まっていた。
帰ろう……
家向かってに走った。
今日はいつもより車が多い。
車がこちらに近づいてくる。
気づかなかった。
身体に強い衝撃が走り、目の前が真っ白になった。
………
…………………
………………………………
視界が回復してきた。
ここは……病院か……?
風が強い……。
ゆっくり目を開けると周りには見たこともない景色があった。
異世界……?
そして俺は気づいた。
車にはねられて、角度θ方向に初速V0を持ったのだろうか。
俺……今…………
「 放物運動してるーーーーーー!! 」
(通称:斜め投げ上げ運動)
俺の現在位置は異世界の推定(適当)高度20mほどの上空だ。
目を通して頂き、ありがとうございます!