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第69話 学院祭パニック10


「王女としての勅命です!」


 ――多分ロクな事じゃない。


 食事を終えて茶で一服。


 唐突な宣言ではあったがミズキの覚悟を超えない。


「はふ」


 とりあえず無視してセロリの茶を飲む。


「美味いな」


「恐縮です」


 茶道楽のカノンほどではないにしても、セロリのそれも好評価。


「勅命です!」


 再度繰り返すギフトだった。


「…………」


 ジト目。


 胡乱げな視線。


 真珠の輝きが曇っていた。


「一緒にお風呂に入ってください!」


「そんなところだろうな」


 馬鹿が馬鹿を言うのは古今東西変わらないらしい。


「にゃ!」


 ボンと赤面して狼狽え出すセロリ。


「一緒にお風呂だよ?」


 耳まで真っ赤にしてミズキを見やる。


 蒼の瞳は憂いを帯びる。


「まぁコイツが勝手に言ってるだけだから」


「コイツ……」


 特別不敬罪を科すつもりもないが、王女をコイツ呼ばわりはギフトとてショックだ。


「いいから入りますよ」


 ギフトはミズキの首根っこを捕まえて寮部屋の浴室に向かった。


「お前は恥ずかしくないのか?」


「恥ずかしいから良いんじゃないですか」


 悟っているといえるだろう。


「まぁ入るのは良いがトイレに行かせてくれ」


「はあ」


 中略。


「良いお湯ですね」


「だな」


 ミズキはギフトと混浴していた。


 女性らしい体つきと、蠱惑的な表情。


 仮に男子なら危険を冒すだろう。


 海の国の第一王女と混浴とすれば、


「三つの意味でチャンス」


 との計算が成り立つ。


 ギフトの意図も其処だろう。


 ミズキがギフトを襲えば、


「女性として愛される」


「男として責任を問われる」


「婚前交渉で有利な地歩を築ける」


 そんな感じ。


 が、


「はふ」


 ミズキは一貫して冷静だった。


 股間の方も特に政治的発言をするつもりもないようだ。


「えと……ギフトは魅力ないですか?」


「別に」


「魅力ありますか?」


「……………………別に」


「その間は何でしょう?」


 然りだ。


「色々出来ますよ?」


「出来るな」


「王族の親戚になれますよ?」


「なれるな」


「お金持ちにも」


「だよな」


「むぅ」


 呻く。


 それより他に無いギフトだった。


 ミズキは、


「くあ」


 と欠伸をする。


「む~……!」


 ポカポカとミズキを叩くギフト。


「お前は俺に何を望んでんだ?」


「お婿さん」


「別の人間を見繕え」


「恋する乙女に無茶を言う」


「ビッチには興味なくてな」


「清純な乙女!」


「いけしゃあしゃあと……」


 どの口が。


 そんなところ。


「ふい」


 と吐息。


 魔術陣のおかげで湯にも不自由しないため、寮部屋はセロリの魔力で回ってる。


「そろそろかね?」


 何が?


 そうギフトが問おうとするより早く、




 ――カラリ




 浴室の扉が開いた。


「覚悟完了か?」


「えと……だよ」


 全裸のセロリが闖入してきた。


 この世にビッチ溢るるや。


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