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第68話 学院祭パニック09


「あうぅ……」


 セロリの反応。


 それも致し方ない。


 王族が飯をたかれば誰しも似たような反応だろう。


 不遜なミズキが例外だ。


 紅茶を飲んで、食事を待つ。


「あの、どうぞ」


 差し出されたのはボンゴレ。


 貝のパスタだ。


 ミズキとセロリとギフトの三人。


 急遽そうなったのでパスタが採用された。


「あまり気にするな」


 と無茶を言うミズキ。


 海の国の王女相手に肩の力を抜ける人間はそういない。


 ぶっちゃければ、


「不敬罪で断頭台」


 がミズキの自然な末路だがギフト当人が気さくであるため一応のところ首と命が繋がっている。


「美味しいですね」


 とはギフトの評価。


「何時もはもっと良い物を食ってるんじゃないのか?」


 ミズキの皮肉に、


「評価としては別次元」


 軽やかに答えるギフトだった。


「はふぅ」


 セロリは安堵したらしい。


 不興を買うことを恐れるのも必然だ。


 それこそ機嫌次第でどうにでも煮るなり焼くなり出来るのだから権力の認識と実行性の正比例はまこと恐ろしい。


「場合によって排除するが?」


 容赦の欠片も無いミズキの提案だったが、


「にゃにゃにゃ!」


 狼狽える。


「お前が気負うなら叩き出すところなんだが」


「そんな気は毛頭……!」


 畏れ入るセロリ。


「ていうかミズキちゃんは大丈夫なの?」


「駄目だったら逃げるだけだからな」


 清々しい駄目人間だ。


 元より捻くれ度が百八十度ではあったが。


「セロリ」


 とはギフト。


「ミズキは格好良かったですよね?」


「です」


 そこは共有できるらしい。


「優勝狙ってね?」


 釘を刺す。


 その典型だ。


「面倒くさいんだが……」


 ボンゴレを食べながら半眼のミズキ。


「勝てますって」


「何を根拠に」


「言って良いの?」


「今更だがな」


「えーと」


 ギフトはセロリを見やる。


「セロリ?」


「何でありましょう殿下」


「ミズキの実力は知っていますか?」


「一応」


 見たことはないが。


「ふぅん?」


 考えるようなギフト。


「セロリも実力者ですよね?」


「然程でも」


 これは謙遜だ。


 あるいは卑下か。


 勲章を貰った戦術級の魔術師。


 それがセロリであったから。


「一応活躍は知っているんですけど」


「恐縮です」


 芸のない回答だが隙もない。


 不敬罪を犯せば一発で人生退場だ。


 であるが故にミズキの不遜が際立つのだが。


「ミズキと一緒に宮廷魔術師になりませんか?」


「ふえ?」


 困惑も必然。


 が、少なくみてもソレだけの価値はセロリとて有している。


 ミズキの怪物性には劣るが、


「まず順当」


 と言える能力の持ち主だ。


 セロリは。


 それこそ祖国防衛の意味に於いてはかなりの攻撃的優位性を持っており、その評価はミズキ以外であれば普遍的に通用する位階。


 ボンゴレをアグリ。


「ミズキちゃんを……宮廷魔術師に?」


「断られましたけど」


 残念無念と云った様子。


 気にする本人でもない。


「へっぽこの俺はともあれ」


 卑下。


「セロリを宮廷魔術師にするのは理に適うんじゃないか?」


「…………」


「…………」


 セロリとギフトがジト目で睨む。


 曰く、


「おまいう」


 の精神だ。


 最もその程度でへこたれるならミズキの人生はもっと苦痛だ。


 そうでもないから、


「美味いな。このパスタ」


 サックリと夕餉を論評してのける当人であったが。


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