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第65話 学院祭パニック06


 そんなわけで学院祭。


 そのメインイベントである高等部武闘祭の予選。


 ミズキは注目を集めていた。


 闘技場は幾つかあって、予選は並列して行なわれる。


 どこも満員だ。


「魔術は攻撃の一手段」


 これは下地。


 神様が設定した裏技。


 つまりシステム化された異常技術が魔術と呼ばれる。


 そにおいて、


「攻性魔術が多様に氾濫している」


 となれば、


「軍事カード」


 と呼ばれるのも自明の理だ。


 そういう様子ではミズキは例外だが、


「魔術が無くても人は人を殺すしな」


 程度は分かっている。


 同種族が相殺し合う。


 それが文明の所作なら、


「なるほど。獣の方が道理を弁えてる」


 それも事実。


 高等部の魔術師と云えど優劣はある。


 成績優良者から劣等生まで様々だ。


 まず魔術師には体力を魔力に変える技能が求められる。


 出来る出来ないの線引きが何処かは後の研究者の推論が待たれるが、


「誰でも出来たら文明が立ち行かない」


 そんなミズキの弁論。


 だからこそ裏技なのだが。


 メイド姿でホケッと立っているのは間抜けの極み。


 広告通りの美少女に見える辺り、業の深い人物だ。


 生まれてくる子は自分の顔を選べないため、


「どうしようもないよな」


 天の神様に合掌。


 閑話休題。


 魔力を生成する能力は前提で、そこから謳歌を覚える知性が魔術師には求められる。


 詠唱。


 宣言と対を為す呪文だ。


 要するに詩であって、これを神話言語ワールドソングで理解しなければ術式として魔術は構築できない。


 なお神話言語はそのまま暗記しても理解には至らず、結果として人語に訳して魔術図書館に所蔵されているのだが。


 初級魔術や下級魔術は覚えるにあまり苦も無いが、中級魔術から上は蹴躓く生徒も多い。


 ここでもセンスが求められ、


「なんだかな」


 ミズキは吹聴こそしない物の、


「控えめに言って怪物」


 とのありがたい言葉が進呈される。


 結果として、


「まともに魔術を用いて戦える生徒」


 という定義を求めれば実はそんなにいない。


 ワンオフ魔術を含めれば相応の数には為るが、戦いの気構えは人によってそれぞれだ。


 結果として幾らか人数は絞られるが、


「暇人が多いんだな」


 ミズキの立っている予選会場には当人含めて十五人の高等部生が居た。


 一年生から三年生まで。


 勿論学生制服を着ており、


「馬鹿みたいだな」


 とのミズキの意見は正しい。


 一人メイド服では肩身が狭いにも程がある。


 グッグッと筋肉を解す。


 緊張は余りしていない。


 余裕。


 勝利の……ではなく無病息災としての側面で。


 一応予選のルールは聞いている。


 一回戦はルナウルフを倒すこと。


 審判が査定する。


 十五人の魔術師に対して三匹のルナウルフ。


 倒した三人が二回戦へ進める。


「大丈夫か?」


 とは心配の一欠片。


 ミズキ自身はそうでもない。


 所謂、


「ルナティック」


 と呼ばれる類のモンスターに脅威の覚えようはずもない。


 が、それはミズキだからであって、他の生徒の安全にまでは保証が及ばない。


 ギラギラと殺気立った眼をしている参加者が多いが、


「さて?」


 と懐疑的にもなろうというモノ。


 場合によってはミズキの魔術も有用だろう。


治癒リザレクション


 怪我を治す魔術。


 本質的に、


「優しい魔術」


 と呼ばれる。


 言っているのはかしまし娘だが。


 当人も、


「まぁ人を傷つけるよりは有益だ」


 程度には思っていても。


 最悪の事態は回避できるわけだ。


「ボランティアは嫌いなんだがなぁ」


 ソレもまたミズキの心に根ざす本音ではあった。


 南無八幡大菩薩。


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