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第151話 原因も結果もミズキ次第09


 政治的不満。


 そしてリアクション。


 この場合は麦の国に対するテロではあるが。


 アインの服毒。


 ミズキの襲撃。


 毒矢で襲われた王族。


 背後に魔術師がいるとして、損益を弾くも無残に終わる。


 警察がやってきて取り押さえられたが、


「なんかなぁ」


 とも思う。


 ハッキリさせないのはもやもやするがハッキリされればそれはそれでしがらみの中心に据えられそうで怖い。


 殺されるとは思っていないが、


「治癒魔術の本質がバレる」


 ことは避けなければならないのも事実。


 とりあえず術式拡散を解く。


 暗殺者五名は御用改めだ。


「散々だな」


 ここ最近にミズキの感想だ。


「どこでフラグをたてたのか?」


 それもわからない。


「神様は意地悪だ」


 そうは言うが、おかげで無病息災だ。


「ミズキ!」


「…………!」


 アインとドライと合流する。


「俺といると危ないぞ?」


 あまりに今更過ぎて弁論になっていない。


「でも」


「はいはい」


 アインの懸念をミズキは笑い飛ばした。


 本来の敵方の事案は、


「アインの殺害」


 これに尽きる。


 ミズキはそのとばっちりだ。


 だからこそミズキは笑った。


 乙女の心から暗雲を払うため。


「とりあえず茶にしようぜ」


 そゆことになった。


 団子茶屋の屋外席で玉露を飲む。


「甘露甘露」


 ミズキは満足げだ。


「何故私を殺そうとするのでしょう?」


 とは団子を食べながらアイン。


「邪魔だから」


 端的だが結論になっていない。


「お前が王位に就くのが不利益な連中もいるんだろうよ」


「ツヴァイちゃんとか?」


「ソレも一角だな」


「他には?」


「他国からの干渉も一つだろうな」


「他国……」


「大陸での麦の国の評価はうなぎ登りだろ」


 悪い意味で。


「後はツヴァイ同様にドライが策謀していたり?」


「…………!」


 顔を真っ赤にして否定するジェスチャー。


「お前は可愛いな」


 白銀の髪を撫でてやる。


「死の商人もここに数えた方が良いだろうな」


「死の商人……」


「軍産複合体のシステムは麦の国にもあるだろ?」


「ですね」


「そしてアインは穏健主義」


「まぁ」


「王位に就けば戦争が維持できなくなる可能性がある」


「商売にならないと?」


「だな」


 こうなるとツヴァイが容易だろう。


 気宇が大きく先が見えない。


 麦の国の領地拡大を是とし、しかして戦略眼が無ければ、軍産複合体にしてみると、ある意味都合の良い操り人形だ。


「ツヴァイ……」


 アインもその結論に辿り着いた。


 パレードの奇蹟で一人無事だった王子。


 思案には値する。


 ミズキは懸念していないが。


 そもそも王の器ではない。


 パレードの奇蹟で仕込んだことは考えられるかも知れないが、単純一途を絵に描いたツヴァイが遅延毒で姉を弱らせるという迂遠な真似をするとは思えない……、


「…………」


 とそこまで考えて、


「じゃあツヴァイと『もう一人』が並列して事を行なっているのか?」


 その可能性もある。


 常に犯人が一人である必要は無い。


 他国の干渉。


 企業側の意図。


 政敵。


 最後者の場合ならアインを狙うならツヴァイかドライ。


 あるいは話に聞く四大貴族か。


 実行部隊は別として、叩くべきはスポンサーだろう。


「っと……危ない危ない」


 玉露を飲んで落ち着く。


「そもそも何故自分が麦の国のために東奔西走しなければならないのか」


 そこが大前提のはずだった。


 新年祭は参加するつもりだが、


「国の陰謀まで自分の責任にされたらたまらない」


 それもまた事実。


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