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花々咲乱(かかしょうらん)  作者: 相上いろは
第6話~忌憚見果てる子~
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妖怪の食事

 その音が止む頃に、皐詠舞祷が昼餉の準備が整ったと二人を呼びに来た。婀瓏孅が「ルルノを連れて向かうわ」と返すと、小さく頷き、皐詠舞祷は先に食事部屋へと戻っていった。

 部屋を出る皐詠舞祷を見送ってから、婀瓏孅はゆらゆらと夢現なルルノを軽く揺すって起こし、手を引いてゆっくりと立たせた。そして、まるで年の離れた姉妹の様に、眠そうに目をこするルルノを横に並ばせ、朝と同じ部屋を目指して歩き出した。

 ルルノは自分で歩いてはいたが、まだ頭がゆらゆらと左右に揺れており、半覚醒という状況。そんなルルノの頭に手を置き、軽く撫でながら、婀瓏孅はやれやれと微笑みながら廊下を歩いていく。

 二人は揃って部屋の前まで来ると、婀瓏孅はルルノを先に部屋に入れようとする。ルルノも押されるままに、眠そうな目を両手で擦りながら部屋の中へと踏み入った。だが突然、ルルノはびくりと跳ねて、そのまま立ち止まった。どうしたのかと後ろから婀瓏孅が軽く背を押してみるが、ルルノは石にでもなった様に動かない。


「どうしたの?」


 道を塞がれていて部屋に入れない婀瓏孅は、きょとんとしながら、固まったルルノの顔を覗き込む。するとそこには、先程の微睡んだ表情はなく、血の気の失った額に薄い汗を浮かべ、がちがちに頬を強張らせた、怯えた表情があった。その上で、苦しげに浅い呼吸を繰り返し、頼りなさげに肩も震わせている。

 そんなルルノにぎょっとして、婀瓏孅はどうしたのかと部屋の中を覗く。部屋の中は静かで、特に変わった様子はない。中には朝と変わらず、皐詠舞祷とセクタがいるだけ。

 二人は真正面から変化を見ていた為、すぐにルルノの異常に気付いた。だがルルノの身に何が起こったのか判らず、近付いて良いのかどうか判らなかった為、ただ座ったままでルルノを見つめていた。

 婀瓏孅は、震える少女の目線を追う。するとそこには、そこそこ見栄えの良い食事が用意されていた。特別変わった様子はない。しかし、気付く。そこには、肉料理があった。


「っ!」


 そこで婀瓏孅は察する。婀瓏孅の視線と表情を見て、そこでようやくセクタも気付く。


「あっ、肉か!」


 その一言に、皐詠舞祷も事態を理解をした。

 なんでもない料理。ただ、その料理に使われていた肉は、人間の肉であった。

 迂闊だったと、セクタは悔しげに呻く。つい、この少女が人間であり、自分たちが好んで喰らう肉もまた人間であるという事実を、セクタは忘れていた。

 しかし、ここにいる誰も人間を飼ったことなどないのだから、仕方にないことであった。


「……うあ」


 ルルノは口を押さえ、吐きこそしないが、苦しそうに嗚咽を繰り返す。

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