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花々咲乱(かかしょうらん)  作者: 相上いろは
第5話~平原の花、山の花~
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届けられた荷物

「ルルノ、何が見える?」


 問われてから、一旦セクタの方を見て、再度駆け上ってくる荷車を確認をする。


「二頭の牛と、それに引かれた荷車が見えます」


 その答えに、間違いないなと一人納得したセクタが頷く。


「ルルノ、箒を片付けるぞ。荷物が来た」


 言いながらセクタはルルノの箒を取り上げて仕舞いに行く。その後ろ姿を追いながら、婀瓏孅の言った荷物の受け取りというものがこれなのだと、ようやく気が付いた。

 轟音は徐々に近付き、やがて門の前に飛び出す様に二頭の牛と荷車が躍り出た。それには、鯉の滝登りを思わせる爽快感があった。

 牛と荷車がその勢いをどうにか殺し、門の付近に派手に、けれど緩やかに止まる。

 ルルノは、止まったそれを見て目を丸くした。真正面に来て初めて、その荷車には少女が乗っており、二頭の牛を手綱で操っていたのだと気付いたのだ。牛と荷車がまるで一つの生き物の様に猛々しく動いているので、誰かが乗って運転しているということが思い付かなかった。


「よう、羚馳(れいち)さん。お疲れ様です」


 手綱から手を放して一息吐いた少女に、セクタが声を掛ける。


「こんにちはっす」


 羚馳と呼ばれた少女は元気に挨拶を返し、荷車から軽やかに飛び降りてセクタの前に立った。


「ふぅ。うちの()も結構頑張ったんすけど、結局日が随分と昇っちゃったっすねぇ。やぁ、申し訳ないっす」


 空を見上げながらそう言うと、二頭の牛の背を撫でる。

 羚馳と言う少女は、見た目なら年の頃は十八程だろう。容姿は人間のそれとほとんど違わなかったが、額の左右から突き出た一対の小さくも雄々しい角が、自分は人間でなく鬼であると誇らしげに語っていた。

 人懐っこく笑う深い黒目に、頭の後ろで結った長髪。そして個性的な衣装。白衣に緋色の袴というその恰好は、まるで巫女装束のそれであったけれど、白衣には袖がなく、袴は股のある一般的な物であったが、裾丈が膝を隠す程度までしかない。少女は、そんな奇妙に変形した巫女装束を纏っていた。この装束、破れてそうなったという様子ではないので、恐らく意図してこの様な変わった形に作られた物なのであろう。


 セクタと羚馳が話しているようなので、ルルノは二人から少し離れ、二頭の牛の顔を眺めていた。片方は一つ目で、片方は頭が二つある。どちらも普通の牛ではなく妖怪である。それが珍しいのでしげしげと眺めていると、二頭の牛はどこか恥ずかしそうに目を逸らした。だが、興味はあるのか、時折ちらりとルルノを見る。

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