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花々咲乱(かかしょうらん)  作者: 相上いろは
第3話~既往繙く~
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目覚め前

「では、そろそろお暇します」


 それに、そう、と静かに婀瓏孅は応じた。


「お茶とお茶菓子を御馳走様でしたと、皐詠舞祷さんにお伝えください。大変美味しかったです」


 言いながら、また一口茶を啜る。


「判ったわ。悪かったわね、突然呼び出して」


 感謝を込めて、僅かに頭を下げる。

 それを受け、図讖戯も一層にこやかに笑った。


「いえいえ。またお薬でも貰いに来ますよ」


 薬を貰いに来たことなど一度もないだろうに。そう思うと、また婀瓏孅はくすりと微笑んだ。

 それからふと、図讖戯は思い出した様に先程の木の板を婀瓏孅に差し出した。


「あ、そうでした。このお守りは迷子の彼女に渡してあげてください」


 広げた手の上に、先程触れた軽い木の板が戻ってくる。

 それを受け取りながら、まだルルノには見せない方が良いかも知れないと思った。


「ん、判ったわ。袋にでも入れて首にでも提げさせようかしら」


 首からお守りを提げたルルノを思い浮かべ、二人は短く口元を綻ばせた。そして笑いながら、図讖戯も婀瓏孅の考えに肯定をして頷いた。


「それでは、また」


 そう言ってから残ったお茶を飲み干して湯飲みを置くと、夢が覚める様に図讖戯の姿は消えてなくなってしまった。婀瓏孅も自分のお茶を飲み干し、盆を持って台所へと歩いていく。その表情は晴れ晴れとしていた。


 ルルノが目を覚ますのは、この翌日のことであった。

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