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オリンポス十二神の寵愛~神にとってもチートな異能~  作者: 加里川 ソウダ
第一章 地球と神界編
9/33

神話 トロイア戦争1 ステュクス川と不死身の英雄アキレス

7話で思わせ振りに書いた「ステュクスの河で不死身になった人」の話です。

「聞いたことはあるんだけど詳しくは知らない」というようなものが出てくることがあります。友達や仕事の同僚、家族などに豆知識として教えてあげるのも良いかもしれません。ボッチで独り暮らしのニートはどうすれば良いのかって?ネットにでも書き込んでれば?(嘘ですごめんなさい。まずは友達を作れるように頑張りましょう。相手の趣味を見つけて、話を合わせられるようにするのがポイントです。)


「神話」は今後も時々投稿していく予定です。

このシリーズは「オリンポス十二神の寵愛~神にとってもチートな異能~」とは全く関係なく、実際のギリシャ神話に忠実に描いたものです。三人称、一人称を使い分けて書き上げています。


現在の道徳観念や倫理観に合わない要素や、人によって嫌悪感を感じる描写などがあると思いますがご了承下さい(例えば近親婚、同性愛、強姦、理不尽な仕打ち、神の人間への過度な罰、グロテスクな殺し方など)。


また、上記のように、連載中の物語とは関係ありませんが、それゆえ神のキャラなどが全く異なる場合があります(物語のヘラ→気が強いが優しいところもある 神話のヘラ→短気ですぐ怒り、我が子を顔が醜いというだけの理由で殺そうとしたり、夫の浮気の原因を相手の女性に押し付けて罰を与えたりする など)。ご注意下さい。

 海の精である女神テティスは、非常に情け深い神であった。


 ヘラはゼウスとの間に鍛冶の神ヘパイストスを産んだ。しかしヘパイストスが奇形児だった為に、ヘラはヘパイストスを神々が住む山「オリンポス」から落としてしまった。テティスは山から落とされたヘパイストスを姉妹と共に九年間かくまったという。


 迫害された神であるデュオニュソスもまた、テティスによる保護を受けたことがある。彼はそのことに感謝し、テティスに黄金の花瓶を贈った。


 テティスは非常に美しい女神だったので、ゼウスやポセイドンは彼女を欲した。しかし、とある予言者がゼウスにこんなことを伝える。「テティスの生む子は、必ずその父よりも偉大になる」と。


 それを聞いたゼウスはテティスを諦め、彼女を凡庸な人間と結婚させることに決めた。


 そこで選ばれたのがプティアの国王であるペレウスである。彼には並外れた才能などなかった。しかし、彼は常に神々に対して敬虔であった為、ゼウスに選ばれたのだ。


 テティスはペレウスを愛していなかった。それゆえ様々な動物に姿を変えて逃げ回った。


 しかしペレウスはケンタウロスの賢者であるケイロンに知恵を借り、テティスを見つけてしまう。


 テティスは結局、ペレウスと結婚することになってしまった。


 二人の結婚式には、数多くの神々が招待された。彼らは皆、二人に素晴らしい贈り物をした。この時、ケイロンは槍を、ポセイドンは二頭の馬を贈ったという。

 そんな中、一人の招かれざる客がやってきた。争いと不和の女神エリスである。エリスは宴席に一つの金のりんごを投げ込む。それが争いの種となり、ヘラ、アテナ、アフロディテが対立してしまう。


 トロイア戦争が起こるのは、これから何年か先の話である。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 テティスは結婚してから、アキレスという男の子を産んだ。テティスはアキレスを愛し、神の如き力を与えたかった。そしてテティスは冥界を流れるステュクスの川にアキレスの足首を掴んで浸からせた。それによりアキレスは不死身の肉体を手にしたのである。


 この時、テティスは掴んでいた足首は川の水に浸からず、その部分だけは普通の人間と同じであるという事に気が付かなかった。


 アキレスはテティスの望んだ通り、強く逞しく育っていった。


 アキレスはケンタウロスのケイロンに戦争と芸術、そして「走ること」を教えられた。それからアキレスは走ることが得意になり、人類で最も速く走ることが出来るようになった。


 その頃、ギリシャとトロイアで戦争が始まろうとしていた。


 とある予言者は、その戦争についてある予言をしていた。「この戦争において、アキレスなしにはギリシャ軍の勝利はありえない」


 ギリシャ軍は必死にアキレスを探した。


 しかし、アキレスの母親であるテティスは、もうひとつ、その戦争に関する予知をしていたのだ。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 俺の名前はアキレス。母さんは女神だ。


 ギリシャとトロイアで戦争が起きるらしい。更には俺が戦争に参加すればギリシャ軍は勝利するんだと。


 だがこの前家の母さんが言ってたんだ。


「今回の戦争にアキレスが参加すれば、必ずお前は戦死する。だから絶対に参列するな」


 ってな。母さんは女神だ。だから母さんの言ってることが間違ってるとは思えない。少なくとも人間の予言者よりは正確なはずだ。


 俺は母さんの言うことを信じて戦争には参加しないことにする。だが近々、俺が住んでるここの辺りに、ギリシャ軍が俺を探しにくるらしいんだ。見つかったらやべぇ。どうしようか。


 俺が悩んでると、母さんが提案をした。


「キュロス島という女が多く住んでいる島を知っている。そこに女装してかくまってもらえ」


 女装かぁ。ちょっぴり恥ずかしいが、死にたくはない。その提案に乗ろう。 


 俺はキュロス島へ向かった。



 キュロス島で生活してから暫く経ったある日、商人を名乗る男がやってきた。名をオデュッセウスというらしい。オデュッセウス。確かギリシャ軍の中にそんな名前の英雄がいた気がする。偶然だろうがな。


 様々な商品が並べられていく。


 櫛、竪琴、宝石に服。女の喜びそうな物ばっかりだな。まぁ当たり前か。


 ふと見ると、一つだけ武器が混じっていた。


 手にとってみる。


 装飾は地味だが、中々の業物だな。俺はここに来る前、武人をやっていた。だがここまでの逸品にはそうそうお目にかかれない。


 オデュッセウスと名乗った商人が俺を見ていう。獲物を見つけた狩人の目だ。


「お嬢さん、他の宝石なんかは興味なさそうにしてたのに、なぜそれを手に取ったんです? 地味であまり価値がないように見えるのですが」


 あっヤバい! 不自然だったかもな。ここは適当に......。


「いえ、父が使っていたものに似ていたので」


 それっぽいかな? 


「そうなんですか。  おや? お嬢さん、良く見るとがたいが良いですね? まるで、そう、男みたいだ」


 なっ!?


「あれれれ、真っ先に武器を手に取ったことと言い、そのがたいの良さと言い、本当に男みたいな方だ」


 誤魔化しきれなかった。更に都合の悪いことに、この商人、あの予言を知っていたのだ。そして俺がアキレスだということにも気付いてしまった。


「実は、俺があの戦争に参列すると、必ず死を迎えるだろう、という予言が出ているんだ」

「それが何だっていうんだ! 武人たるもの、戦争で活躍し、国の為に死ぬのなら本望じゃないか!」


 その言葉に俺は負けた。


 結局、戦争に参加することになってしまった。後で判明したんだが、あの商人、実は商人に化けたギリシャ軍の英雄、オデュッセウスその人だったのだ。オデュッセウスは俺がキュロス島で暮らしている事に薄々気付いており、わざと武器を商品の中に潜り込ませておいたそうだ。


 戦争に参加することを母さんに伝えるとやはり反対された。頑張って説得すると最終的には折れてくれた。更には昔にお世話をしたという鍛冶の神ヘパイストスに鎧を作ってもらい、俺に渡してくれた。他にも、結婚祝いにケイロンから貰った槍、ポセイドンから貰った二頭の馬をくれた。母さんは本当に優しい。母さん、俺、絶対に生きて帰ってくるからね!



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 アキレスは戦争において大活躍を収めた。ギリシャ軍に数々の勝利をもたらしたのである。


 しかし、アキレスは重大なミスを起こしていたのである。アポロンの息子であるテネスを殺してしまっていたのだ。


 それに怒ったアポロンは、トロイア軍にアキレスの弱点は足首であると伝えた。


 そしてアキレスはトロイア軍の勇者に足首を弓で貫かれ死亡する。


 アキレスに弓を放ち絶命させたのは、トロイアの王子であり此度の戦争の原因の一部を作った美青年パリスであった。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 アキレスの母親であるテティスはアキレスの死を哀しみ、かつてデュオニュソスから贈られた黄金の花瓶に彼の遺骨を入れて埋葬したという。

アキレス腱の名前はこの神話に由来します。

「アキレス腱=アキレスの弱点」っていうのは結構有名ですよね?

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