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オリンポス十二神の寵愛~神にとってもチートな異能~  作者: 加里川 ソウダ
第二章 トロイア王国編
24/33

21話 史上最速だってよ(2回目)

 ペルを従魔にしてから数日が経った。



 ............あの日は本当に大変だった。


 何があったか簡単に(まと)めてみよう。


 ・いつもより何時間も早起きして冒険に出掛けた

 ・長時間馬車に揺られて山に行った

 ・ハルピュイアの群れを倒した

 ・ペガサスを見つけた

 ・殺されかけた

 ・従魔にした

 ・長時間馬車に揺られて帰った

 ・ペルが居たから門番に止められた

 ・街の騎士とギルドマスターが出てきた

 ・ギルマスのおかげでやっと街に入れた

 ・ユノの親父さんに「(うち)の馬に何をした」と怒られた

 ・「最終形態を目にしてから怯えまくってる」と説明して謝りまくった


 うん、濃いね!

 濃ゆい一日だったよ。特に親父さんは怖かったね。ペルを見せたら急に黙ったけど。なんでだろう、わかんない!


 この街にペルを居させると目立つからどっかに行ってもらった。

 ......「どっかに行ってもらった」というと語弊があるな。ペルには俺の従魔になる前と同じ生活をしててもらっているだけだ。ペルの力を借りたい時は念話で呼んで来てもらうことになったのだ。



 あの日はこの世界に来て一番疲れた一日だった。とは言ってもまだ召喚されてから2週間も経ってないんだけどね。


 とにかく、マジで、 マ、ジ、で、疲れたから、ここ数日はずっとゴロゴロしていた。


 陰キャで引きこもりだった人が異世界に行った途端にコミュ力を得て活動的になる。

 現実にそんなことは起こり得ないのだ。魔法で性格は変えられない。

 俺は地球でも異世界でも普通で平凡な16歳。疲れたら休まないとやってられないよ。


 かといって、俺は引きこもりでもニートでもないので休んだらちゃんと働く。ということで俺は今冒険者ギルドに来ていた。


 昨日、ネリーに「そういえば、私をB級冒険者にしてもらうためにペレイネの山へ行ったんですよね? まだ冒険者登録もしていないですが、いいんですか?」と言われ、

 リクに「そういえば、B級冒険者への昇格試験から一週間以上経ったけど、まだA級のテスト受けてないよね。いいの?」と言われ。

 ペルに感化されて「頑張らなくては」とか抜かしてしまったことを思い出した俺はいたたまれなくなり、「明日から本気出すから」と答えて今まさに有言実行しているのだ。


「明日から本気出す」。これを言って本当に本気を出した人は今までにいるのだろうか。人類で初めてこれを有言実行した人物として奉ってほしい。


 俺がそんな下らない事を考えていると、それを遮るようにソフィアさんが声をかけてくる。


「あ、コーキさん。ハルピュイアの依頼、達成できましたか? 達成報告が遅れているようですが、受注してから一週間以内に報告しないとペナルティのお金が発生しますよ」


 移動や依頼そのものに一週間以上かかるものを除き、依頼を一週間以内に達成できなければペナルティとして達成報酬の倍のお金を支払わなければならないらしい。

 今回の報告が遅れた場合、達成報酬が200万だから、400万ヘルも払わなければならないということだ。早めに来れて良かった。


「ああ、丁度今しようと思って来たんだよ」

「そうですか。ではギルドカードの提示をお願いします」

「あ、その前にこいつの冒険者登録をさせてくれ」

「構いませんが...、まだ幼いようですが大丈夫ですか? ギルド側に止める権利はないのであれですけど...」

「ドワーフなんだ。こう見えても俺と同じくらいだから」

「ああ、なるほど」


 ネリーを指してそう言うと、ソフィアさんは顔をしかめるがすぐに納得してくれる。

 受付嬢をやっている以上、このパターンは何度か見たことがあるのだろう。


 ネリーは一通り手続きを済ませ、無事冒険者になった。


「実はハルピュイアは全部こいつ...ネリーが倒したんだ。ギルドカードを見てもらえばわかると思うけど」

「...ええと、今冒険者になったということは、今までにギルドカードは持っていなかったということですよね? ギルドカードを作られる前に倒した魔物はカードに記録されませんが...」


 ソフィアさんは怪訝な顔でそんなことを......あ。やっべぇ。完全にしくじった。

 ネリーが倒したので俺とリクのギルドカードには何も記録されていない。

 俺達のパーティがハルピュイアを討伐したという証拠がないのだ。

 ネリーの昇格テスト云々(うんぬん)以前に、これでは400万払う羽目になってしまう。


 なんでハルピュイアの依頼を受けた時に登録しなかったのか。

 あ、俺がナンパみたいなことをした(自業自得)時に、ソフィアさんが冗談で顔を赤くして(自業自得)、ギルドを出た後にネリーが俺をからかった(自業自得)からだ!((なす)り付け)

 ネリーめ...。あの日は色々あって忘れてたが、今日こそお仕置きしてやるぞ...ぐへへへ。


「せめてハルピュイアの素材などを持っていれば達成と見なせるのですが、生憎ハルピュイアは素材になる部位がありませんし...」


 と、その言葉で思い出した。


 ハルピュイアはめちゃくそに汚いということで、感染症とかに詳しくはないが詳しくないなりにそこら辺を考えて死骸をアイテムボックスに入れておいたのだ。

 ああ、あの時の俺に感謝。マジありがとう。マジ俺天才。マジで俺流石すぎる。


「そういえば空間魔法に入れておいたんだった。念のためと思って入れておいて本当に良かったよ」


 そんな事を言いながらハルピュイアを出す俺をソフィアさんは慌てて止める。


「ちょっと、ギルド内でハルピュイアを出されるのは、ケホッ、臭いがきついのでせめて屋外で...」

「あ、ごめん、今仕舞うから!」


 山だとあまり感じなかったが、屋内でこれを出すのは駄目だった。めっちゃ臭いもんこれ。


 〈ゼウス〉で風を起こし、開いている扉や窓から強引に臭いを出す。


「消臭剤消臭剤......、あれ、臭くない?」


 消臭剤のCMのような反応をするソフィアさんに。


「風魔法で強引に換気したんだよ。今頃外では戦々恐々としてるだろうけど気にしないのが得策だと思う」

「風魔法でそんな精密なコントロールは...いえ、なんでもありません」


 なんか腑に落ちない顔をしているけどなぜだろう。

 ......俺はなんかやっちゃいました系主人公じゃないので理由はわかっているが。

 異能さんを隠すのはちょっとばかし大変。


「ま、まあとにかく、ハルピュイアを討伐した証拠が確認できましたので、200万ヘルを報酬として差し上げますね。それと、ギルドカードを見たところ、討伐されたのはネリーさんだとわかりましたので、B級昇格試験の方はギルドマスターに伝えておきます」


 渡された大金をアイテムボックスに仕舞う。


 俺とリクが倒してないんじゃあ、消去法でネリーが倒したってわかるよな。


 すると、受付の奥から一目で誰とわかる大男が姿を現した。


「聞いていたから伝えなくていい。はぁ。またお前か。今度はA級になるつもりか?」


 またってなんだまたって。あんたが一週間後に来いって言ったんだろ。


 俺はギルマスに向いて言う。


「前回とは違うテスト内容とやらを楽しみに待ってたんだよ。挨拶はいいからさっさとしてくれ」

「そんなに急ぐな。さっさとついて来い」


 (いそ)ぐなと言いつつ()かすという矛盾した発言に苦笑しながら、俺達はギルマスの背を追った。




 A級昇格試験の内容は、「ワイバーンを倒せ」というものらしい。


 ワイバーンとはドラゴンが一回り小さくなったような魔物のこと。ベテラン冒険者たちが好んで狩るらしい。

 ベテランと言っても国に数人しかいないような本当の本当に強い冒険者たちだ。

 Sランクのドラゴンは狩れないが、Aランクのワイバーンは力を持て余したベテラン冒険者の格好の餌食だという。


 そんな都合よくワイバーンは居るものなのかと思ったのだが、どうやらワイバーンの生息地へのテレポート台があるらしい。俺達の試験のためにわざわざ王都のギルドから取り寄せたと言っていた。とても高価なものなのだろう。

 エンシーによるとテレポートは空間魔法で使えるらしい。〈空間魔法〉自体にレベルはなく、フルレベルに応じて性能が変わる。レベル30でテレポートが使えるようになるそうなので後でちょこちょこっとレベル上げとこ。


 3人で一体のワイバーンを倒せたら試験は合格。ネリーもB級をすっとばしてA級に上げてやるよとのことなので、頑張ろう。


「この石を持て。台に乗って、この石に魔力を籠めればテレポートができる」


 直径5メートルほどの丸い台(これがテレポート台か)の前にくると、ギルマスが宝石のようなものを差し出してくる。


「テレポートしたらすぐにワイバーンが襲ってくるだろう。自分達の手には余ると判断すれば、またその石に魔力を籠めろ。ここに戻ってこれるからな」

「なるほど。ギルマスは来ないのか?」

「行くぞ。流石に今回はお前も苦戦するだろうからな。その姿を拝みたい」


 性格悪いなぁ~。


 一言にAランクと言ってもその強さはピンキリだ。

 前に倒したオーガキングは弱い部類。そして今回のワイバーンはSランクに限りなく近いAランクだ。

 ギルマスは俺が苦戦するとかおっしゃっているが、果たしてどうかな?


「よし、じゃあ早速台に乗れ。テレポートするぞ」


 ギルマスを含めた俺達4人は、ワイバーンの生息地にテレポートした。



 テレポートすると、そこは森だった。

 ワイバーンは岩山みたいなところに住んでいると思っていたから意外だな。


 それにしても、思ったより多い。目に見える範囲でも、数十体のワイバーンが確認できる。


 と、ギルマスが驚きの声を上げた。


「なぜこんなに増えているんだ! おいコーキ、一度戻るぞ!」


 なるほどそういう系ね。本来は数体なはずがなぜか大量発生している。よくあるパターンだ。ラノベでは。


 この場合、主人公が何食わぬ顔で全滅させ、「また俺なんかやっ(ry」までがテンプレ。

 俺はリクとネリーに耳打ちし、テンプレ執行作戦を実行した。



 10分後


「!?!?!?!?!?!?!?」


 ギルマスが絶句しているがなぜだろう。


「お、お前ら......こ、この数のワイバーンを一瞬で...」


 俺達が何をしたのか簡単に説明しよう。


 まず、ネリーにアテナの盾を出してもらい、俺がそれを持ってワイバーンの攻撃を全部受けてた。

 その間にネリーは火球(ファイアーボール)を撃ちまくり、強引にレベルを上げること5分。

 魔法がレベル7になったので、俺は一旦距離をとる。

 ネリーは上級の火魔法であるインフェルノを放ち、生まれた火を操って大半のワイバーンを焼き殺す。

 逃げたワイバーンはリクが木の枝を伸ばして捕まえ、動きが止まったところで俺が雷を落とし止めを刺した。


 そんなに難しいことはしていない。小難しい作戦を考えている時間はなかったので、火力で押しきっただけだ。


「これで合格か? ギルマス?」

「も、もちろんだ。本当は一気にS級に上げてやりたいくらいだが...。全く、なんなんだお前らは」


 なんでそんなに驚いてるんだろう。わかんないなー。はっはっは。


 ネリーに焼かれたワイバーンは、鱗は完全に焦げてしまっているが内蔵は大丈夫そうなのでアイテムボックスにしまう。ワイバーンの素材は高そうだからな。



 最初渡された宝石に魔力を籠め、ギルドに帰る。


 ワイバーンの素材は、今すぐに解体したものを出したら不自然極まりないので今度にしよう。


 前にも来た部屋に案内され、暫く待っていると、ギルマスが入ってきた。


「2週間も経たずにA級とは、お前は何回最速記録を更新するつもりなんだ。これがA級のギルドカードだ。無くすなよ」


 3人分のギルドカードを持ったギルマスがため息を吐く。


「まぁこのギルドから3人もA級が出たというのは名誉な事だ。残念ながら今は喜びよりも驚きと呆れが(まさ)っているがな」


 驚きはわかるけどなんで呆れてるんだよ。


「しかしA級の昇格試験がこんなにもあっさり終わってしまうとは。お前らならすぐにS級にもなるだろう。ギルドマスターとして、今後の活躍に期待しているぞ」


 そんな、ちょっとばかし格好いい事を言ったギルマスは「疲れたから早く帰ってくれ」と俺達を追い出した。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 その夜。俺はお仕置きをするべく、ネリーを呼び出していた。


 「どうしたんですか? ご主人様。私、何かしてしまったでしょうか?」

 「俺に呼び出されるようなことをした覚えはないか?」

 「ごめんなさい、思い付きません...」


 俺は呼び出した理由を話す。


 「え、そんなりゆ「ん?」」

 「い、いえ、も、申し訳ありません。奴隷の身でご主人様をからかってしまったことは反省しています。それとリクさんと談笑していたことも...。なので、体罰などは...」


 なんでちょっと不服そうなんだろう。まぁいい。そう大したお仕置きをするつもりもないしな。


 「大丈夫。大した罰を与えるつもりはないよ」

 「そうですか、良かっ.........ご主人様? 目が怖いです...えっ、なんですかその手は、ちょ、待っ...あ、やめ...いやあぁぁああぁあ!!!!!!」




 「凄い悲鳴が聞こえてきたけどどうしたの? ......なんでネリーは泣いてるの? そしてなんでコーキは清々しい顔をしてるの?」

 「...うっ...リクさん...。ご主人様に...ヒック...ひどいことされました...」

 「.........」


 リクが獣を見るかのような目で見てくるが、色々とスッキリした俺はそんなことは気にならない。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 ネリー

 〈スキル〉

 恥辱耐性1new

 ─魔法─

 全魔法1→7

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